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はれのみこ 〜山神に愛された娘の末裔〜  作者: 墨華


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9/10

最悪の四角関係



清雅『桜花!』



清雅は桜花の背を追いかける。

桜花は決して振り向かなかった。

森の中にある家から、どんどん遠ざかっていく。



不意に、清雅の腕が掴まれる。

陽華だ。



清雅は陽華の方を見た。

清雅の目は、ひどく怯えていた。



陽華『なぜ‥‥‥』



陽華の言葉に、清雅は目を見開く。



陽華『なぜ、怯えているの』



陽華はどこか妖しさを帯びた美しい笑顔で問う。

それが、さらに清雅の恐怖を駆り立てた。



清雅『怖くないさ。』



清雅はいつも通りの余裕の表情を装う。



陽華『なぜ、桜花さんを呼んだの?』



清雅『実はね、小動物が全滅したんだ。』



陽華『どうして‥‥‥』



清雅『わからないんだ。桜花は目に見えないものが見える。だから原因を教えてもらおうと思ってね』



清雅は笑った。

美しい顔をしていた。



【そのために、あの女を抱く必要があるの】



陽華は心の中で叫んだ。



清雅『ちょっとだけ、部屋に篭らせて。

動物達が亡くなって、とても悲しくて』



陽華は眉を顰めて、頷いた。



【悲しい人間が、おいそれと女を呼び寄せられるもの?】



再び陽華は心の中で毒づいた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


清雅は部屋に篭って仮説を立てた。



清雅 

自分の守護者(女)

陽華

陽華の守護者(男)



清雅『俺の守護者‥‥‥

俺を好きなんだろう。

だから、桜花が嫉妬させるなと言った。

いつも俺を助けてくれた‥‥。』



清雅は筆を動かした。

相関図を書いているらしい。



清雅『陽華の守護者は男‥‥‥。

陽華を愛しているのだろう。

だから、陽華を抱いた俺にキレて

小動物を殺したのか‥‥』



いや、と清雅はつぶやいた。



清雅『小動物達の死に方は二つに分かれていた。


血塗れの個体と、綺麗なままの個体。


まさか‥‥‥』



清雅の筆を握る手が震える。

清雅は顔をあげてつぶやいた。



清雅『俺の守護者と

陽華の守護者。


二人の仕業なのか‥‥‥

片方ではなく‥‥‥!』



清雅は頭を抱えた。

陽華のことを考えた。



清雅『あの目は、俺に恋してる女の目‥‥‥。

そして俺は、陽華(かのじょ)の力が欲しくて‥‥‥』



【最悪だ】と清雅はつぶやいた。



清雅『人間と守護者達の

最悪の4角関係じゃないか‥‥‥』



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