広がる闇に煌めく光 26
立ちこもる湯気。その原因は一言に肩まで満たされたこの広いお湯だった。風が吹き、その湯気も釣られて運ばれる。冷たい空気も暖かいお湯でポカポカと体が温まっていった。と同時に疲れも吹き飛ぶようで。
K2は体を伸ばし、リラックスする。まるで長期休暇中の布団の中のようなだらけた顔をする。ついこの間まで長期休暇があったのにも関わらず。
「ん、あぁー」
息を漏らし、肩まで浸かると、視界には湯気の向こうに一面広がる星空があった。
静かな露天風呂にK2が一人、完全に肩の力を抜いてリラックスしている。K2は程々に顔を紅くしてした。
「そろそろ、出るか」
K2は湯から上がると、体から湯気が出ていた。芋のようにホクホクしたまま、体を拭いて着替える。
「お待たせー」
オレンジ色の夕焼けのようなキャンドルライトが所々光るカフェのようなこの広いフロアにK2が入っていくと、答えたのはすぐ近くのテーブルに座っているチナだった。
「うん、やっぱりさっぱりした方が顔がシャキッとしてるよ」
「いやー、いつ入ってもいいね、ここ!」
K2が髪を雑に分けると、チナの目の前、ソファに座っているK2の一つ年下の女子、天仲社が返答する。
「航ちゃん、なんか顔が疲れてたからね」
K2はテーブルの周りに座ってる五人の特別対策部のトップランカーを見て、顔が緩んだ。
「あ、そうだった? ……俺、ちょっと飲み物取ってくる」
そう言って、顔くらいの高さに陳列している植木を横に、K2は薄暗いこのフロアを縫って歩いていった。
ここは、対策部の部署だ。
谷保町の西部は温泉地になっていて、そこに部署がある。そのため、部署の中には温泉があり、K2だけでなく、対策部の者ならよく利用するある意では人気スポットだ。
一つこの部署に難があるとすれば、敷地に高低差があるため、階段が多かったりする。
どのフロアもキャンドルライトで薄暗い雰囲気で、建物は赤茶色のレンガがベースとなっていた。
K2はミルクティーを片手に椅子に座る。
通常ならどこかの会議室等で会議をするべきなのだが、なにせ会議を仕切るのは楽観主義の特別対策部部長とチナだ。二階にあるカフェで会議をしてもまるで不思議ではなかった。そして、それに遺憾を訴える人もいない。焦っていたはずのK2ですら、この場ではリラックスしていた。
「そういや、今日、タクは?」
「うーん、多分、別で活動があるんじゃない?」
K2が考える素振りをしながらそう言うと、社の隣に座っている神矢弥生が返事をする。
「あー、タクって調査部のエキスパート格でもあるんだよね」
K2の三つ年下の弥生がそう言ったとき、唐突に杏子が声を漏らした。
「えっ?」
「どうした? お得意の第六感でもはたらいた?」
K2がティーカップに入った熱いミルクティーを啜ってからそう言うと、弥生のやや軽い怒声が聞こえてくる。
「ちょっと、航ちゃん!」
しかし、その声に杏子が怒りを鎮めるように、次の言葉を遮るように言った。
「いや、そうみたい」
「「「「え?」」」」
四人の声が重なる。K2は右手に持っていたティーカップを置いた。
「アイディオクスが出た! この建物の一階、外!」
杏子が焦り気味にそう言うと、この建物内に放送が鳴り響く。
「敷地内にてアイディオクス発生。敷地内にてアイディオクス発生。場所は一階外広場。直ちに駆除せよ。繰り返す……」
チナが杏子に問いかけた。
「杏子ちゃん。形態とか容姿とか分かる?」
「ちょっと待ってね。…………うーんと、銀っぽい色で、大きさはそこまで大きくないよ。高さが二メートルちょっと。亜巨獣型かな」
第六感を集中させてるのか、真剣な顔で杏子が言うと、チナは、ありがとう、と礼を言った。そして、その場で立ち上がる。
