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アイディオクス~i-Deox~  作者: ヨウ化カリウム
真冬の流れる水の音
2/50

水保駅

 次の日、学校は午前中に終わったので、K2は一度家に帰り、今日の調査に備えて準備をしてから、西井駅に向かった。

 途中、谷保駅でユーキャンと合流する。

 西井駅にみんなが集合したのは集合時間の五分前で集まり次第出発した。

 電車の中では各個人が私的な事をしていた。


 水保駅は4つホームがあり、木でできた屋根と段差の低い石垣が特徴的で、駅自体は階段と廊下と改札口しかない駅だ。ここで降りる人は滅多にいない。

 駅周辺はほとんど何もない為、駅のホームからは町が見渡せる。

「この前来た時とあまり変わった様子はないな。少し田んぼの土が湿ってるかなーくらいだな」

 最初にホームに足を踏み入れた同い年の岡崎都記奈がそう言った。

「よし、一度グループに分けて別々に探索してもらう。指揮は河村がやってくれ。中心はこの水保駅。何かあったら、河村に連絡するか、直接ここに来てくれ。じゃあ、河村、頼んだ」

 部長がそう指揮を取ると河村は返事をして全員に指示を与えた。

「まずは一班二人の四班に分かれてもらう。それぞれ、指揮、事情聴取、地理観察、中心観察だ。指揮と中心観察はここに残ってもらう。後の二つは実際に回ってきてもらう。指揮は全員からの状況を聞き、指令を送る。中心観察はここで町を見てもらう。地理観察は実際に回ってもらい、異常を確認する。事情聴取はこのあたりの人に聞き込みだ……」

 その後も注意事項や非常事態の時の対処、誰がどこの班を担当するかなどが決められた。K2は和也と共に地理観察班となった。

「では、行動開始」

 という河村の合図でみんなは動き出す。


 K2と和也はまず北の方の田んぼを調査し始めた。あちらこちらにある、今は水のない川も田んぼ自体も、歩く道すら異常は確認されない。

「ほんとに何もないな。ここでアイディオクスが現れたことすら疑わしいな」

 K2がそう言うと、和也も言ってきた。

「軌跡を調べてみれば分かるさ」

「そうだな」

 アイディオクスが現れると、そのあたりの磁場は狂うのだ。それを軌跡と呼んでいる。出現してから約3日後に軌跡は強く出るため、調査も出現してから3日後になることが多い。

