↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/70

12:助けられ方

「いたぞ!追いかけろ!」

「焦るな!確実に包囲するんだ!」

「数の利を活かせ!単独の力でどうにかできる相手ではないぞ!」


「今回はなかなか数が多いですね。目星をつけられてたんでしょうか」

「かもねぇ」


結ちゃんを抱えたまま走る私と、そのあとを追いかけてくる大勢の兵士。

追いかけてくるとはいっても後ろだけでなく前にも横にも兵士はいるし、それらを避けながら進んでいくことを迫られている。


さすがに逃げ出した後、しばらくすると私たちが何をしているのかという情報を国も手に入れたみたいで追手をかなりの数放ってきてるんだよね。

今回は待ち伏せでもされているのかその数は普段以上。

もしこの世界で新しく身体能力がかなり上昇する力を得られていなければ、それなりに苦戦していたんじゃないかな?やっぱり聖女以外の力も持ってると幅の広さが結構変わるね。

今なら私の聖女パンチも単純な身体強化による底上げ以外の、体の動かし方とかいう要素も相まって以前の3倍以上の威力を出せるんじゃないかな?


「ありがたいのは、兵士も全員が全員本気だってわけじゃないところかな」


「そうですね。聖女相手だと気が引けるといったところでしょうか」


「そうかも。結ちゃん様様だね」


「それでも私1人では逃げられる気がしませんし、9割以上は独ちゃんのおかげですよ」


「そんなことないよぉ。結ちゃんのバフも込みでのこの速度だしさぁ」


数は多いけど、本気で私たちを止めようとしているのは3割程度。

そもそも聖女である結ちゃんの行動を制限したくないという気持ちの人もいれば、回ってる田舎や辺境に家族がいて恩があるっていう人もいるんじゃないかな?


ちなみに、場合によっては住民の人が逃げる手伝いをしてくれることもある。

兵士の邪魔をしてくれたり、逃げ道を教えてくれたり。時には私たちに似た格好をして囮になるなんてことをしてくれたこともあったよ。

ただ、あんまり過激なことをすると逆に住民のほうが兵士から狙われかねないし、内乱の火種にもなりかねない。ということで、できるだけ穏便な形での邪魔にはとどめるようにはいってあるよ。


「まさか、穏便にって言ったらお酒を大量にふるまって上の位の兵士を酔いつぶさせるっていう方法をとるとは思わなかったけど」


「そうですね。今回のパターンは初めてでしたし私も予想外です、結構高そうなお酒を使ったみたいですし村の経済に打撃を与えてないといいんですけど」


「だよねぇ」


いろんな人を助け、そしていろんな人から助けられつつ私たちは活動を続けている。

ちなみにその助けられるというのは、単純に逃がしてもらえるとか衣食住を提供してもらえるとかそういうものだけではない。

辺境や田舎にも知恵が隠れているもので、


「内臓を動かしてお腹に溜めておける食べ物の量を増やすなんてできるのにはびっくりしたよね」


「そうですね。おかげである程度の日数は食料を確保しようとしなくても動けますし……正直この方法を考えた人はマッドサイエンティストだったのではないかとは疑ってますけど」


「確かにねぇ。あの知識レベルの田舎で内臓のことに詳しいって、相当何かやってないとおかしいもんね」


その場所にだけ伝わる特殊な武術、特殊な魔法、特殊な薬。

そして、様々な変わり種の技法。

どれも滞在期間が長くなかったから完全な習得には至らなかったけど、基礎的な部分を抑えただけでもかなり私たちは前に進めた。

結ちゃんも私もできることは増えたし、力も底上げされてる気がするんだよね。


「本当に有用なものは教わった場所を伝えちゃったもんね」


「そうですね、正直露骨な感じはしましたけど、悪くなかったと思いますよ。たまに技術を習得したと思われる兵士が明らかに周囲より強いと分かるときもありますし」


「最近ちょっとずつだけど増えてきたよね。やっと最初のほうに回った場所の技術が伝わり始めたってことかな?」


この旅の目的は、私たちは逃げつつもある程度のこの国の防衛能力を引き上げてあげること。

そういう意味でも、教わった技術の中でも特に有用なものは国も把握できるようにした。見せつけるように使って、習得した場所を伝えてあげたら国もそこで兵士を鍛えさせてみたりしてくれるようになった。

おかげでちょっとずつだけど、普通よりも少し強い兵士が表れてきている気がするね。

これで兵士の質が一段階引きあがるし、少しは防衛能力も向上するかな?


「ちなみにこの間侵入した街できいた話ですけど、兵士の指揮系統もかなり変更が加えられていたりするらしいです。理由は分からないという話でしたけど、おそらく私たちを補足するためにより効率的な形になっていってるんでしょうね」


「うへぇ~。いいことではあるんだけど、逃げづらくなるのは勘弁してほしいね」


有用な技術も広めたし、指揮系統も整ってきている。確実にこれからもこの国の軍事関連は成長していくと思うし、そろそろ失敗すると本当に私も捕まりかねなくなってきてしまったよ。


「あとは、これだけの兵士を動かすための食糧問題とかをどうするか、かな」


「ですね。しかしそれも、この逃げ回っている間に糸口は発見されているのでは?それこそいろんな場所で育ちやすい植物なども見てきましたし。兵士もそれを見逃すことは内でしょう」


「なるほど。さすがにそっちはもっと時間がかかるだろうけど……数年あればどうにかできる問題かな」


この国の底力はかなり引き上げられた気がする。

もしかしたら、そろそろ潮時なのかもしれないね。


「もうちょっと辺境を回ったら、そろそろ出ようか」


「さすがにもう恩は返せましたよね……出国しましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。