真冬の流れる水の音 16
車に乗っていた。しかし、普通の車じゃない。アイディオクス特攻隊特攻部所有のe波専用機器運搬用現場特攻型自動車だった。中は、縦に細長い空間で、車の両側に長椅子がある。そこに、特攻部のトップランカー格の班の人達が集まっていた。K2以外は。
暗い車内で揺れる。みんなは会話もせずにただ下を向いていた。
座っている椅子の背中の壁には窓があり、そこにはカーテンが閉められていた。
自動車に乗ってもう何分たっただろう。車内に漂う緊張感で時間の感覚さえ失ってきていた。
これから始まるであろうアイディオクスとの戦いの前で明るくいれる人はいない。K2は例外だが。
そうだ。K2がいれば場が良くなったのに、みんなを笑わせてくれて、不安を吹き飛ばしてくれるのに。ムードメーカーは何をしているのだろう?
そう思うとアシュリーは気分転換にカーテンを開け、外を見た。
外は、大きな水たまりが広がっていて、まるでこの自動車がプールの上を走っているように見えた。あたりは何もなかった。
いや、遠くに何かが見えた。
あの形、あれは巨獣型アイディオクスだ。透明だが、形ははっきり見える。
あれは……水だろうか?
そう思って目を凝らすと、アイディオクスの隣には、同じくらいの、それより少し低いくらいの高さの柱のような物が立っていた。白いような、透明のようなそんな柱が。
と、思うと、アイディオクスから細い糸のようなものが出てきて、それを地面と平行くらいに伸ばすと、その柱を糸で切るようにした。
柱は、一度切れたものの、また同じ大きさに再生する。
少し時間が経つと、柱の奥だろうか? 中だろうか? から噴水のように水が噴き出した。と、同時に、人影も一緒に出てきた。
あれって、もしかして……?
人影はアイディオクスの上に跳ぶと、後はただ落ちていった。アイディオクスの背中から触手のような物が上に伸びていくが、その人影はスイスイと避けていくとアイディオクスに接近していった。
あれだけ戦えるやつはK2の他にいない。
しかし、なぜ、あんな攻撃を?
アシュリーは考えた。
もし、あのまま落ちていったらどうなるだろう? あれが水だとしたら……胎内に入り込める? まさかっ!
そう言って、再度アイディオクスの方を見ると、人影との距離は後少しになっていた。
そして、アイディオクスと触れて……。
「ダメぇぇぇぇぇー!!!」
バサッ!
叫び声と共に目を覚ますと、そこはアシュリーの部屋だった。飛び起きて、布団はぐちゃぐちゃなっていた。
私、どうしてあんな夢を?
アシュリーはパジャマがビショビショになってしまうほど冷や汗をかいていた。




