17時(4)
頭が四つ、腕が五本以上、足が三本で尻尾が二本?翼のような物も見えたか?んで、腕の形、足の形はもう色々。こっちの腕はオークのそれで、こっちはオーガ?あとは腕というよりオオカミ型魔物の前足だな。足に関してはどう見てもミノタウロスの足が一本に、ライオンの足?キメラだろうか?頭はオークの頭とオオカミの頭、さらにゴブリンの頭が贅沢にも三個ついていた。
『魔物が融合しているのか』
『いえ、逆ではないかと思います』
『逆?』
『このダンジョンはできたばかりで成長中です。つまり広がっているんです』
『うむ……ああ、そうか。ぎゅっと押しつぶしていたような状態が広がっている最中。だからあれを放っておくとそのうちゴブリンやらオークやらに分離していく』
『はい。おそらくそうだろうというのが解析結果です』
そんなやりとりをしながらもモニカは思う。ぶっちゃけ斬り捨てるだけなのだから融合してようが分離している最中だろうが関係はない、と。
『はっ!』
気合いと共によくわからない形になっているモンスターを粉砕し終えると再びウィルが移動を開始する。が、
『おっと!』
『な、何だ?!』
進もうとした先がいきなり壁に変化し、ウィルが急停止し、モニカがつんのめる。
『コレはなかなか面倒です……こちらに進みます』
『まかせる』
この異様な空間内ではモニカが気配を探っても王子たちの大まかな位置がかろうじてわかる程度。当たりをつけて移動するにしても曖昧すぎてあてにしていいかどうかという状況に加えて、いきなり目の前の通路が壁に変わるなどという異常現象が起きてしまうのでは、移動は全部ウィルに任せるよりほかない。
『前方より魔物が接近。数は二』
『よし、まか……うわっと!』
武器を構えようとした目の前に壁が出現し、その壁にモンスターが飲み込まれて消えていった。
『なあ、ウィル……これ、あの王子どもはとっくに壁に飲み込まれてるんじゃないか?』
『あれで、悪運だけは強いようですな。まだ王子は無事です』
『なんとまあ……行こう』
『はい』
『ゆっくり行けば全員……』
『聞かなかったことにしておきます』
そのまますいすいと五分ほど進むと、声……いや、怒号が聞こえてきた。
『呆れたものです。こんな状況で協力し合うのではなく、罵り合っているとは』
『それがあの国の実態ということだ。つくづく、あんな国に仕えていたことが恥ずかしいよ』
ウィルとぼやきながらモニカは声の方角へ進んでいく。「全員死んでました」と実里に報告するいい方法がないかと考えながら。




