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第39話 託された言葉


 「クソっ!!クソがぁぁぁぁ!!!!!」


ガンッッ!!ガンッッ!!ガンッッッッ!!!


 降りしきる雨の中、1人の青年が先程から幾度も幾度も幾度も幾度も幾度も幾度も幾度も幾度もある一室の扉をひたすらに両の腕で殴り、時には勢いをつけて蹴破ろうとしていたのだった。

 その異常事態を先程から同じ階の住人達はおろか他の階の住人達も周知し小さな人だかりができていた。

 ある人間は口を開けたまま唖然とし、あるものは安全地帯から制止を促し、またあるものはスマホでSNS用の動画撮影をしていた。しかしそれでも彼は気にも止めずただひたすらに破壊を試みていた。

 ドアの壁には本人のであろう手形の血がベッタリと何箇所も付着しておりその狂気さをより一層加速させる。


「ハァ…ハァ…ざけんなよッッッ!!!こんなことで…雪音を…雪音をッッ!!雪音の未来をッッ!!奪わせる訳にはいかねぇんだよッッ!!!」


 そして既に使い物にならない右腕を再度振り下ろそうしたその時、彼の手首を力強い手が止めさせた。


「涼介ッッ!!自暴自棄になるな!!あんたがそんなんでどうすんなッッ!!」


「ッッッッ!!!?」


 俺はその言葉に驚き、ゆっくりと横を振り向く。いつの間にかできていた人だかりの中、目の前に我を忘れた俺を止める少女が怒りを露わにした表情でこちらを見つめていた。


 「……八重……ばあちゃん…?」


 八重はコクリと静かに頷き、左手に握っていた鍵束から一本を手に取ると鍵を開けた。


「さぁ、はよいってあの娘助けてきな!!」

 

 八重はびしょ濡れの髪を震わせ雫を落とすと、透き通るような凛々しい表情でそう云った。


「ありがとう」


 そう云うと涼介は靴を履いたまま全力で駆けていった。


 八重は笑顔で小さな溜息をこぼすと周りに集まってる野次馬に向き直った。そして大声で叫んだ。


「誰かー!!警察と救急車!!はよ呼んでッッッ!!」


 

 そしてその頃マンション一階では複数の警官に取り押さえられた、久が必死に抵抗していた。


「いててっ!!離せって!!捕まえるのは俺じゃねぇ!!」


「何を訳のわからんことをいってるんだ…スピード出したのは自分だろうが…」


 そしてもう一人の警官がすぐそばで割られたエントランスに気付きこちらにやってくる。


「これをやったのもお前かッッ!!!」


「だから、違うってッッ!!」


 必死の久の抵抗も虚しくそれに加え赤い髪と恵まれた体格が集団心理をより一層強くする。


「なんじゃい…騒がしい」


 すると取り押さえられた久の足元に1人の老人が顔を覗かせる。


「危険ですから、離れてッッ!!!」


 警官は老人の接近を拒むがその対応に老人はブチギレる。


「ああん!!!??この若造がッッ!!わしに命令するとはいい度胸やのッッ!!こっちは久しぶりに頭が冴えてスッキリしとったのに一気に気分が悪くなったわ!!!警察呼べッッ!!」



警察&久「「えええ………」」


 その時、1人の警察官がこちらに走り口を開く。


「事件の通報です!!」


「阿呆か!!今はこっちで手一杯なの見て分からんのか!!!」


「いえ…それが…通報があったのはこのマンションからなんです」


「は?」


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