「どうだ、和也。感覚的に軌跡は見当たるか?」

「いいや、見当たらないな」

「だよなー……。ん? ちょっと待って、この先ちょっと変じゃないか?」

「この先?」

「ああ、冬なのに陽炎が見える。しかも、あのあたりだけ、植物が少ない」

「確かにそうだな。ちょっと行ってみるか」

 と言って二人で駆け出した。200mくらい進んだところはやはり植物が少なくなっている。ところどころ枯れていて、土も少し枯れていた。

「なあ、この感じ。これ、軌跡だよな」

 明らかに感じが違かった。体に与える刺激というかなんというかがまるで違う。圧迫されているような、そんな感じの感覚。

 和也にそう尋ねると手を肩くらいに持ってきて手のひらを上に向けながら答えた。

「ああ。軌跡だな。K2、調べられる?」

「もち!」

 と言って、持ってきたカバンからe波専用機器の軌跡測定器を出した。

 ホームベース型の手のひらサイズの薄いもので、黒曜石のような輝く黒をしている。

 K2はそれの四角い方をe波増強グローブをはめた右手で持って、e波を流した。

 すると、機器の四角い所の中央あたりに8.83の数字が表れた。

「いくつだった?」

 和也がそう聞いてくる。

「8.83……」

「なるほど。やっぱり現れたな、アイディオクス」

 数字は10.00が最大値で3.50以上の値が出れば軌跡としてみなすことができる。

 そして、ここは8.83。軌跡と決めつけてよい数字だ。

「フラグ立てて指揮班の方に報告しよう」

 そう言った時にちょうど指揮班の河村から連絡が来た。

「あー、もしもし、こちらK2。今俺らがいるところが軌跡の……」

 しかし、それを言い終わる前に河村の鬼気迫る声が遮った。

「アイディオクスが出現した! この水保駅から10度の方角、550m先だ。至急戻ってきてくれ!」

 10度ってこっちの方じゃん! と思いながらK2と和也は水保駅の方を見る。

「な! いつのまに!! さっきまでいなかったはずなのに!」

 100m先に水属性と思われる巨獣型アイディオクスが異様な存在感を放ちつつ佇んでいた。大きさは建物3階に相当するくらいだ。

 しかも、水保駅までの道はアイディオクスに塞がれていて、戻ることができない。

「アイディオクスに塞がれていて水保駅に戻れない!」

「分かった。そっちの班は特攻部が二人。駆除できるか?」

 緊張感のあるその声色はK2に緊迫した雰囲気を伝わらせた。

「分かった」

「こちらも集合し次第すぐにそちらに向かう。それまで対応してくれ!」

「了解!」

 そう言って電話は切れた。

 右手からもうひとつの携帯端末をカバンから取り出し、地図にこの場所と、ここから100m先のアイディオクスの位置にフラグを立てる。

 カバンに機器を全てしまうと、和也とアイディオクスの方を向いた。

「和也、いけるか?」

「いける」

 と言ってグローブをはめている両手のひらをアイディオクスに向けた。

「来るぞ!」

 アイディオクスは水装甲の腕らしきものを二人に叩きつける。その勢いは凄まじいものでその場の大気を轟かせた。

 しかし、二人は両手から放たれたe波でその攻撃をガードする。

 すると、アイディオクスの腕は先から2mくらいが粉砕し、まるで爆発でもあったかのように、かなりの水が二人を囲うように拡散した。

「ふー、なるほどね。こりゃ田んぼの土も全面的に濡れるわ。さてどうしようか。あの装甲は水。対策を練るためにも少し闇雲にやって見るか」

 脅威と言っていいほどの敵を目の前にK2は淡々とそう言った。

 アイディオクスを駆除する方法。それはアイディオクスの持つ核をe波によって焼き切ること。

 しかし、アイディオクスの持つ核は四重の核膜に覆われているため、少しのe波では焼き切ることができない。

 しかし、だからといって、弱点がすぐに見つかるほどアイディオクスは甘くない。

「分かった。まずはe波を直接流してみるか。二手に分かれよう。僕は正面から。K2は後ろからやってくれ」

 和也も同じように焦る様子も全くなくそう提案する。

「了解」

 そう言うと、アイディオクスはまた腕をあげる。その動作が見られたと思うとすぐに空気を震わせながら振りおろした。

 それを二人はタイミングを見計らって、それぞれ左右に跳ぶ。

 このような図体の大きい相手は攻撃範囲が広い代わりに密着に弱い。と、相場が決まっている。

 K2はアイディオクスから離れすぎないようにしながら後ろに回った。アイディオクスには意識をしつつすぐに移動する。

 途中で右手でe波を発し、腕から50cmのあたりでまた手にe波が戻ってくるようにコントロールし、空気中に流れている特殊な波の空間、つまり、腕から50cmまでの間のe波の空間を作り出した。流れているe波は波の進む速度をあげていき、波によって物体を切ることができる刃を作り出した。

 さっきのガードの衝撃であの水装甲は拡散したんだ。きっとこれでも切れるはず!

