15.引きこもったら人とかかわらないで済むとでも?
大国はまだしも、小国群の周囲には未開の土地なんていくらでもある。
もちろん暮らしていくのに便利そうな(?)、人食いの森なんて言われる場所もいくつもあった。
そうした土地をいくつか回り、その中でも特に虫が少なめで人目に付きにくそうな場所を選び私たちは滞在を決める。
そこでやることはまず住環境の構築。
丸太を切ってログハウスのようなものを作り、適当な悪いことをしている貴族さんからかっぱらってきた(もちろんほとんどのお宝などは奪われた人などに返還したけど)家具なんかを使って生活するためのアイテムを並べていく。
以前国中を人助けで回っていた時にいろんな器具ももらってきたから、それらも飾り付けるようにしながら配置していけば完璧。
「ログハウスだと虫が入ってきそうだとか心配になりますけど、結界で全部解決できてしまうのがいいですね」
「本当だよねぇ。結ちゃん様様だよ」
「結界は独ちゃんだって作れるでしょうに」
「いやいや。結ちゃんほど効率よくもないし効果も高くないって」
「その効果の違いは攻撃に耐えられるかどうかとかの話でしょう?虫対策には関係ないと思いますけど」
比較的生き物が少ない代わりに凶悪なモンスターみたいなものがたまに訪れたりはするけど、そちらの方がこちらとしては気が楽。
それこそ結界の設定を変えれば自動でも対処は可能だし、煩わしいもののない気楽な生活を送れているよ。
もちろんこうして滞在する本来の目的だって忘れてはおらず、
「大体分かってきましたよ。もうちょっと魔力が必要そうですが、異世界にものを送れるようになるかもしれません」
「おお!すごいじゃん……ちなみにそれ、魔力じゃないとだめなの?単純にエネルギーが必要とかではなく?」
「なるほど?そもそも魔法関係なので魔力以外を使うという発想がなかったですけど……確かに魔力は世界をつなげるために必要なエネルギーといった役割をしていそうですね。変わりが存在するのならそれでもできるかもしれません」
少しずつ、だけど着実に元の世界へと戻る方法に近づいて行っている。
まだどこかも分からないような世界へとつなげられるかもしれないという程度だけど、今後もし他の世界に行けたとしても変える手段が得られるかもしれないと思ったら進歩の進みの遅さなんて全く気にならないよ。
というか、逆にまだ調べ始めてから数日しかたってないのにこれだけの成果が出ているのはまったくもって遅くないとも思えるけどね。
この調子でいけば、帰る方法を見つけるとまではいかなくてもいろんな世界のものを持ってきたりすることが可能になるかもしれない、
きっとこの世界にはない便利な道具もたくさんあるはずだし、そうした方法を確立できたらまた森を出て帰る方法を探していこうかな。
まだまだ周囲の国は戦争を続けるだろうし、気長にじっくりやっていこう!
「……と、思っていたんだけどね」
「私もそうですよ。こんなことになるのは予想外もいいところです」
1月程度経過して。
それなりにいいスタートダッシュを切ったはずの私たちは、すでにほとんど研究には手を付けられなくなっていた。
その理由としては、
「うぅ~ん!」
「おぎゃぁ~」
「あぁ~。はいはい。ミルクはちょっと待っててね」
「おむつの取り換えですか。魔法で片付けられることが出良かったです」
私たちの周囲には、たくさんの赤子や幼児たちが。
現在、私たちのログハウスは完全に幼稚園のような状態になってしまっていた。
「まさか森に子供を捨てる人がこんなに多いとはね」
「戦争が原因で食料が足りないかららしいですけど、だからって森に捨てるものなんでしょうか」
これの原因は、戦争の影響で子供を育てる余裕のない家庭が増えてしまったこと。
子供を捨てるという残酷な選択をせざるを得ない人たちが急増してしまった結果なんだよ。
ただ、結ちゃんが深くは考えていないけど気になっているように、実のところ森に捨てるという選択肢は決してメジャーなものではない。
基本的に多くの子供たちが、もっと労力がかからずもっと効果的に使える方法で……うん。まだ森に捨てられて私たちに救われたこの子たちはましだったといえるかもしれないね。
あまりにも世の中が残酷すぎるよ。
「孤児院経営っていうのは、ある意味聖女様っぽいかな?」
「どうでしょう?宗教関係の施設がやっているイメージはありますけど、それを聖女がやっている印象はあまりないですよ」




