第630話 望まれる物、望む物
土曜日
土曜日のお昼。ミオンはボイストレーニングで不在だけど、明日の準備を進めないとなので、まずは港へと移動。
「だぃじょぶ?」
「大丈夫っす……」「ニャ……」
転移魔法陣は城に置きっぱにしちゃってて、神樹経由か展望台経由でかなって思ってたんだけど……、エメラルディアさんに竜籠で運んでもらった。
「〜〜〜…」
スウィーのジト目が痛い。
そもそもフェアリーは飛べるから、高いところが苦手とかないんだろうなあ……
「キュ〜♪」
「おっと!」
飛び込んできたトゥルーを受け止めてぐるんと一回転。
集まってきたセルキーたちの出迎えを受ける。
「キュキュ?」
「うん。南の島へ行くのは明日だけど、お酒は先に送っておこうかなって」
「キュ〜!」
今日はここに寝かされてるお酒を、運べる分だけ南の島へと運んでもらう。アズールさんやバーミリオンさんも来るし。
エメラルディアさんに運搬をお願いすると、二つ返事でオッケーしてくれた。というのも、
「ダラダラ、してると、セラが……」
なんか圧があるらしい。
俺とミオンはエメラルディアさんもお客様のつもりだったんだけど、どうやら覚醒した白竜姫様が『護衛兼お手伝い』と説明したそうで。
そうなると、俺たちの手伝いを厭わないエルさんとの差が……
「じゃ、積み込みが終わるまで、セルキーたちと遊んであげてください」
「ぁぃ、ぁぃ」
酒樽の積み込みは俺がやるんだけど、シャルやトゥルーたちにも手伝ってもらう。
それが終わったら、あとはエメラルディアさんにお任せ。ガジュたちのところに運んでもらって、夜までに屋敷に直接帰ってきてもらえばオッケー。
「〜〜〜?」
「うん、いいよ。ルピたちも行っといで」
「ワフン」「「バウ」」
スウィーたちはカムラスの実を採りに。ルピはレダ、ロイの里帰りに同行する。
夕方には展望台経由で屋敷に戻ることにして、その時に合流して帰る算段。
「じゃ、先に始めといてくれる?」
「ニャ!」「キュ〜!」
俺はちょっとやっておきたいことがある。
向かった先は旧酒場。中は俺が来ないかぎりは放置状態。
ここに来た理由は……
「どうです?」
「はい。問題ありません。さっそくお掃除しても?」
「お願いします」
セラさん的には俺がマイホーム設定できる場所全てに来られるようにしたいと。なので、すでに盆地の山小屋も登録済み。
あっちは机も椅子もロフトベッドもあるし、外には石窯もあって料理もできるから別荘って感じはするんだよな。
【精霊使役スキルのレベルが上がりました!】
っと、精霊使役スキルのレベルが4に。
契約した時に1で、屋敷に来た時に2に。山小屋の時に3になって、今、4になったってことは、セラさんが行ける場所が増えるごとにかな?
まあ、エピックスキルだから、他にも何かあるのかもだけど。
「こちらの釣具は片付けても?」
「あ、はい。こっち散らかっちゃってるんで、整理とか全部お任せします」
「かしこまりました」
あとは任せちゃって、俺も積み込みにいこう。
………
……
…
「お願いします」
「ぁぃぁぃ」
そう答えた竜姿のエメラルディアさんが、竜籠を持ってふわっと飛び上がる。
竜籠にいっぱいってわけじゃないけど、それなりに酒樽を積んで重いはずなんだけどなあ。
「よし! 夕方まで何する?」
「キュ〜!」
「おっけ。じゃ、船を出してくるよ」
明日また南の島に行くのに、ガジュたちにおみやげを持っていきたいと。
捕まえた分は、セルキーの棲家の生簀に入れといてもらえばいいかな?
「ニャニャ」
「うん。よろしく」
シャルたちはスウィーの様子を見にいって、その後は水揚げの準備をしてくれるとのこと。
「じゃ、行きたい子たち呼んできて」
「キュ〜♪」
トゥルーが走っていって海へと飛び込む。走るより絶対早いもんな。って、きっとすごい勢いで帰ってくるはず。俺も急がないと!
***
「明日はラムネ殿も来られるそうだぞ」
「は?」
夕飯を食べ終わってデザートタイム。
美姫がさらっとそんなことを言い放った。
「何を呆けておる。離島互助会の会合に参加してくれるという話であろうに」
「いや、ありがたい話だけど、ひょっとして本人が来るの?」
「うむ」
マジか……
あれ? ラムネさんが自分の島を出るのって初めて?
「っていうか、ラムネさんも会議に出るの?」
「心配せんでも、シトロン王国の事務方も来られるそうなのでな。ラムネ殿はセレモニーの前後は、ベル殿と観光に行くと聞いておる」
「なるほど」
どんな物をどれくらいやり取りするか、最初は適当でもいいだろうけど、ある程度は決める会議をするとは聞いている。
「で、セレモニーって何?」
「コラボライブなのだから、見栄えは必要であろうて。兄上、サバナ殿、ベル殿、ラムネ殿で離島互助会の設立を宣言をする手はずとなっておる。詳しいことは、この後聞けばよかろう」
「まあ、そうか」
コラボライブではあるけど、今回どういう内容にするかはベル部長にお任せ。
その方がいろいろとうまく調整してくれそうだし。
「ラムネさんとこのシトロン王国って、何か名産品とかあるんだっけ?」
「ピスタシア、リアルでいうところのピスタチオが有名よの。現状では少量が本土へ輸出されておる」
ピスタチオかー。
スイーツで使ってるやつとか美味しいし、少しでいいから欲しいところ。
うちの何かと交換してくれると嬉しいんだけどな……










