第629話 いろんなこと慰労会?
夜。ログインして、アージェンタさんを迎えるための準備を。
モルトウイスキーが好きだったし、それに合いそうな厚切りベーコンをメインの料理を作っている。
「味見してみて?」
「はぃ」
ランジボアの厚切りベーコンとメランザ(ナス)を、ライコス(トマト)で煮込んだもの。
小皿に少し取って、ミオンに味見してもらう。
「すごく美味しいです!」
「良かった。じゃ、あとは……」
「お任せを」
焦げ付かないように見てもらうのは、セラさんにお任せ。
今まではエルさんにお願いしてたんだけど、家事全般はセラさんの担当ということになった。で、エルさんにはアージェンタさんを迎えにいってもらってて……
「ワフ」
「あ、来たっぽい。出迎えようか」
「はぃ」
玄関へと急ぐと、かなりお疲れ感が漂うアージェンタさんがいた。
「ショウ様。お招きありがとうございます」
「いえいえ。いろいろと報告とか聞きたいこともあるんですけど、まずは食事にしましょう。白竜姫様も待ってますし」
「ありがとうございます」
応接室に入ると、
「アージェー」
「お姫様。お体の調子は?」
「げんき〜」
そのやりとりに感慨深く頷いているエルさん。
ずっと寝たままだったことを考えると、今はちょっと睡眠時間が長いぐらいだもんな。
「セラさん、お願いします」
「かしこまりました」
その様子を見てエメラルディアさんの方を見るんだけど、
「ぃぃ子、だから、大丈夫」
「そうですか。エルから報告がありましたが、エメラルディアもお疲れ様でした」
「ぅ、ぁぃ……」
褒められ慣れてないのか、戸惑ってるエメラルディアさん。
そんなやりとりをしてるうちに、セラさんによって食事が用意された。
白竜姫様が待ちきれない様子だし、話はしっかり食べてからかな。
………
……
…
食後のデザートタイムに、改めて北端の城と塔。そして、地下からネクロファージャとの戦いまでを話した。
だいたいはエルさんから伝わってるし、細かいことはこのあと向こうで話そうと思ってるんだけど、相談しておかないといけないことを先に。
「エルさん、セラさん。お願いします」
「了解した」「かしこまりました」
しばらくして、セラさんが大きな魔晶石、エルさんがさらに大きな魔晶石を持ってきてくれた。
それを見て驚きを隠せないアージェンタさん。
「エルさんが持っている方が、ネクロファージャの魔石だった方です。これって死霊都市の副制御室に使えるサイズだと思うんですけど、どうします?」
「そうですね……」
とアージェンタさんが考え込み、ちらっと白竜姫様の方を見る。
あれ? 覚醒してる?
「今はこの島に置いておく方がいいわ。その方が安全でしょう」
「なるほど。では、いずれ使う時までお預かりいただけますか?」
「了解です」
すぐ使うわけじゃないなら、うちで保管しておくのが一番安全だもんな。
前は転移魔法陣の固定を外したかったけど、あっちが南の島に繋がったことで、なんなら動かせない方がいいまであるし。
「セラさんが持ってる方は、前にアージェンタさんに送ってもらって潜入した、港湾施設の古代遺跡から持ってきたものです」
悪魔に取られるよりはマシだろうと持ち出しちゃった話は伝わってるはずだけど、
「こっちは本来の持ち主に返そうと思ってて」
「なるほど……」
頷きつつも、少し迷っている風のアージェンタさん。
「だいじょぶ、だよ。エサソン、あの子に、懐いてた、から……」
エメラルディアさんのフォローに白竜姫様も頷く。
ただ、実際に受け渡す時にアズールさんも同席することになった。
「そろそろ向こうを見に行きたいわ」
「ショウ様。お願いします」
「了解です」
白竜姫様、城は見たけど、塔と地下は見てないんだっけ。
そういえば、地下の残骸も調べないとだよなあ。
………
……
…
城と塔をざっと見回って、問題の地下室へと来た。
「これはひどいですね……」
「時期がいつかはわからないんですけど、多分、厄災があって、魔導安全柵が止まっちゃってってあたりかなと」
厄災が起きたのってかなり前だろうけど、その頃から捕食を繰り返して、あそこまで成長したんだろうなあ。
「竜の都で調査は進んでるの?」
「いえ、任せられる者もいない状況です……」
白竜姫様の問いに申し訳なさそうに答えるアージェンタさん。
竜の都には、かつて住んでいた古代の人たちの廃都市があって、そこには魔物の養殖の記録とかがあるかもしれないんだけど……、やっぱり人が足りないよな。
「ここ、埋めちゃうつもりですけど、その前に調べたりします?」
「そうですね。アズールを来させましょう」
じゃ、転がってるものの鑑定はその時にアズールさんに聞きながらにしよう。
このガラスっぽいものとかも気になるけど、今すぐやらなくても別にって感じだし。
地下室は封印して、その後の戦闘について食堂に戻ってきて説明を。
とはいえ、俺はとどめを刺したぐらい。エルさんとエメラルディアさんがいないと負けてたんじゃないかな。
「そういえば、答えられたらでいいんですけど、エルさんが呼び出した大盾とか短剣って何なんです?」
俺の問いに白竜姫様の方を見るエルさん。
言っていいのかどうか確認なのかな?
「エルは月白の女神の使徒よ。厄災を止めて寝込んでしまった私を護衛するために、女神が遣わしてくれたの」
「「え?」」
侍女っていうのは建前上のことで、実際は護衛だったってことか。
女神の使徒ならアージェンタさんたちがエルさんを信用するのも納得……、って俺もだっけ。
「私が普段持っている天空の槍。呼び出した永遠の大盾。ショウに貸した不可視の短剣は、いずれも神器と呼ばれる武具だ」
「そのネクロファージャを倒さねばならないというエルの判断に、女神も同意したのでしょう」
いつでもどこでもホイホイと召喚できるものでもないらしい。
そんなものをポイっと渡された俺って……
「気にする必要はありません。ここには翡翠の女神もおられますし」
え? それは違うような……、いや、違わないのか?
うん。深く考えるのはやめよう……










