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23:争いは会議室で起こってるんじゃない!現場で起こってるんだ!!

私たちがお世話になった国は征服皇を相手取り、さらに周囲の小国すべての相手もしなければならない。

そうした予想を聞いていたし、その予想が起こると信じられていたがために私たちを売る話が出て私は国を出ることを決めた。

だというのに、


「なんで小国を征服皇が攻めてるんだろう?」


「不思議ですね。もしかしてもう、あの国は征服皇に滅ぼされてしまったということでしょうか?」


「いや、それはない……と思いたいなぁ」


私は魔法で遠くの状況も確認できるからすでに見ているんだけど、幸いなことにお世話になった国が滅んでいないことは確認できている。さすがにそれをそのまま伝えるわけにもいかないから濁した言い方、希望的観測といった形でしか伝えられないけど、この私の持つ情報でも征服皇の行動の理由には思い至らなかった。


当然ながら征服皇が小国なんかにかまっているから私たちがお世話になった国も征服皇を刺激しない位置にある小国を次々と攻め滅ぼして領土拡大につなげているし、その力をより増している。

なぜ小国群と協力して攻勢を仕掛けなかったのか不思議で仕方がないよ。


「とりあえず、明日はもうちょっと戦争の様子を見てくるね。場合によってはこの森を出ていかなきゃいけないかもしれないし」


「ん?たとえ征服皇にほぼすべての国が滅ぼされて支配されたとしても、この森にまで手は出してこないのでは?凶悪なモンスターも多数いる以上、あまりここに手を出してもうまみはないでしょうし」


「いや~。この森に調査に来てた国から予言の話とか聞いたら、この森に手を出してくる可能性は十分考えられると思うよ。私も結ちゃんも、見逃されはしないんじゃないかな?」


「予言が具体的に何を指していたのか分からない以上何とも言えませんが、警戒しておく必要はありますか……なんだかんだこの森も気に入っていたんですけどね。残念です」


簡単に粉砕されるような小国で予言されたことなんて征服皇が気にするかはわからない。

それでも、気にされたら厄介なことは間違いない。征服皇が支配下におさめた後は間違いなく以前より多くの人員が動員されることになるだろうし、見つからずに対処できるかどうかは不明。

それどころか、技術力がどこまで高い水準に達しているかわからない以上、うかつに手出しさえできない。魔法を使ったらそれだけで位置を探知されてしまう可能性だってあるし。


色々と確認したいことがあったから、その翌日には結ちゃん言ったように戦争の様子を見に行ってできるだけ情報をかき集めた。結ちゃんはお世話になった国関連の情報を集めていると考えているだろうけど、もちろんそれだけにはとどまらない。以前いた世界の魔法を主にしながら各地の情報を集めていく。解決する疑問も、新たに増える疑問も、いろいろと情報が集まることで私の頭の中は塗り替えられていく。


そんな中でも特に重要な情報だと思ったのは、占領した土地に残って運営を始めている征服皇の部下が話している内容で、


「しかし、どうして陛下はあの国を滅ばさなかったのか」


「滅ぼしても受ける被害が大きすぎると考えられたそうだ。勝てたとしても、激しく非難されることは間違いないとのお考えだそとか」


「陛下が勝利を重ねたせいで、いや、おかげで中央の貴族は増長してしまったか。勝ちすぎた弊害だな」


「まさしくその通り。陛下とともに行くものと中央に残るものを定期的に入れ替えればこうはならなかったんだろうがな。やつら、勝利を当たり前のものと考えている。勝利した後に得られるものと失うものしか見ておらん」


「自分たちでは勝利すらできんだろうに……陛下は中央の増長をこのまま許すおつもりなのだろうか」


「さてな。あのまま増長が続けば、陛下ならどうにかなっても次代が厳しいだろう。中央に逆らえなくなるぞ」


初めて知る征服皇が治める帝国の内情。

どうやら戦いの血となっていない中央では、征服皇がいない間に貴族たちが増長して幅を利かせているらしい。それも、征服皇が無視できないと考えるくらいには。

その結果、そうした貴族たちから兵や物資を失いすぎたと批判されないために互角に近い戦いが生ずる可能性のある国との争いを避けたのだとか。


まさか征服皇でも部下の手綱を完全には握れていないなんてね。これはいいことを聞いたかもしれない。

うまくすれば、落ち着いてきたタイミングで征服皇を中央まで戻らせるような手が打てるかも。


「……ん?ちょっと待って。このままだともしかして、また捨てられる子供が出てきそう?いい加減あの小屋も改築が必要かな」


そこまで把握できたのはいいんだけど、私はそこからさらに恐ろしい事実に気が付いてしまった。詳しいことはむごいから言わないけど、征服皇が攻めた土地でその部下たちがやらかした結果としてたくさんの子供が生まれてくる気配がしている。それも、望まれていない子供たちが。

そんな子供たちがどうなるのかというと、高確率で処分されてしまうと思うんだよねぇ。当然ながらそのための選択肢として、この森へ捨てるというものも入ってくる。


私はこれからさらに仕事が増えるのだということを想い気が遠くなるのだった。

本当に征服皇はろくなことをしないね。

中央の貴族たちのことを応援しちゃおうかな。もっと足を引っ張ってほしい。

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