広がる闇に煌めく光 4
K2は部長の無言の圧力に押されながら、しぶしぶエレベーターに乗った。K2はもう、何か思うだけ無駄だと思いエレベーターを降りた時にここが何階なのか分からなかった。エレベーターを降りてすぐ右に歩く。20mほど歩いたところ。そこで部長は立ち止まった。同じくK2も立ち止まる。そこはどこよりも美しく、高級感溢れる彫刻がある大きな両開き扉。それだけで普通の会議室ではないことが嫌でも分かる。部長は三回ノックする。扉を開けると同時に深いお辞儀をしながら失礼しますと言って入っていった。K2もそれにならう。そして、目の前にいたのは……
「さ、最高司令官!?」
「いかにも」
そう言いながら木製の美しいテーブルの奥、後ろを向いていた椅子が回転して前を向く。すると、その椅子に座っているのは気品があり、白髪のある中年男性。
「柿川航太君」
「はい!」
いきなり、低い声で名前を呼ばれる。それと同時に背筋を正して健やかに返事をする。真剣な表情の最高司令官であった。
「さて、君がここに呼ばれた理由は決して君を叱ろうとかそう言う事ではない。単刀直入に言おう。君にオノラリーナイトの称号を授与する」
K2は唖然とした。当然だ。いきなりアイディオクス特攻隊の最高の称号であるオノラリーナイトを授与すると言われたのだから。K2にとってオノラリーナイトは追い求めていたものでもあるので、それを授与した、いや、できたというのはかなり光栄なことであるが、それにしても、なんの予兆なしにそう言われたのだから、唖然とした。するのは当然だ。いや、予兆はあったといえばあったのだが、それをK2は気づいていなかった。
「え……? オノラリーナイトって……」
あまりの驚きに、まるでこれが夢だであるかと錯覚してしまった。もともと心臓の鼓動は激しかったのだが、それはさらに勢いを増し、心臓が動脈が破裂してしまうかと思う。
「そうだ。まさにそのオノラリーナイトだ。君が命をかけて持って帰ってきたアイディオクスのDNA。あれは我々人間にとってかなり重要なものだ。それを取ってきたという功績が認められ、会議の下、君がオノラリーナイトを授与するに相応しいと決まった。これは名誉あることだ。胸を張っていいんだぞ。これからも我々は君の活躍に期待する。おめでとう」
涙が出そうなのを必死にこらえる。叫びたくなる。それだけK2は嬉しかった。でも、この場でそんなことはできないことくらいK2は分かっていた。だから、堪える。
「はい!」
高らかに、そして、はっきりとそう答えた。
少し笑顔を見せた最高司令官。
「さて、公開の授与式を行うことになるだろう。日にちは詳しくは決まっていないが、年を越した後になるだろう。詳しいことは追い追い伝えていくとしよう」
K2はまた、はい! と返事をすると、部長に連れられて部屋の外へと出ていった。
後で50階のカフェへと足を運んだ。
「良かったな」
カフェは混んでいたが、なんとか席を見つけそこに座った二人は向かい合って、K2は部長に奢ってもらった抹茶ラテを少しだけ飲んだ。
「えっと、はい。でも、部長、何も言わずに連れてかれるのは恐怖というものを感じます。少し、悪趣味です」
「あー、悪かった。でも、あのK2の驚いた顔は傑作だったなー」
そう言って、部長は笑う。K2は失礼な人だなぁ、と思いながら恥ずかしさのあまり下を向いて、さらに、抹茶ラテのカップで顔を隠した。
それから、数分話すと、二人はカフェを後にし、一階まで降りて、車に乗った。
もう、どこかに寄ることはないから、そのまま、家ね、と言われ、車が谷保町のK2の家に向かってるときはもう、K2の安心といったらこの上ないほどだった。