「駆除しよう! 私たちがやれば被害も少なく済むと思うし」
チナが気合いを入れてそう言うと、K2が笑いながら返答する。
「そりゃ、そうでしょ」
「なんか、ムカつくー!!」
チナが不服そうにそう言った。
「こっちに来るよ!」
杏子が焦るように叫ぶ。そこで、K2はミルクティーを啜った。
「じゃあ、行こう!」
チナが士気を上げるためと気合いを入れて言った。それに同調して、特別対策部の部員は立ち上がる。K2以外。
部長は知らない内にこの場から消えている。部長は部長で、今起こっているこの出来事で招集されたのだった。
一言声かけてくれてもいいのにと、ここにいるみんなはこの場で心の中で呟く。
「じゃあ、頑張ってー」
軽く右手で手を振りながら軽い口調でそう言うと、怒るように、呆れるように、弥生がK2に言葉をぶつけた。
「ちょっと! 人言じゃないんだよ!」
しかし、K2は顔色一つ変えず、笑いながら、言葉を放つ。そこにはどこか余裕というものがあった。
「大丈夫。分かってるよ」
「弥生ちゃん、いいよ。航ちゃんなんか放っておこう?」
「そうだね」
チナが憎ったらしくそう言うと、当然ながら弥生はそれに同意した。
そして、議長であるチナが率いるK2以外の特別対策部のメンバー、社と杏子と弥生、は揃ってこの建物の出入り口に行くために一階に降りる階段に向かって歩いていった。
完全に彼女らの背中が見えなくなると、K2は席を立った。
「お冷でも持ってこようかな」
K2は近くからセルフサービスのお冷を持ってきて、また席に座った。
みんな、ごめんね。
K2は心の中で心の底から今戦っているであろう特別対策部の仲間に謝る。
そして、持ってきたカバンから小さめのケースを取り出した。それを開けると、そこにあるのはバラバラになった拳銃。正確にはそのような形になる予定のe波専用機器。あの時の作戦で大活躍したK2のパートナー的存在だ。
K2はそれを組み立て始めた。
まったく、俺は猫舌なのに。まだミルクティーがアツアツの時にどうして出現しちゃうかな、アイディオクス。飲み干さなきゃ。
心の中でブツブツそう言いながら、K2は目の前の精密機器を組み立てていた。
「みんな準備はいい?」
K2に背を向けて歩き出したチナたち一行は戦うにあたって、その準備を歩きながら行った。
チナは歩きながらK2を思う。さっきまでの言動。チナから見るに、K2はいつだって自分には思いつかないことをする。たまに言っている意味が分からない時もあった。しかし、その度に、K2はK2なりに自分の役目を果たそうとしていることは知っている。だから、今回も、何か策があるのだろうと思っていた。そのため、喧嘩をしている場合ではなかったこと、チナはよく理解している。
そして、今に至っていた。
「いいよ、チナちゃん早く向かおう」
チナは社の声に反応する。
「もう、みんな準備できてるよ」
チナが少しぼぅーっとしていたことに気づいた社はそう付け加えて言った。
「分かった! よし、行こう!」
チナの声に三人の少女はやる気に満ちていく。そして、声と同時に一階フロントに繋がる階段を駆け下りていった。
「チナちゃん、来る!」
杏子がそう叫んだ瞬間、四人の下の方から轟音が鳴り響いた。それと同時に外から姿を現したのは白銀色の巨体。二足歩行で頭には尖った耳のようなものが後頭部から生えていて、猫背だった。そして、体はゴツゴツしている。
わざわざ出入り口からお出ましかー。礼儀正しいアイディオクスで。
と冗談が出かかった弥生だったが、ギリギリでその言葉を飲み込んだ。
「キラキラしてるし、あれって金属だよね?」
チナが走りながら言うと、答えたのは社だった。
「多分ね。電気を流そうか」
「そうだね。すぐに倒して航ちゃんのやる気の無さを叱ってやろう?」
