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アイディオクス~i-Deox~  作者: ヨウ化カリウム
広がる闇に煌めく光
32/50

広がる闇に煌めく光 9

 勝負が終わって夕方になると、K2は一人、谷保町の北の方に来ていた。なんでも、新しく駅ができて、その前の大通りで創立祭をやっているとのこと。もちろん、これは佐紀ちゃんに教えてもらったことだった。K2自身本当は佐紀ちゃんと来たかったのだが、なんでも、遠征の打ち合わせがあるとのことで、一緒に来ることが出来なかったのだ。かと言って今から誰か呼ぶ気にもなれず、こうして一人でいた。

 祭りの名前は天上天下一。なんでそういう名前をつけたのかは知らない。でも、何かカッコつけてるなーとは思った。厨二病? 良く分からないけれど……。

 駅前の道路は丸く、中央に池がある。その池を取り巻くようにして道路があり、駅と対する方向に真っ直ぐ大通りがある。屋台はその大通りに沿って1kmほど出ており、種類もたくさんあった。朝からやっていたらしいが、今は夕方ということもあるのか、人がそこまで多くなかった。

 駅前、街頭の下。新しい駅を見る。そして、振り返り、歩く。

 大通りの東側を歩く。たこ焼き、お好み焼き、焼きそば、イカ焼き、焼き肉、綿あめ、ベビーカステラ、りんご飴、あんず飴。射的、くじ引き、金魚すくい。メジャーなものからマイナーなものまでたくさん出ていた。

 今は四時。あと二時間で祭りは終わり。しかし、大量の屋台を二時間で周り切るのは不可能だった。

 K2は一角にあったトルコアイスを買う。冷たくて溶けていくのは普通のアイスと変わりない。味もソフトクリームと同じ。しかし、弾力があるのだ。グミと言えば硬すぎる。ガムと言えばそうじゃない。美味しかった。しかし、寒かった。夏ならもっと美味しかっただろうに。

 そして、体が冷えてきた。

 歩いていると、焼きそばがあったので、それを買う。300円。それで体を温める。

 屋台の向かいは建物で西洋を思わせる城のような作りになっていた。中は店が入っていたが、K2は入らずに素通りした。南へ歩いていくと、やがて、建物は無くなり、土があらわになっている植木が生えた場所が見えてくる。そこの屋台はもうしまっていたので、K2は引き返した。


 建物の前、掲示板の横を歩く。

「あれ、先輩。よっす」

 前にいたのは後輩二人。サンタマと時崎宗高がいた。

「あれ? 先輩一人? 寂しいね」

 失礼なことを言ってきた。

「そう言うお前らも男だけでむさいな」

「いや、一人よりいいし」

 サンタマが言う。そして、後輩二人は笑った。

「言ってろ」

 しかし、K2は怒ることなく、余裕な笑みを漏らす。

「じゃあ、俺たち行くから」

 サンタマがそう言うと、後輩二人は歩き出した。時崎は会釈をして、サンタマについていったのだった。


「そろそろ帰るか」

 K2はそう言うが、結局、ベビーカステラを最後に買って、家へと歩き出したのだった。

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