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第五話 彼女達の様子がおかしいです

朝の6時。外で鳥が鳴き、自室のドアが開かれ犬が寝ている俺に向かって飛び込んで来る衝撃で目を覚ます。


「毎日毎日これで起こされるの困るわぁ」


「じゃあ開けて寝れば良いじゃない」


寝起きな為、掠れたような声で眉間にシワを寄せながらゆっくりと犬を退かし、起き上がる。身体をぐっと伸ばしながら欠伸をすると、母がそう喋りかけてくる。


「嫌だね。そうなったらほぼ寝かせてくれないし」


捲られた布団を直しながら首を横に振り答える。やがてトコトコと洗面台に向かい顔を洗ったりと身支度を済ませて行く。

部屋着から制服に着替え、用意された朝ご飯を食べリュックを背負って階段を降り玄関まで靴を履きドアを開け外へ出る。

眩しい太陽光が俺の顔を照らす。


「眩し~...」


「おはよう 葉月」


俺は目を眇めては太陽を見つめる。するとそこに、志穂が家の前で待機していたかのように急に出てきた。


「なーんで朝からお前がいるんだよ」


「いや同じ高校でしょそれに同じクラスだし」


俺は困った顔で志穂を見つめる。志穂は不貞腐れながらも、睨むように俺を見つめ返してきた。

はぁ...とため息をつきながらも俺は歩き始める。それに続いて志穂も歩き始めた。

数分歩いていると、昨日の分かれ道に辿り着く。俺はそこで足を止める。


「なに?どうしたの?」


急に止まった葉月に不思議そうな顔をしながら志穂も足を止める。


「後輩がこの近くなんだ。少し待ってくれ」


別に約束とかはしていないがどうせなら一緒に行きたい。話したい事もあるしきっと志穂とも仲良く出来るだろう。


「後輩?アンタ早すぎじゃない?てか、一年生は今日は少し登校するの遅いよ?」


「あっマジ?昨日ぶつかっちゃった女の子居ただろ?あの子が中学の時の後輩でさ、偶然過ぎるよなぁ」


志穂は驚いた様子をしていたので事の俺は経緯を説明する。

というか今日は遅いのか。俺とした事が馬鹿だったようだ。


「ふーん。それは良かったね。でも今日は会えないよ」


少し不機嫌そうな声色で志穂はそっぽ向きながら歩き始めてしまった。

なぜあんなに怒っているのか?疑問に思いつつも俺は後を追う。


「(なんでなんでなんで...!葉月はそんな人じゃない!)」


志穂の足は駆け足になっている。周りが見えていないのか、自転車が前から来たのに気づかない。幸い相手側が避けてくれたので何ともなかったが俺はは心配そうに近寄ろうとするが、普通の歩きじゃ追い付けない。


「(私以外の女とか要らない!後輩とか持つ必要ない!葉月の人生は私だけのものだから!)」


呼吸が早くなっている。その異変には俺は気づかなかった。

しばらくすると、物凄い力で右肩をガシッ!と掴まれ強制的に動きが止まって自我を取り戻す。

その瞬間、目の前は横断歩道が赤色になっており目の前から車が通り過ぎていく。

志穂は振り返らずただ無言で立ち止まっていた。


「おい!大丈夫か!?なんか変だぞ今日!」


俺は焦った顔で後ろ姿の志穂を見つめている。その声を聞いて、まるで何事も無かったかのように志穂は振り返った。


「ごめん!考え事してた」


「本当か?危うく轢かれるところだったんだぞ?そのレベルで考え込むくらい悩んでるのか?」


えへへっとドジっ子のような顔で笑いながら志穂は言った。しかし俺はは凄く心配してるような顔で志穂を問いかけた。

俺の大切な友人でもある。轢かれそうになるのが気づかない程の考え事となると相当なものだろう。

その表情を見た志穂は冷静な顔になりながら俺の両手をぎゅっと掴みじっと見つめながらこう言った。


「じゃあ、今日の時間全て私に付き合って?」


「はぁ...?何言っ...」


志穂の発言に思わず動揺してしまった俺。反論しようとしたがそれを読まれていたのか遮るようにまた志穂が喋り始める。


「良いよね?心配してくれるってことは相手になってくれるってことだよね?」


「分かった...分かったから落ち着け」


その眼差しは他とは違う歪な雰囲気を醸し出していた。これ以上聞いてはいけない。そんなセンサーを感じ取った俺は少し怖がりながらも承諾するしか無かった。

その言葉を聞いた途端、いつもの志穂に人が変わったかのように戻る。


「約束だからね!じゃあ早く行こ!」


「あ、あぁ...約束するよ」


志穂は満面の笑みのまま俺の右手と手を繋ぎ、走るように足を踏み出す。困惑しかない葉月はそのまま手を繋がれ、引き摺られるように歩かされる。

─────────────────────────

昼休み───。

それからと言うものの、休み時間や勿論この時間も志穂と共に過ごした。その光景に大半の男は俺を憎むような目で見つめている。

それはそうだ、志穂は物凄く可愛く美少女とも言える程だ。羨ましがるのも無理もない。

教室でご飯を食いながら志穂を話していると葉月はスマホから通知音がなり、ちらっと確認すると彩花からメッセージが届いていた。


「先輩。今どこに居ますか?」


彩花が俺を探している。返信しようと思った葉月は右手をスマホに差し伸べようとするが志穂に右手をガシッと掴まれてしまった。


「ねぇ?私に付き合うって言ったよね返信も私と解散してからにして」


「連絡くらいいいだろ...」


「だめ。約束守って」


俺はスマホをポッケにしまうしか無かった。様子のおかしい事も聞いてはいけないオーラを感じるし今はただ志穂の言う通りにするしか無い。

スマホをしまった俺を見た志穂はにんまりと笑いご機嫌になった。

しかし気付かなかった。教室のドアの窓から彩花がスマホを両手で持ちながら二人の様子を伺っている。


「こんな手段取りたくなかったんだけど...まさかまたあいつと居るなんて...」


スマホにはマップのような画面が写っており、自身の位置を示しているであろう青い丸ともう1つその少し先にもう1つの丸があった。

その位置は葉月の位置と重なっているようにも捉えられる。GPSだ。彩花はいつの間にか葉月のどこかにGPSを忍び込ませていたのだ。

彩花は話しかけに行くことはせず、ただそのままゆっくりとその場所を後にした。

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