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第27話 女木雪音 ④


 そうして楽しかった日々を過ごした私達は無事卒業し次の春が来ると私達は中学生になっていた。私は中学に入ると自主的に部活を始め、久も部活に打ち込むようになった。涼介だけは帰宅部を選び、部活の時間と高校の進路の事も相まってか最初のうちは連絡を取り合っていたけれど数日、数カ月、数年と経過する内に私達はたまに連絡をする程度に留まっていた。

 私は中学を卒業するまで部活を続け部内では中々の成績を収める事ができた。部活のおかげで私は物事をはっきりと云えるようになり、自然と後輩や同級生が集まってきていたこともあり、涼介とは学校ですれ違うと挨拶するくらいの関係になっていた。そんなある日


「女木さん!!俺と付き合ってください!!」


 校舎裏で私は呼び出され告白をされていた。相手は一つ下の後輩だが、まともに話したことすらなかった。


「あはは…今は部活に専念したくて…ごめんね…」


 私は苦笑いを浮かべ、いつものセリフで話しを終わらせる。決してこの子が嫌いとか、悪い奴とかではない…ただ私は中学に入り異性に告白されるようになってからは一貫してこれを貫いている…ただそれだけだった。

 私はその場から逃げ出すように立ち去ると、体育館を曲がった先で1番出くわしたくない奴に出逢ってしまった。


「げ…涼介…」


 彼は私を見ると何事もなかったかのように立ち去ろうとするので引き止める。


「ちょっと!?待ちなさいよ!!」


 すると彼はくるりと振り向き私に嫌そうな顔を向ける。


「何だよ」


「ちょっと面貸しなさいよ」


 そしてそのまま嫌がる涼介を連れ私達は学校の屋上に向かった。幸い人は誰もいない。涼介は購買で買ってきたパンをかじりながら屋上の壁に座り込んだ。


「相変わらずモテてるんだな。一体中学になってから何人に告られたんだ?」


 涼介は食事を続けながら淡々と質問する。


「そんなの…覚えてない」


「いーかげん、誰かと付き合わないのか?」


「だから、今は部活に専念したいんだっていってるでしょ…」


「そっか…ならいい」


 そして暫くの沈黙と静寂が2人を包む。こんなに会話をしたのはいつぶりだろう…小学生の頃は毎日一緒だったのに、いつの間にか話すことも少なくなって…私はあの頃の自分と比較しどこか心にぽっかり穴が空いたような気持ちに苛まれる。


「あの…今度…さ…またみんなで遊びにいかない?久しぶりに…」


 私のその言葉に一瞬涼介のパンを持つ手が止まる。


「お前…部活あるんだろうが…」


「もう…そろそろ引退だから…時間は作れると思う。ね、ねぇ久は?最近部活いってないみたいだけど…」


「さあな…急にやめたらしい。何でも家庭の事情だとよ。まああいつのことは気にしなくてもいい」


 そうゆうと涼介は立ち上がり、屋上の出口に向かい始める。


「ちょっと!?返事は?」


 そうゆうと彼は溜息を吐き静かに答える。


「お前にはもっといい友達がいるし見てくれる人達がいる。だからこんなド陰キャの俺と一緒にいたらお前にとってもマイナスになるだろ?もう女木は自分で歩いていけんだから俺は必要ないだろ」


 そうゆうと涼介はいってしまった。


「……………」


 私は唇を少し震わせ、口を開く。


「……バカ……」



 そうして私は部活を引退し、次は受験が迫っていた。進路を決める三者面談でも担任の先生は私をスポーツ推薦で提案してくれたが、私はそれを拒んだ。先生はそれを強く止めたが、一緒にいた母さんが一言告げる。


「この子の人生ですから…私達保護者はそれを応援するだけです。だから私はこの子の意思を尊重します」


 そうして私は結局進路を地元の平凡な公立高校へと決めたのだった。


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