14:隠居しませんか?
「意外といろんな召喚方法があるんですね」
「そうだね。もしかしたら私たちを召喚した国って正直当たりだったのかもしれないって思ったよ」
「当たりの国があんなに簡単に攻め込まれるというのも皮肉な話ですけどね」
「それは確かに、良い国なだけじゃやっていけないってことなのかな。世知辛い世の中だね」
いろいろと国を回って、お屋敷に忍び込むというのを繰り返してみた。
結果として予想外なことに異世界から人を召喚する方法などの書類がいくつも見つかり、私たちはいろんな有益な情報を集めることができた。
さらに予想外だったのは、その召喚の方法というのが1つではなかったこと。
大きく分けても3つくらいはあって、しかもそれぞれの国などによって細かい違いがあったり。しかも、中には召喚した異世界人を洗脳してしまえたりするのもあったから、私たちを召喚した国というのは善良な国だったのかもしれないという気すらしていた。
「たいていの国が戦争で切り札として異世界人を召喚しようとしているのが恐ろしい話ですね」
「そうだねぇ。あのまま国にとどまっていたらほかの異世界人と戦うことになってたんじゃない?」
「確かに。ありえますね。恐ろしい話です……ちなみに召喚された異世界人って私たちよりも強かったりするんでしょうか?」
「さぁ?でも、洗脳のかかり方によっては私よりももっと集中して積極的に鍛錬してて強くなっていた可能性はあるよね。ただ、聖女の結ちゃんを超えられるかどうかは分からないけど」
「……それ、まるで独ちゃんが私より弱いみたいに言ってますけど、結ちゃんのほうが圧倒的に強いんですからね?結ちゃんより強い相手とか勝てるわけないじゃないですか。兵士の人たちを傷つけたりしないようにしつつさらに私を抱えた状態で100人以上から逃げ切る人を超えるとかになったら、国が3日で壊滅しますよ」
それはそうかもしれない。
今の私が暴れまわったら1分で小さい村なら壊滅させられる気がするし、小さい国の首都だって1時間あればどうにかできる自信はある。
そんな私を超えるような人が出てきたら。国が亡ぶなんてすぐだろうね。
とはいえ、さすがにそれを認めるのもちょっと怖すぎるからさすがに無理だよとか言ってごまかしておく。
ついでに話題をそらして、
「でも、こういうことをする国なら協力しなくてよかったかもね」
「ああ。そういえば人を助けて回るなんて話をしたことがありましたね。確かにやらなくてよかったですか」
ここまで回ってきた国は大なり小なり非人道的な手段を取ろうとしていた。
それは小国が生き残るのには仕方のないことなのかもしれないけど、さすがにそれをやろうとしていた国に協力する気にはなれないよね。
下手なことをしなくてよかったと思っているよ。
もちろん、国民と国が全く同じものではないから。困っている人を助けないのがいいこととは言い切れないんだけどね。
さらに言えば、こうして協力したくないどころか割とかかわりたくもないようなことをしている国ばかりだと、
「結局この後どこに行けばいいのかも分からないよね」
「それも問題ですよね。定住する気もありませんけど、集めた情報を整理するためにも長期滞在したいですし」
どこかでしばらくゆっくりするなんてこともしたいし、集めた情報の整理もしたい。だからこそ長期滞在をできる国が欲しいんだけど、どこの国にもいたくないっていう悲しい話があるんだよ。
「いっそのこと、本気で人のいない森などに一度ひきこもるのもいいかもしれないですね」
「あぁ~……それでもいいかもね」
結ちゃんももう聖女の力を扱えるようになってきたし、どこからも影響を受けにくいという意味では森などに引きこもって生活するのも悪くはない。
なんて思っているとき。
「これより我々は宣戦布告を行う!!正義は我らにあり!正義の名のものに勇敢なる者どもは集え!!」
なんて声が聞こえてくる。
どうやら、戦争が始まるらしい。
「……よし。森に行こうか」
「そうですね。そうしましょう」
人は醜い。なんて言うつもりはないけど、それはともかく戦争なんてかかわりたいものではない。
情勢から考えて戦争は各国に広がってそれなりの規模の大戦になりそうだし、人のいる場所からは離れて過ごしたいよね。
こうして結ちゃんは、浮世離れした聖女になることになった。
隠居ってやつかな。




