15時(1)
それから十分ほど飛び回り、群れと呼べるようなモノを全て退治。上位種と呼ばれるようなモンスターも片付いたので、あとは現地のハンターでも対応できるレベルになったところで、モニカと合流してハンター協会へ向かう。
本人の希望により、魔法で作った大きな水の中に小出さんを放り込んで洗って乾燥させるという本人の尊厳を守る行為を終えてから、こちらの方々への説明に臨んでもらう。偉い人たちの考えを汲んで意見を言うなんて高度なことは私にはできませんので小出さんに丸投げです。
とは言え、話の流れはだいたい予想通り。特に、これと同じことが他でも起こる可能性に気付いて、なぜか怒鳴り散らされるのも予想の範疇。
「これからもこんなことが起こるのか?」
「おそらくは」
「あんな災害……それも世界が終わりそうな災害が?」
「え、ええ……」
「あんなのがポンポン起こるとか、どうなってるんだ?!」
「そ、そう言われましても……」
「何か対策はあるんだろうな?!」
「えっとぉ……」
小出さんが同行している理由は、ただ単に私たちとの付き合いがちょびっとだけ長いだけで、協会内での立場は新入りに毛が生えた程度。そんな彼女に詰め寄ったところでどうにもならないだろうに。
「いや待てよ……そこのお前!」
「私?」
「とそっちのお前!」
『実里、アレは私のことを言っているのか?』
なぜかこっちに飛び火してきた。
「お前がそもそもの元凶だろう!なんとかしろ!世界中が迷惑してるんだぞ!」
「ええ……」
「そうだ!お前、こっちに移籍しろ!そうすれば安心だ!」
話の展開について行けない件。
「小出さん」
「は、はい」
「帰りましょうか」
「え?え?」
「とりあえず伝えるべきことは伝えたんですよね?」
「ええ、それは確かに」
「ダンジョン群も塞いだからしばらくはモンスターが溢れてくる心配はないし」
「まあ、確かに」
「つまり、これ以上ここにいても意味ないですから。帰りましょう」
「ふざけるな!」
博多支部の支部長を名乗る偉い人が激怒した。
「この事態を引き起こしたのはお前だろう!」
「違います」
「じゃあ、そっちの女か?!」
「違いますよ」
「じゃあ、誰なんだ!言ってみろ!」
誰と言われると……難しいところかな。
モンスターに殺された死体をダンジョン外に放置というか、とにかく持ち出していると、そこがダンジョン化する。その情報自体、私は帰ってきてから知ったことだし、何よりそんな仕組みを私が作ったわけではない。召喚された者が死ぬと死体だけこっちの世界に戻ってきていたなんてのも初耳。つまり私は何も悪くない。
ではモニカは?確かに勇者召喚なるものを実行したのはサルヴァート王国。モニカ――というよりもモニカの家――は勇者召喚にはどちらかと言えば反対の立場で、騎士という立場上、反対を口にすることはできないが、積極的に協力することはなかったと聞いているし、何よりも勇者召喚をすると決めた場にモニカはいなかった。当然、意見を求められたりもしていない。国――この場合は国王をトップとした中枢かな――が悪事を働いたからと言って、そこで働く者に罪を被せるのは、ちょっと違うと思う。
それに、モニカがここにいる理由も、ある意味巻き込まれてのことだから、モニカ自身も被害者みたいなものというのが私の素直な意見。もちろん、損害を被っているこっちの協会関係者の言いたいことはわかるけどね。




