15時(4)
「どうせお前らのことだ、困ったらダンジョンに潜って荒稼ぎなんてこともできるんだろ?」
「まあね」
「じゃ、そういうことで」
ようやく解散、という流れになったところに職員が一人、息を切らせて飛び込んできた。
「報告します!例の門の前の……何だ、あの丸い奴」
「お、おう」
「あそこに謎の集団が来まして」
青山さんがこちらをキッと睨むけど、私、何もしてないよ?
「ええと……探知、おお、確かに十人ほど近づいてきてますね」
「マジか……って、ここにいてそんなこともわかるのか?!」
「これでも一応「空」属性の適性が一番高いので、空間魔法はだいたいなんでも」
「すげえなあ……じゃ、行こうか」
「はい。いってらっしゃ「むしろお前たちがメインだろ?!」
「ええ……」
ものすごくイヤだけど、よくよく考えたらあちらの言葉がわかるの、私だけだったわ。
「はあ……仕方ない。ええと……この辺、転移!」
全員まとめて外壁の上に転移した。あとから報告とか面倒臭いから、全部現地確認してもらおう。
「うおおおっと、へ?ここ……は?何?今の、は?」
「小出さん、説明しておいてください。私はあっちを」
「はい……えっと青山支部長、今のが十倉さんの空間転移という魔法でして……」
さてこちらは……私がオッサン詰め合わせを作った半球と、それを取り囲みつつあるオッサン、じゃない騎士たちね。
『おそらく、何かあったときのために別で待機していたんだろうな。それが実里の壁に閉じ込められて魔力が感じられなくなり、様子を見に来た。そんなところか』
『解説ありがとう。で、どうすればいいと思う』
『放っておけばいい。アレを壊せるような者は騎士団でも隊長クラスでどうにかだ。あそこにはそこまでの者はいない』
『ふーん』
何人かが剣を突き立てたり切りつけたりしているけど、全く歯が立たず。そりゃそうでしょ、誰が作ったと思ってんのよ。と、どうやら剣が欠けたみたい。で、こちらに気付いた、と。
『いたぞ!あそこだ!』
『弓を用意!』
『はっ!』
いきなり攻撃準備とか、馬鹿なのかしら?
『実里、どうする?』
『別に何も』
『なっ?!い、言っておくが、彼らは弓の訓練も受けているぞ!何か手を打たねば、私たちはともかく、他の者たちに危険が』
『今、結界張ったから』
『なら大丈夫か』
のんきなやりとりをしているように見えたのか、早速一人が矢を射かけてきた。
当然私の結界で防がれ……るだけではない。反転して、倍の速さにして撃ち返すような結界だからね。
『ぬおっ!』
『くっ!結界か!』
『卑怯なっ!』
勝手に押しかけて先制攻撃しておいて、それを結界で弾き返したら卑怯とか、どんな思考回路なんだと突っ込みたいところだけどやめておく。あの国は概ね上から下まで腐ってるからね。ごく僅か、勇者召喚などという他力本願ではなく、自分たちでなんとかするべきだという、モニカたちのような良心の持ち主は隅の方に追いやられていたんだ。
そんな連中に良識を求めるだけ無駄だからと自分に言い聞かせつつ、どうしたものかと考えようとしてやめた。一人より二人、二人より三人だ。
『モニカ、ウィル、どうしたらいいと思う?』
『斬り捨てて構わん』
『合理的な解決策として殲滅を提案いたします』
オーケー、ここに平和主義者はいなかった。