 そう思うとアイディオクスの右足のような部分に接近する。そして、目の前の柱のようなそれを切った。

 足は切断され、切断部より下の足の水装甲が拡散、跡形もなく地面に流れる。その勢いは濁流にも似ていた。

「よし! 大成功!」

 その時、アイディオクスは右足を失ったためにK2の方へ傾く。

 K2はそれを見据えた。目を開かせながら、脳が働くよりも早く足を動かす。

 やがて、アイディオクスは地響きを轟かせながら倒れた。

 K2はなんとか避けると、そのまますぐに後ろに回り込む。

 アイディオクスには尻尾のような物があった。そして、背中には触手のようなものが何本か生えている。もちろん、それもこれも水でできているが。

 やがて、巨大な兵器が動き出すように体勢を起こしたアイディオクスは右足を一歩前へ動かした。

「!?」

 なんと、アイディオクスの右足は再生していた。気づくと、最初に破壊した腕も今はなんともなかったかのように再生していた。

 K2はこの不思議さ奇怪さに一瞬戸惑いを見せたがすぐに一つの仮説に思い当たる。

 なるほど、水だから好きなように形を変えられるわけか。

 そう思うK2はしかし、尻尾を切った。

「うらぁ!」

 少しの時間でよかった。真後ろに接近するには尻尾による攻撃を恐れたのだ。

 全力で走り、すぐに真後ろに来ると、尻尾が再生しても攻撃が届かないところに立つ。

「和也!」

「分かった!」

 このアイディオクスの核は水装甲なので、透けて見える。二人はその核の方に両手を向け、e波を放った。

 しかし、何も起きる様子がなく……。

 と思った時にはもう遅く、K2の両サイドにあった足は地面から離れていた。しかも、いつの間にかK2はアイディオクスの真下にいる。

 K2の顔には焦りが見え、目もいっぱいに開かれていた。

 そして……。

 K2は言葉を発することなくアイディオクスに押しつぶされた。

「航太!!」

 和也はそう叫んだ。しかし、和也の不安の目に報いることなく、静寂が流れた。K2の声は聞こえることなく、また、水の流れすら聞こえない。押しつぶされたところは、K2が見えるが、状態まではっきりとは見えない。和也の鼓動は一気にリズムを早くさせた。

 やがて、アイディオクスが上体をゆっくりと起こす。すると、そこには両手を上にあげたK2の姿があった。

 K2は空間系のスキルによって自分の周りの状態を維持させたことで、今の攻撃を防ぐことができた。

 和也は安堵する。

「たく、危なかったぜ。ふっ、お返ししてやるよ!」

 そう叫ぶとK2は両手にe波の刃を作り出す。そして、K2の周りにあった水装甲を素早い連続斬撃で切り刻む。

 そして、体勢を崩してK2の上から潰すように倒れると、K2のいるその部分の水装甲はK2のe波によってまるで緊張状態にあったものが一気に緩むかもように勢いよく弾け飛んだ。