弥生が笑いながら言ったが、杏子は倒しただけでK2を叱るってどういうことだろう? と思ったが、それをいうことはなかった。それは杏子の優しさだろう。
「じゃあ、社は後ろに回って足止め。弥生ちゃんは正面から電気を流して。杏子ちゃんはそれの補助。私は事態を悪化させないように何かあったらそれに対処する。それでいい?」
チナが言うと、全員頷いた。すると、社は走る速度を上げ、階段を誰よりも早く降りると、階段の数段上のところで大きく跳び、宙返りしてアイディオクスの後ろに立つ。
「ハア!」
社は両手を開いてアイディオクスに向け、e波を放った。拘束系e波。e波によって相手の動きを止める高度なスキルだ。
社がしたのはその中でも、ターゲットを囲うようにe波を放ち、一定の、e波という波の中に拘束するというものだ。社はその技を、鳥籠、と呼んでいる。
社の鳥籠で痙攣するような動きをしたままその場で止まったアイディオクスの真正面に弥生、アイディオクスを見て右の方にチナ、左の方に杏子が立った。
「行くよ!」
弥生がそう言いながら右手を開いて前に突き出し、左手で右手首を握る。
すると、杏子はアイディオクスの全体と、弥生の手までの範囲で真空になる空間系e波を発動させた。
「雷神!!」
弥生はそう叫びながら手からe波を放出させる。しかし、手から出たのは雷のようなe波の乗った電気だった。
杏子の作り出した真空の中を電気が流れる、アーク放電を起こしている。
猛烈なスピードで流れる電流は躊躇いもなくアイディオクスの方へ進んでいく。
アイディオクスは、しかし、それを恐ることなく受け止めた。突き出した両手の左手で。と思うとすぐにアイディオクスの右手から左手で受け止めたそれと全く同じものが流れ出た。
弥生に向かって進む電流で、その恐怖で弥生は目を見開くことしかできないでいる。
「あっ!」
かぼそい声を洩らす弥生。体は動けなかった。
もう目の前に……。
時間が遅く流れる感じ。弥生は目を強く閉じた。覚悟を決める。
しかし、弥生の想像するその時はいつまで経っても来なかった。
弥生はゆっくりと目を開ける。すると、目の前にいたのはチナだった。右手には短剣が握られている。
「チナちゃん……」
弥生の声を背にしてチナはその短剣を地面に刺した。耳に響くような高い音が響きわたると、短剣で受けた電流を地面に流す。
「大丈夫?」
チナが後ろを向いて弥生の全身を眺めた。
「うん! ありがとう! チナちゃん、やっぱりかっこいい!!」
チナは弥生のその言葉に口元が綻ぶ。
「私は特別対策部議長、高村ちな。絶対みんなを守る」
決め台詞を誰も否定することはない。
チナの台詞の後、いきなりアイディオクスが動き出した。それに全員体を跳ねさせるほど驚く。
「え!? 私の鳥籠が破られた!?」
社が叫ぶと同時にアイディオクスは上へと飛んだ。と思うと、チナや弥生や杏子のいるところを飛び越え、その奥の階段を跳ねながら上がっていく。その度に着地した階段は壊れていた。
「ヤバイ!!」
誰となくそう叫び、合図もなしに走り出す。
全員がさっきまでいた二階のカフェテリアに上がってくると、もう既にアイディオクスはカフェの真ん中ほどに移動していた。
さっきまでの階段の損傷を考えると、想像もつかないほどここはなんともない。アイディオクスが歩いたところを机や椅子が当たって少し乱れていたくらい。
しかし、それ以上に驚いたことは、やけに静かなことと、アイディオクスの目の前にK2がゆったりとミルクティーを飲んで座っていることだ。まるで友達同士にでもなったかのように、アイディオクスは大人しく、アイディオクスを前にしたK2もリラックスしていた。K2自身、そうは思っていないのかもしれないが、他人の目線からはそう見えた。
