↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はれのみこ 〜山神に愛された娘の末裔〜  作者: 墨華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/10

許サナイ


清雅は呆然と水害に見舞われている村を見下ろす陽華の腕を掴み、再び歩き出した。



陽華『どこへ私を連れていくの』



清雅はフッと笑みを浮かべた。



清雅『住むところないでしょ。

僕のところへ来るといい』



陽華は眉を顰めた。


誰かといられることは、うれしい。

いつもひとりだったから。


けれど初めて出会った自分に、

何故こんなにも親切なのか。

考えても答えは出なかった。



清雅『安心して。僕の住んでいるところも村でね。

のどかでいいところなんだ。

目の前は森だから、虫は多いけど』



清雅は陽華の手を引いてどんどん歩いていく。


不意に陽華の心臓が、ドクン、と大きく鼓動した。

少しだけ苦しくて、陽華は胸を抑えてその場にうずくまる。



清雅『大丈夫?』



陽華はこくりと頷く。

清雅はひょいっと陽華を抱き抱えると

再び歩き出した。



陽華『何を‥‥‥!?』



陽華は戸惑いを浮かべて問う。



清雅『昨日から色々無理させてしまったから』



清雅は優しく陽華を抱えていた。


陽華は清雅の肩にもたれかかると、

体温が上がるような高揚感を覚える。


血管の浮き上がった清雅の首に

歯を立てて赤く染め上げてしまいたくなる。



【私は一体、何てことを‥‥‥】



自分への恐怖と、正体のわからない興奮で

はぁ、はぁ、と吐息が漏れる。



清雅はそんな陽華を心配するように顔を覗き込んだ。



清雅『熱でもあるの?』



【苦しい。狂おしい】



再び、誰かの声が聞こえる。



【今度は、私が

清雅を奪ってしまいたい】



響き渡る言葉があまりにも悍ましいものばかりで

陽華は恐怖に苛まれる。



【私は、何者なの】



陽華は考えた。



【山神に愛された娘の末裔】



山神に愛された娘の、末裔‥‥‥



何故神様に愛された娘の

末裔である自分が、封印されなければならなかったのだろうか。



陽華は、何も知らないことに気がついた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



清雅は深い森の中をずっと歩いていた。

もしも夜なら、絶対に生きては戻れなさそうなほどだ。



陽華『本当に、村があるの』



清雅『あるよ。』



陽華は少しだけ不安になった。

どこへ連れて行かれるのだろう。



清雅『心配?』



清雅は抱き抱えていた陽華を下ろすと、

優しく唇を重ねる。


陽華は再び、清雅に身を委ねていった。



ぼうっとする頭の中で、今度ははっきりと男の声が響いた。



【許サナイ】



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。