 K2は前に歩き出し、和也のとなりに来ると、アイディオクスの方を向いた。

「なあ、和也。手応えあったか?」

 目の前のアイディオクスを見据えたまま言う。

「いいや、全然」

「だよな……。飲み込まれたとき分かったんだが、こいつの水装甲、流水だ」

「なるほど、確かにそれは無理だ」

 今回の水属性巨獣型は流水によってe波がかき消され、核を焼き切るほどの強いe波は届かない。

「どうしようか……」

 考えていると、和也が呟いた。

「電気……」

「やって見るか」

「分かった」

 そう言うとK2はカバンからアイロンのような、四角い分厚い板に取っ手がついた真っ黒のe波専用機器を二つ取り出す。

 そうして、それを一つずつ両手で持ち、倒れているアイディオクスに四角い板の部分を触れさせた。

「いくぞ!」

 そう言ってe波を流し込む。

 アイディオクスがすぐ目の前数十センチメートルという近さで緊迫した雰囲気が漂う。

 黒い板からは電気が出る。

 はずだった。

 しかし、実際は何も起きることがなかった。

「超純水。混じり気のない水は電気を通さない。厄介な。K2、その方法はダメだ!」

 なるほど。

 とK2は思うと、二つのe波専用機器をカバンにしまった。

 すると、アイディオクスは急に、前触れもなく立ち上がった。

 その時、違和感を感じた。

「なあ、和也。あいつ小さくなってねぇーか?」

「ああ、なってる……。なるほど。あの水装甲の絶対量は限られてるんだ! だから、切っていったとき、あの装甲の水の量が減って、小さくなっていったんだ」

「それなら、あいつを切り刻んでいけば……」

「「e波は届く!!」」

 二人でそう言うと、両手にe波の刃を作り……。

 と、したとき、いきなりアイディオクスが両腕を地面につけた。

「なんだ!?」

 和也が叫び二人は身構えると、少しずつだが体長が大きくなっていっていくのに気づく。

「な!?」

 地面に接している四肢を見ると、そのあたりの土が少しずつ乾いていった。

 と同時に、地面から水が流れ込んでいた。

 やがて、腕を上げると、最初ほどではなかったが、確実にさっきよりからは大きくなっていた。

 水を吸い取ったと思われる地面は完全に枯れていて、もはや、死んでいた。

「くそっ! 切っていくこともできないのかっ!」

「ああ。でも、K2、これじゃあ、あいつを倒すことは……」

 K2は考えた。

「火はどうだ?」

「いや、ダメだ。今日は最低武装しかしてきてない。あの量の水に対しての火力が弱すぎる」

「なるほどな」

 いくらアイディオクスでも、弱点はある。対処は存在する。しかし、それは今やった方法では成り立たない。

 くそっ! どうすれば!

 その間にもアイディオクスは背中の触手を蠢かせ、今にも何かし出しそうな雰囲気を漂わせていた。

 あの装甲があっては攻撃は核に効かない……。それなら……。

「……俺に一つ考えがある」

 K2はその内容を和也に伝えると、やってみるかと言って笑ってみせた。

 二人は持っているカバンを足元に置くと、K2は中から手にはめる形の大砲型のe波専用機器を取り出し、右手にはめる。

 機器の発射口をアイディオクスに向けると左手で支えた。

 二人の心臓は最高潮に達する。そして、K2が大きく息を吸った。

「作戦開始!」

 K2の叫び声と共に機器から強力なe波が空気を震わせながらアイディオクス目掛けて一直線に放たれた。

 この波動砲が放たれると見事アイディオクスに命中。透けて見える大きな核の下のあたりに水でてきた洞窟のように大きな穴が開く。

 アイディオクスは少しだけ後退した。

 K2ははめていた機器を取り外すと足元に置く。

 右にいる和也と手を繋ぐと、徐々に徐々に小さくなっていく大きくあいた穴に向かって走り出した。

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」

 雄叫びと共に二人はあいた穴の中に飛び込む。視界が穴の中へと吸い込まれるように入っていくに連れてまるでプールに潜った時の景色へと移り変わっていく。

 やがてアイディオクスの水装甲の内側に侵入した。

 水装甲の中は激流で体勢を整えることもままならない。それどころか水圧で体が壊れてしまいそうになる。バラバラになってしまいそうになる。

 そこで二人は身体中からe波を発し、自分たちの周りだけ水の流れを都合よく変えた。

 すると、アイディオクスの形は大きく乱れる。まるで狂ったかのような動きを見せながら大きく崩れる。

 水装甲の内側には細胞があり、その中に核があった。

 二人は水装甲の内側をまるで衛星のように細胞の周りを回りながら少しずつ近づいた。

 その間、K2と和也は手を繋いだまま、もう片方の手でe波の刃を作り出し、水装甲の末端の至る所を内側から切っていく。切り刻まれた水装甲は弾け飛ぶ。

 細胞の生体膜にたどり着く頃にはアイディオクスの水装甲は最初の3分の2ほどになっていた。アイディオクスは乱れて、まるで暴れているかのようである。というより、暴れていた。

 しかし、その規模は最初の腕によるひと振りと比べると確実に弱いものだった。

 生体膜の目の前に来ると、二人は繋いだ手でe波をやり取りして会話をした。

 ──切るぞ。

 ──頼んだ。

 すると、K2は繋いでいない左手を上にかざし、e波で作った刃で縦一直線に容赦なく切った。

 生体膜は縦に綺麗に切れる。それとほぼ同時に中から水と同じ色のどろどろした液体が次々と流れ出す。

 体にまとわりつくような気持ち悪さを我慢しながら、二人はあいた生体膜の穴をどろどろした液体が流れるのに逆らって入っていった。

 細胞内は流れ出してきたどろどろのまとわりつくような液体で満たされていて、まるで体を圧迫するような感じになっていた。しかも、動きづらく、息苦しい。

 なんとかその液体をかき分け、核までたどり着いた。が、目の前に現れた核は直径1mはある球で驚きを隠すことはできない。その核はピリピリとしたものを発しているかのようでまるで全てのものを遠ざけているようだった。

