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18:執念深いと厄介

「ん?」

「何か来たね」


「誰が来たの~?」

「新しい子~?」


いつも通子供たちと一緒に食事をしていた時、私たちは特殊な反応をとらえた。

普段ならばこんな反応はないんだけど、


「う~ん。新しい子ならまだよかったんだけど、これは良くないお客さんが来ちゃった感じかなぁ。とりあえず私が視に行くねぇ。結ちゃんはみんなをよろしく」


「わかりました。お気をつけて」


「はいはい。相手するのは久しぶりだし、さすがに気は抜かないよ」


私は結ちゃんに後のことを頼んで外に出る。

普段反応があるものと言えば、捨てに来る親や捨てられる子供。そしてモンスターや小動物の類。ただし、今回はそのどれとも違う。私が気配を消しながら歩いて行った先にいたのは、


「ここが本当に目的の森なのか?どう考えてもこんなところに人など住んでいるとは思えぬが」


「そうですねぇ。でも、ここで間違いないんですよ。この辺が危険なだけで、どこか安全なところも実はあるんじゃないですか?この森も広いですし」


「それもそうか……しかし、この広い森を探し回るのにどれだけ時間がかかることか。こちらには時間がないのだぞ」


「早めに見つけられることを祈る他ありませんね。味方にさえつけることができれば、我が国は救われるとのことですから」


「あの予言が正しいのならば、だがな。どこまであれを信用していい物やら。ただ戦争に勝つだけならもっと簡単な方法があったっていいと思うのだがな。いくら相手が兄弟とはいえ、われらは数の力がる。小国と言えどまとまれば勝てぬはずがない。だというんもに、あの予言は一体何を……」


「ここまで来たんですし、信用するほかもう道はないですよ。信じないまま適当に過ごすよりは、本気で信じて必死に探し回ったほうがいいはずです」


人の声。

それも、弱弱しくなどない覇気のある声。

そっと様子をのぞいてみれば、そこには鎧を着こんだ兵士らしき人が数人いた。全員それなりにいい装備を持っていることから、この森の中でもある程度生き残ることはできるんじゃないかと予想できるよ。

私たちにとってみれば、いやな話だけどね。


話を聞く限り、この人たちは戦争に勝つための要素を探しに来た感じっぽい。しかも、その根拠は予言。

予言の内容を知らないから確かなことは分からないけど、おそらくその予言で森が示されたのは私か結ちゃんが原因だよね?行方不明の聖女でも、実力のある人間でも私たちは引っかかってしまうからね。


「ならば効率を求めるか。地図を見て現在地をよく確認しておけ。目印もつけて探索した地点もわかるようにしておくぞ」


「わかりました」


当然ながら私たちは戦争にかかわる気なんてないから見つかるわけにはいかないんだけど、どうやら向こうもかなり本格的に探してくるつもりみたいだね。魔力を使って調べた場所には痕跡を残すようにしてるみたいだよ。森の中だから軽く迷子にさせればいいかと思っていたのにそう簡単にはいかなそうだよ。


となると、私に取れる手は大きく分けて3つ。

命を奪って始末してしまうか、この森の探索は無理だと思わせてあきらめさせるか、私のいない場所に誘導して時間を稼ぐか。ただ、あきらめさせるのは国の存亡がかかわっている以上簡単ではないと思う。ということでこの森も広いし、探し回ってるうちに戦争も終わる……ことが理想ではあるんだけど、正直これに関しては怪しい部分があるんだよね。いろんな大国もかかわってるみたいだからそれぞれの思惑が絡んで泥沼な感じになりそうだし。

とはいえ、さすがの私も人の命を奪うことは避けたい。だからまずはあきらめさせるのと誘導を同時並行で進めさせてもらって、


「モンスターだ!」

「くっ!数が多いな」

「このままでは囲まれます。少し後退を!離れ離れにならないよう気を付けてください!」」


ちょっとモンスターを誘導してぶつけてみた。

重そうな装備を付けている人が多かったから足の速そうなモンスターを中心に向かわせてみたところ、思っていた以上に効果的だったみたいで移動を続けてくれている。当然、方向としては私たちの暮らしている場所とは逆方向にね。

それでもさすがに実力はあるようでモンスターも時間とともに数を減らし全滅。

それなりに消耗はさせられたようだけど、


「……何とかはなったな」


「しかし、かなり移動してしまいました。探索個所にぬけが出ていそうなのですが」


「だからと言って、戻ってまた同じように襲われるのはごめんだぞ。そもそもあれだけの力がある魔物の集団がいるようなところで生活しているわけがないだろう」


「それはそうですが……」


さすがに心を折るには至らなかったみたい。もうちょっと強いモンスターを呼んだ方が良かったかな?

もしくは、こっそりモンスターを私が治療して戦いを長引かせるとか?

強いモンスターと戦わせると命に係わるかもしれないし、私が回復させるって言うのは悪くないかもね。やってみよう!


ということで、


「な、なんだこいつらは!やけに粘ってくる!」

「さっきと同じ個体、だよな?なんでこんなに血まみれなのに動けるんだよぉ!」


命を奪わない限りいつまでも回復して襲ってくる地獄のモンスター軍団誕生!

精神的にも追いつめられるし移動距離も稼げるし、なんてすばらしいやり口なんだろうな~……あっ、そろそろ戻らないとさすがに結ちゃんがキャパオーバーするかな。適当なタイミングで切り上げないとね。

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