7時
「はっ!」
目を覚ますと同時にガバッと跳ね起きた。
ベッドの上で。
私の部屋で。
枕元のスマホに手を伸ばして画面を確認すると、
「2026年5月19日!」
スッとベッドから降りると体の具合を確認。
よし、問題ない。百年後の私のまま、召喚が行われる日の朝に戻ってきた。
「よし!やってやるぞ!」
「ねーちゃん、朝から何だよ、うるさいよ!」
「あはは……ごめん」
思わず気合いを入れたらドアの向こうから弟の抗議が。
「実里、まだ寝てるの?遅刻するわよ?」
「え?あっ!はーい!」
慌てて身支度をして階段を駆け下りるとそこには……
「おはよう!」
「うわっと!実里か?どうした?」
「なんでもない!」
久しぶりに会う家族に思わず涙が出そうになるのをごまかしつつ座る。
「いただきます」
「はいどうぞ……実里?」
「ん?何?」
「……何でもない。ほら、早く食べないと、こんな時間よ」
「うわっ!」
もう二度と食べられないと思っていた、普通の朝ご飯。白いご飯、納豆に豆腐の味噌汁という大豆づくしの朝食。感動に浸っていたいけど、急がないと遅刻しちゃう。そう、また明日からも普通に食べられるのだから。
そしていつも通りに登校……するんだけど、途中で道をそれて裏門側へ向かう。道すがら、私自身に魔法をかけていき、周囲から認識されないようにしていくと、塀を跳び越えて校内へ。
「あー、あー」
声を変えて、スマホを取り出すと学校の番号を。
「もしもし、私、一年二組の十倉実里の母ですが……はい、はい。ええ、体調を崩してまして……はい……今日一日、休ませます……はい。よろしくお願いします」
ピッ
これで良し。
今日の一時間目は化学で移動教室だったので、今のうちに仕込みをしておこうと姿を消したままで教室へ。あっちではただの認識阻害程度なら簡単に見破られていたけど、こっちではスキルとか魔法が存在しないので楽だねと思いながら教室に入るとまた懐かしさがこみ上げてくる。
「……っと、浸ってる場合じゃなかった。ええと……スキャン」
指定した範囲内を詳細に調べる魔法で床の凹凸すらも精密に計測。
「結界構築、展開」
床をそのまま再現したかのように結界を構築し、数ミリ浮かせる。これで床に召喚のための魔法陣が現れても、何も召喚できない状態となる。
「あとは……待つだけ」
しばらくするとチャイムが鳴り、一時間目が終了。
クラスの皆がぞろぞろ戻ってきてそれぞれ英語の教科書を出したりしているのをぼんやりと眺める。
懐かしい顔ばかり。
……絶対、皆を守るからね。
やがて先生が入ってきて英語の授業が始まった。召喚されたのは授業開始から十分くらい経った頃だったはず。




