第17話 服選び
それからも合流した俺達は格ゲーやスポーツ系のゲーム、メダルゲームなどに没頭した。
当初は少女のみが没頭しているはずだったのだが気付けば皆を巻き込んで熱中していた。
「楽しかったわぁ!」
俺達はフロアを出ると少女が感想を述べると先程女木が提案した夏の服を観に行くことになった。
男二人の買い物はとっとと済み女木と少女は一緒に店員さんのオススメやそれぞれ選んであげた服の着せ合いっこなどをしているようだった。
「ほれ、これとか雪音ちゃんに絶対似合うと思うで!」
「いや、これは少し露出が高いんじゃ…」
「ええから!ええから!」
「え!?ちょっ!?待っーー」
そして2人仲良く更衣室に入り込むと中から2人のひそひそとした声が聞こえ、それを見ていた俺はなんだか邪な感情に囚われ、変な妄想欲を掻き立てられてしまいそうになったので、とりあえず両頬を叩いて正気を保った。
そして数分後しきりが力強く開かれると少女は目を大きく開き俺に尋ねてくる。
「涼介!雪音ちゃん滅茶苦茶かわいいやろ!」
女木は普段彼女が絶対着ないようなゴシック風の服を身に纏っており、俺に見られているのが気になるのか、口元に手をやり顔を逸らしモゴモゴとしている。そしてどこか妖艶な雰囲気が漂っていた。
「さ、さぁ普通なんじゃねぇか?」
涼介は急な彼女の様変わりに何故か目線を合わせられなくなり、背を向けると勝手に店を後にした。
「ほんま…2人とも似た者同士やな」
八重は呆れながらも笑っていたのだった。
「なぁ、涼介お前なんかやましいことでもあったか?」
「いきなり何をいっているんだお前は」
店を先に出て辺りを見回すとベンチに久が座っていたので横に腰を降ろした途端そんなことをほざきだした。
「顔真っ赤だぞ」
「それはきっとあれだわ…日焼けのせいだわ」
俺は久から顔を逸らし思いついた適当な嘘で答えた。
「ものの数分で日焼けできるとこがあんなら是非教えて欲しいね」
バカな久でも流石に欺くことができないと悟った俺は無視を貫くように黙り込んでいた。
「…で、お前は結局あの二人だったらどっちなんだよ」
久の唐突な質問に俺は少し身体を震わせると口を開いた。
「は?何意味わかんねぇこといってやがる」
「とぼけんなよ、あの二人のどっちか惚れてんだろ?じゃなきゃお前がこんな人混みに来るわけねぇだろ」
久はジト目でそうゆうと俺も必死に冷静を装うとする。
「…そういうお前はどうなんだよ…好きなやつとか」
「俺は今、恋愛とかそんな気分じゃねぇんだよ」
「じゃあ俺もそれで」
2人の不毛な会話を遮るように、袋を下げた八重と女木が久と涼介を見つけやってくる。
「いやぁ、満足♪満足♪ちょっと疲れたなぁ」
「それだったらフードコートで休憩でもしていきますか?」
女木は少女にそう提案すると俺達はフードコートに進路を決め歩き出す。
「結構買ったな…そういえばあんた、お金はどうなってんだ?」
俺はふと少女の懐事情が気になり質問する。
「元々働いていた時の貯蓄と年金があったからそのへんは大丈夫やね」
亡くなった後、実家に遺言書を残していたこともあって今は両親が管理しているらしく口座は作れないだろうから、ちょくちょく手渡しで現金をうちの親から渡してもらっているらしい。
俺はその様子を想像してしまい口を押さえて吹き出す。
「良二お金ちょーだい!」
「はい母さん!今日の分!!」
そんな俺の様子を見ていた少女はジト目で俺の脳天にチョップをガシガシと叩き込む。
「いっつ!!なにすんだよ!このご時世に暴力なんか振るうなよ」
「ふん!愛の鞭や」
「何が愛だよ…これだから昔の人間は…」
「あーッッッ!!老人差別や!そっちこそ私に虐待しとるやないか!」
八重は再度チョップを叩き込もうとするが涼介に白刃取りをされいがみ合っている。
その様子を久は爆笑しながら手を叩き、女木は静かに微笑んでいたのだった。




