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20:ぽき~

簡単に追い返せたし何回来たってまた兵士くらい追い返せるよ。余裕余裕!


なんて、思っていた時期が私にもありました。

すぐに私の甘い考えは打ち砕かれたんだけどね。


「なんで100人近くで来てんの。意味わかんないんだけどぉ」


「気を確かに。独ちゃんならやれますよ」


「うぅん。励ましはうれしいけど、完全に私任せなんだねぇ」


やってきた兵士の数は愛どころじゃなかった。それこそ10倍近くになって戻ってきたの。もちろん一塊になるのではなくそれぞれ分かれて1~20人程度にまとまって行動していて現在は7グループになって動いている。

おかげでかなり向こうのマッピングは進んでいて、どんどん今まで向こうが知らなかったはずの空白地帯を埋められてしまっているよ。


なんでこんなことになったんだろうね。不思議で仕方ないよ。

100人なんて、どう考えても戦争をしているなら必要な和でしょ。こんなどうでもいいところに割いていていい数じゃないと思うんだけどなぁ。


「おかげでモンスターの誘導はうまくなってしまったよ」


「聖騎士としてはどうなのかと思ってしまう力ですね」


「それはそう」


聖女を守るための騎士が魔物を操るとかどう考えても解釈違いだよね。全く持ってその役割にふさわしい力ではないと思う。

……え?もっと役割にふさわしくない人がいるから問題ないだろ、って?小さい男の子に興奮するまずい人が聖女やってるんだからこのくら大した問題じゃない、って?

それもそう。


なんてふざけてはいるけど、私は割と忙しくしている。

相手側の兵士もそれなりに対策してきていて、モンスターの処理も的確なんだよね。

私が回復の魔法を使えないように確実に頭をつぶしてくるし、虫よけや魔物除けのアイテムみたいなものも大量に持ってきている。おかげでうまく魔物を誘導させられないなんてこともあるくらいだよ。


「どうしてもこっちまで来そうだったら、あえて今まで向こうが探索を終わらせているところまで引っ越しをするのもありかな?」


「なるほど。引っ越しですか。それもありかもしれませんね。自分たちが探したところにいるなんて言うのは向こうも考えないでしょう」


どうしようもなければこっちが動く。そのくらいの覚悟も持たないといけないかもしれない。小さい子も多いから、できればやりたくないんだけどね。

道中の安全を確保する自信はあるけど、それでも子供たちに負担がかかることは間違いないからね。


「それか、結ちゃんに大雨でも降らせてもらうのもありかな。そうすれば物資も濡れて使えなくなるかもしれないし」


「さすがに川につからせるのとでは効果が違いと思いますけど?向こうもカバンには防水機能がついているでしょうし」


「それはそうだけど、やらないよりはましじゃない?それこそ、魔物除けとかもいくつかは効果が切れると思うんだよねぇ。あと、地面もぬかるんで身動きがとりづらくなるはず。場合によっては無理やり土砂崩れとか起こしていくつかのグループを分断させちゃうのもいいかもね」


「なるほど。そこまでできるのならやってみてもいいかもしれませんね」


嫌がらせは主に私が担当しているけど、天候を操ったりするのであれば結ちゃんの手を借りた方がいい(私も余裕でできるけど、こっちの魔法ではないから)。

魔力の使い過ぎでそれ以外のことに支障が出ない程度の規模の雨雲と風を起こしてもらい、森の中で一時的に嵐を巻き起こす。



川は増水して一部はあふれ出し、いくつもの木々が折れて倒れ葉を飛ばす。

モンスターたちもこうした自然災害にあらがう気はないのか酢などに引きこもったりしているけど、残念ながら場所によっては浸水によってとてもとどまれる環境ではなくなったり崩れてしまったり。

自分の居場所というものを持っているモンスターたちでそれなのだから兵士たちの負担はそれ以上で、


「くっ!濡れてうまく動けんか」

「カバンが水を吸って重くなっているだろう。地面につけないように2人で抱えるようにしろ。この天候となれば外敵の脅威に警戒しすぎる必要もあるまい」


水を吸って重くなる服や荷物。

それに加えて風が吹くものだから荷物を抱えている人間の負担は非常に大きい。今にも荷物を取り落としそうになっている人もいるよ。

複数人で持つことによりどうにか負担を減らして乗り越えているグループもあるけど、判断が遅れたグループは荷物を1人で持つ状態が継続。結果としてぬかるんだ地面と疲労により、その荷物はぬかるんだ地面に落ちることになる。


「防水性があるとはいえ、何度も落とすとまずいことになるな」

「とりあえず代わりに背負おう。交代で背負っていくことにするぞ……だが、疲労がたまりすぎているな」


物資が完全にダメになったわけではないけど、それでも落ちたという事実は疲労がたまっているということを兵士たちに自覚させるには十分だった。

落としたところとそうでないグループでは、明確にその顔に浮かぶ疲労感と焦りが違う。


こうなれば、よりストレスが溜まっているだろう落としたグループを狙わない理由がない。

ちょっとだけその周囲の土が含む水の量を多めにして、いいタイミングで近くの木が倒れるようにもしておこうかな。

さっさと心を折っちゃえぇ~。

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