アイディオクスと馴れ合うことはできない。その状況に四人は絶句していた。
「航ちゃん!」
やっと出たチナの声も、聞こえていないのかはたまた無視しているのかK2は応答するどころか四人の方を向くことすらしない。
四人の同年代の少女が横一列に並んでいるにも関わらず、K2はそちらに目もくれないでいた。
K2が無反応なのに、弥生は少なからず遺憾に思うが、声に出せるはずもない。
四人はその場に立ち尽くしたまま、面と面を向かい合わせているK2と亜巨獣型アイディオクスを眺めていた。
すると、K2はミルクティーが入っているはずのティーカップを置き、いつの間にかテーブルの上にあった透明のコップを右手に持つ。コップいっぱいに入っている液体は透明だった。
すぐにそのコップの中に入っている液体をアイディオクスに掛けた。
四人は遠目でK2を見ると、どことなく笑っているように見える。
と思うと、K2はソファの背もたれになっている背丈よりも少し低いくらいの塀を裏に飛び移った。
その時だった。今までアイディオクスしか見てきていなかったK2が四人を見る。それは四人の少女としての魅力に今やっと気づいたなんていうようなことではない。K2のその顔は真剣そのものだった。
計算していたのだ。こうなることを予想してわざと自分だけ四人とは別行動を取ったのだった。流石に少し抜けているところのある弥生でもその事に気づいた折には、それはそれで不快である。
そして、K2は叫んだ。
「作戦、エンクロージャー!!」
凄絶な地響きに流石のK2もそちらを向いた。四人の仲間たちを見送った階段の先。詳しく何が起こっているのか、K2は知る由もなかった。しかし、駆除の標的になっているはずのアイディオクスがK2のいるカフェに近づいているのはなんとなく分かる。
恐らく、ここまで来るだろう。
その予想が的中しそうなのをK2は薄々感じていた。手元のコップの水面には波紋を作っている。
「そろそろかな」
まるで全てを見通してるかのように、いや、見通していたかのようにK2は予想通りの出来事に遭う。
K2が呟いた瞬間、階段の下から白銀色の塊が勢い良く躍り出た。
カフェには誰もいなかった。それゆえ、混乱などは起こらない。
K2一人、カフェの真ん中に座っている。まるで白いシャツに赤ワインをこぼしたよう、これ以上目立つことはなかった。
だから、当然アイディオクスはK2の存在に気づく。そして、アイディオクスは一歩一歩確実にK2の方へと歩いていった。
K2が一つ予想外だと言えば、礼儀正しいと言えるほどに大人しいことだ。てっきり、K2を踏みつぶさん限りに飛び込んでくると思っていたのだが、アイディオクスの取った行動は、K2の方へと歩いてくるというものだった。少し近づいて、攻撃をしてくるのかとも思ったが、そんな雰囲気はどこにもない。ただ、人間のように、歩いてくるのみ。体にぶつかった椅子やテーブルに関しては強引に通ろうと、避けもせず、お構いなしに突っ切って歩いてくる。おかげで、整列していたテーブルは少しばかり乱れた。
そして、K2の前に来る。
アイディオクスはやはりアイディオクスだった。
アイディオクスはK2の前で右手を軽く引く。これはどう見ても攻撃モーションに他ならなかった。
しかし、K2も何もしていないわけではない。
アイディオクスが攻撃しようとしたとき、K2は膝に置いている手からe波を放った。それによりアイディオクスは動かなくなる。しかし、駆除をしたわけではない。拘束系e波を放ったのだ。
K2の放った拘束系e波は社の使う鳥籠とは少し違う。重力、圧力、磁場などを操作して、空間内に強い力をかけ、拘束するというものだった。
アイディオクスは止まっている。そこで、K2はティーカップを手にし、残りのミルクティーを飲み干した。