 早速、核膜を破壊すべく、繋いだ手を放し、二人は大きなその核に両手を添えた。そして、強いe波を流し込む。

 流し込まれているe波で核膜は少しずつ薄くなっていき、やがて果物の皮が一気にむけていくように剥がれ、消滅していった。

 すると、二つ目の新しい核膜が現れた。そのまま同じようにe波を流し込んだ。

 核膜は少しずつ少しずつ薄くなっていき……。

 と、思ったその時、世界が一瞬ぐらついた。一瞬上下左右が分からなくなる感覚に陥る。体勢を崩したK2と和也はe波を流し込むのを止めてしまった。かざしていた両手も核から離れる。

 どうやら、アイディオクスが倒れたようだった。

 その後は何も起こらなかったため、二人は核膜の破壊を続けた。

 二つ目、三つ目と核膜を焼き切っていき、最後の一つ……というところで急に目の前が拡散した。目の前のものが一瞬にしてなくなったのだ。

 あまりに突然で二人は状況が理解できずにいた。

 液体は全て下に流れていく。

 二人の体も重力に従うように地面へと落ちていった。

 さっきまで目の前にあった巨大な核は辺りを見回しても見当たらず、なくなっている。

 一瞬にして何もなくなったという現象に二人は呆気を取られる。二人はいつの間にか地面の上にいた。

 地面に仰向けで寝転ぶK2とそのとなりで手を後ろについて座っている和也は黙って虚空を見つめていた。突然起きたこの現象が理解できずにいる。

「なあ、和也。最後の一つ、焼き切ったと思うか?」

「いや、思わない」

「消えた……よな?」

「消えたな」

「倒したのかな?」

「いや、倒してないだろう」

「じゃあ、逃げられたんだな」

「そうだと思う」

 二人はため息をついた。

 はぁ、頑張ったのになぁ。

 K2は達成感を得られずに、そのまま動かずにいた。和也も同様にそうであった。


 不意に声が聞こえる。

「おーい、大丈夫ー」

 すぐそこでアクアの声が聞こえた。

 どうやら、突入している間に応援が来ていたようだった。

 俺らは大丈夫だー、と言おうとそちらに向くと、白いシャツの下に清潔そうなピンク色が見えるアクアがこちらに小走りしてくる。

 どうやら、先ほどのアイディオクスの拡散によって飛び散った水を上から被ったせいで下着が透けて見えていたのだ。その後ろにもユーキャンや他の仲間がいたが、みんなは水を被っていて、女性陣はみんな下着が見えた。

「うわぁっ!」

 K2は不意に情けない声を出し、同時に目を逸らした。かけつけた仲間は大丈夫? と声をかけてくれたが、そっちを向けるはずもなく、小さく頷いた。すると河村が

「ん? どうしたの?」

 と言ってきた。

 K2はなんとかしようと事実を言うと、河村が先に、続いて他の女性陣も悲鳴をあげた。その悲鳴とともにK2は側頭部に衝撃がはしった。河村に蹴られた。

「ばかっ! 変態! 見るな!」

 河村は顔を真っ赤にして必死にそう言った。完全に心を乱していた。アクアは少しうつむいて胸を隠しながら涙目になっていた。ユーキャンはきょとんとした顔をしていた。

 一難去ってまた一難。

 K2は蹴られたがなぜか和也と同じく調査部の幼馴染、浦島二郎は被害を受けていない。


  結局、その後は熱を生み出すe波専用機器で服を乾かすのを手伝わされ、帰る頃にはあたりはもうすっかり暗くなっていた。


 今回は疲れただろうからと部長の計らいで各自家に帰ることになり、明日部内報告及び隊への報告となった。

 谷保の家に帰ったK2は帰るとすぐに眠ってしまった。

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