11:田舎に帰らせてもらいます?
「………ということでしてな、婿とするものを選んでいただきたいのです。もちろん、気に入ったものがいれば何人でも構いませんよ。これから増やしたって良い」
「なるほど。この国の発展のため、皆様しっかりと考えておられるのですね」
「ええ!もちろんですとも!しかしそれだけではなく、皆あなたの美しさに惚れこんでもおります。決して国のためという意だけではないこともお忘れなく」
「ふふっ。それはうれしいです」
はい。ということで本当にやってきてしまいました。
お見合いというか、強制的に結婚を迫られる日が。
結ちゃんからこうなりそうだということを告げられて私もいろいろと調べてみたんだけど、どうやら結ちゃんが言っていた以上に深刻な問題があってこの国はこんな強引な進め方をしているみたい。
どうやらこの国、征服皇が攻め込んできた場合全方位からほかの国も一緒に攻め込んでくるというリスクを抱えているみたいなんだよね。
1対1ならどうにかあらがえるけど、さすがに全方位からも軍勢が来るとなるとどうにもならないしい。
だからこそ、いっそのこと征服皇が攻め込んでくるまでの期日を延長するためにいつか私たちは征服皇に献上してしまい、自分たちの守りのために私たちの子供を手元に残しておくという狙いがあるんだって。
私たちほどではないにしても、子供もそれなりの力は持っているということが今までも記録に残っているみたいだからね。
それこそ、5人くらいそれぞれ子供を集めれば私たちを超えるくらいの力は出せるかもしれないらしい。
「では、出ましょうか」
「うん。そうしようか」
とはいえ、そんな国の事情など私たちの知ったことではない。
悪いけど、私たちにとって何よりも重要なのは私たち自身なんだから。
ということで今夜、私たちはこの国を去る。
「けど、よかったの?そっちは王族だし結構イケメンも多かったと思うけど」
「確かに美形の方が多かったですけど、タイプではなかったですね。逆に。独ちゃんのほうは好みの人がいたりしました?それだったら残りますけど。タイプじゃないだけでイケメンではありましたし、私は残ってもいいですよ」
「いや。残念ながら特にいなかったかな。お互いなかなか縁がないね」
「……そうですね」
結ちゃんには私が知ったより深い理由については語らなったんだけど、結局この国を去るという選択は変わらなかった。
これで結ちゃんがよさそうなイケメンを見つけていたら私だけ出て行って征服皇に嫌がらせでもするつもりだったんだけど、さすがに2人だとそんなことも難しそうかな。
結ちゃんがいるときに私の手札もあまり見せたくないしね。
となると、
「ただ、さすがに何もせずに出ていくのはかわいそうだし、この国の辺境のほうを回って辻ヒーラーでもやってみる?たまに貴族とかも治してあげれば多少はお金ももらえるでしょ」
「なるほど。それはいいかもしれませんね。そうしましょうか」
征服皇の足止めや弱体化ではなく、この国の強化をしてあげる。それができる恩返しの最大限かな。
それだけでこの国が守れるかは分からないけど、何もしないよりは自分としても満足できる。
「じゃあ、またあの時みたいに私が抱えて走る形になるかな」
「私も多少は身体強化をできるようにはなりましたけど、結局独ちゃんのほうが早いですからね。おとなしく抱えられているとします」
私は結ちゃんを抱え上げ、この世界で使えるようになった身体強化と結ちゃんからのバフを受けて、召喚初日と比べても段違いな速度で部屋から脱出する。
もちろん、警報装置などがならないようにして。
「ちゃんと警報装置系の仕組みの勉強もしておいてよかった。問題なく脱出できたね」
「そうですね。ちなみに、どうやったんですか?ハッキングみたいなことをしたとか?」
「いやいや。単純に警報装置が感知できない速度で抜け出したってだけだよ」
「なるほど。なかなか脳筋ですね」
結ちゃんにはあきれられちゃったけど、結局これが1番早いんだから仕方ないよね。
他の方法をとると何にしても私の隠してる部分が結ちゃんにバレちゃいそうだからさ。
そうして国の管轄から抜け出して数日。
私たちは連日いわゆる田舎や辺境と呼ばれる場所をめぐり、危険なモンスターを駆除したり怪我をしている人たちを回復させたりしながら過ごしていくことになった。
「ありがとうございます、旅の方!もしあのままだったらこの村がどうなっていたことか…少ないですが、謝礼を」
「いえいえ。それには及びませんよ。ただ、よろしければ食料と一夜を明かす場所をいただけませんか?」
「もちろんですとも!その程度でしたらいくらでも!それこそ1日とは言わずずっとこの村にい続けていただいてもかまいません!」
「いえいえ。さすがにそこまでは。また明日の朝にはここを断ち、新たな場所で困っている方々をお助けするつもりですから」
ほぼその日暮らしの生活みたいにはなってるけど、回復のお礼として食料や寝床は毎回確保できているから問題なし。
裕福そうな人からは謝礼を少しだけもらってはいるし、しばらく活動すればある程度路銀はたまりそうかな。
「この国、発展した国だと思っていましたけど、さすがに田舎になるとイメージ通りの異世界になりますね」
「そうだね。でも、そこまで汚いとかはないからそこはうれしいかな」
「そうですね。思っていた以上に清潔感はありますし、衛生面も気にかけてる人が多い印象です……正直、首都のほうにいた時よりも楽しい気がします」
「私もだよ。やっぱり、自然を感じられるのは悪くないよね……あと、2人で旅をしてるのもあるかも」
「っ!?……そ、そうですか」
「お?もしかして照れてる?」
「い、いえ。照れてなどいませんよ。勘違いしないでください」
「またまた~。ツンデレみたいなこと言っちゃって~」