その時、仲間の四人がこのカフェに現れた気配がしたが、K2はあえてそちらを見ない。ティーカップを置くと、次に手にしたのはその隣に置いてあるコップだった。先ほど持ってきたお冷だ。透明のコップに入っているのは水。
K2はそれをアイディオクスに向かって掛けた。綺麗な軌道を描いて、その水は全てアイディオクスにかかる。すると、K2は一気に室温が暑くなるように感じた。実際は室温が暑くなったのではない。水がかかったアイディオクスが化学反応を起こし、熱を出しているのだった。
それが分かったK2は自分の思った通りだと微笑する。
やがて暑さに、いや、熱さに耐えられなくなったK2は背もたれを超えて後ろへと跳んだ。
そして、K2はやっと四人を見る。そして叫ぶ。
「作戦、エンクロージャー!!」
K2の声に四人は反応する。
「エンクロージャーってなんだっけ?」
「囲い込みのやつだよ」
「ああー」
チナの質問に答える杏子。そんなヒソヒソした声がK2にも聞こえては来たが、無視をした。
K2は反対側が背もたれになっている、身長より低いくらいの仕切りに、まるで身を隠すように背中をつけて屈む。そして、拳銃のカセットを入れ替え、e波の属性を火に変えた。
すでに動き出していた四人のうち、チナがK2の元に寄ってくる。
「ねえ、どうやって駆除するつもりでいるの?」
K2はチナを見て自然な感じに微笑すると、いかにも軽い口調で言った。
「綺麗な花火でもしてみよーぜ」
チナは首を横に傾げる。
「ん? どういうこと?」
「あいつのあの装甲はストロンチウムって物質なんだよ。まあ、ということはあいつはストロンチウム属性亜巨獣型アイディオクスってわけだ。んで、ストロンチウムってのは花火の紅色を出す時の原料なの。だから、燃やせば紅く燃え上がるってわけ」
「え? それって危ないんじゃ?」
「だから、エンクロージャーをやるんだよ」
「ああー、なるほど!」
そう言って、K2から離れていった。すでに他の三人は位置につき、アイディオクスを取り囲むような状態になっている。
チナもようやく準備ができると、アイディオクスに向けて右手を突き出した。K2以外の他の特対部も右手を突き出している。
「いくよ!!」
チナが叫ぶと、アイディオクスの周りゼロ距離に防御性e波壁を作り出した。四方向からの壁に、アイディオクスは囲まれ、拘束された状態となる。身動きが取れなくなる。
そこに、K2は右手の拳銃でアイディオクスに狙いを定めた。と同時に、万一を考え、アイディオクスを取り囲むように空間系e波を張り巡らせる。
「命中率100パーセント、勝率100パーセント」
K2が引き金を引き、火属性のe波が放出される。
やがて、アイディオクスに命中すると、アイディオクスの装甲のストロンチウムは燃え、激しい紅を輝かせた。このフロアの雰囲気が真っ赤に染まるくらいに。
とはいえ、e波によって火はどこに引火することもなく、やがてアイディオクスは駆除された。
被害状況は一階から二階に通じる階段だけで済んだ。
その後、後処理等を手伝い、結局会議は夜九時から始まり、終わったのが十時。その後、K2は一人部長に呼び出され、詳しいことを聞かれた。本当にアシュリーはそこにいるのかなど。しかし、K2には確信があった。なぜなら監視としてヘックスを一定の間隔で偵察に出していたからだ。
会議で決まったこととしては、明日西府都市南部の偵察が対策部のトップランカー、特別対策部が行われることとなった。
K2としては望んだことだったので、気分は良い。同時に考えることもあった。
アシュリーは何をしているのだろう?
K2は握りこぶしを作りながら自動ドアをくぐる。
暗い夜の中、自宅に向けて歩いた。街灯で光る人間の住む街へ。




