日常を過ごす
ベンチに来たK2はあたりを見回すと、端にアクアとユーキャンが座って話していた。近寄って声をかけた。
「やあ、都記奈は来てないんだね」
「あ、K2。今まで何してたの?」
「ん、ああ、ちょっと、別部署の幼馴染みの相談に乗ってたんだ」
「ふーん、特攻部の人?」
「そそ」
二人に質問攻めにあう。K2も質問をしようと思ったが、それは都記奈の介入でできなかった。
「お待たせー。ごめん、遅れちゃったかな?」
「いや、5分前だよ」
そうユーキャンが答えた。
「じゃあ、みんな揃ったことだし、行こうか」
K2がそう促すと、座っていた二人が立って、四人で外に出た。
「どこ行くの?」
本所から少し歩いた歩道で、アクアがK2の視界に顔を覗かせると、質問してきた。
「いや、ブラブラ歩いて面白そうなとこがあればそこに行くみたいな?」
相変わらず綺麗なブロック敷の歩道の上を歩く。
駅の周りは会社の高層ビルが林立しているが、少し行けば娯楽施設なり商店なり飲食店なりたくさんある。
そこまで四人で歩いていた。
「そう言えばもうお昼だったね。みんなはもう食べちゃったの?」
アクアの質問に食べてないと答えるとみんなで昼食を取ることに決まった。
「どうするー? なに食べるー?」
「ラーメンとか? 餃子とか?」
「いやいや」
K2の提案にユーキャンが否定する。
「口が臭くなるからいや!」
「そんな、大して臭くならないって。直射日光の当たる場所に二日間置き続けた牛乳より断然臭くないから!」
「出た、それ!」
K2の言葉に笑いながらアクアが反応した。
以前、アクアとユーキャンとK2の三人でキャンプに行った時にそのようなことがあったのだ。
当然、そこに居合わせていない都記奈がなんだか分からないといった顔をして言ってきた。
「なに、それ?」
「ああ、以前この三人でキャンプに行ったことがあってね、その時に起こったことなんだよ。ユーキャンがね……」
ユーキャンの名前を出すと、ユーキャンが反応した。
「え、私? あれ、私が悪いの?」
「え、どう考えてもそうだろ。なあ、アクア」
「あれはユーキャンのせいね」
「ええー! アクアまでー!」
「それで?」
都記奈が話の続きを聞いてくる。
「ああ、そうそう、それで、ユーキャンが牛乳を持ってきててね。持ってきてカバンから出したときはすっごい冷えてたんだよ。それで、それを飲むって言い出したんだけど、まだテントもフライもかまども立ててなかったからそれはあとにしてって頼んだらユーキャン、それを切り株の上に置いたんだよ。それまではまだ良かったんだけど、設営終わったあと、ユーキャン、まんまと牛乳の存在を忘れてね。そのまま、二日が過ぎて、帰る時になってやっと牛乳のことを思い出して、そう、気づいた時にはもう……」
「その牛乳はどんな状態になってたの?」
「半液体状になってたよ。しかも、質が悪いことに少しだけその牛乳開いててね、臭いが洩れてたんだよ。もう、最悪だったよ。持ち帰れないからって掘ってあった汚水穴に捨てたんだけど、汚水穴に近づけないくらいに臭っててね。汚水穴を埋めるの、苦労したよ」
「そんなことがあったんだー。ってかなんで牛乳!?」
「いやー、飲みたかったんだよー。気分だよ、気分」
「あーあ、その気分が爆弾を生んだのか」
「K2その言い方はひどいなー」
「ひどいのはそっちだろ、男だからってあのクセー汚水穴を埋めさせやがって!」
「あのときはありがとね」
「くー、ムカつくー」
みんなで笑いあった。
都記奈は羨ましそうな顔をする。
「でも、キャンプいいなー。私も行きたいなー。今度連れてってよ」
「うん。でも、どうせなら調査部のみんなで行きたいね」
「あー、アクア、それいいアイデア!」
ユーキャンが興奮気味に言うと、確かに、とK2は一度頷く。そして、淡々と言った。
「機会があったらだな」
「そうだね。……ところで、お昼は?」
「「「あ」」」




