14時(5)
「こっち……こっち……それからこっち……あった!」
「見つけたんですか?!早く!早くなんとかして!」
耳元で叫んでるのがうるさいので……片手でひょいと布を出してグルグル巻きにする。白い何かになった小出さんがジタバタしてる様子は何かのサナギっぽいなとどうでもいいことを思いながらコアを破壊するための魔法を送り込む。
同時にパリンと障壁が破られる。一気に七枚。いよいよあちらも本気というか、すでに周囲は黒い矢で埋め尽くされていて真っ黒。外から見たらそれはもうひどい状態に見えるだろう。
「行け!」
魔法を放ちながら、さらに障壁を展開。伸ばした結界への攻撃も増えているのでそちらの障壁も増やす。するとその障壁への攻撃もくるから……全く忙しいわね。
ラノベの主人公たちは並列思考なんていうチート能力があったりするのに、残念ながらそんなものは私にはないのよ。ホント、ラノベの人たちがうらやましい。
「ここ、こっち!それからこっち!」
攻撃が激化するのと同時にコアの周りにも何やら色々出てきているけど、私の魔法はそんなものお構いなしに空間まるごと飲み込んで破壊した。
パキン、と何かが割れるような音。
そして、黒い矢が全て止まり、一瞬の静寂。
そして、全てがボロボロと崩れ落ちていった。
「わわわっ!マズい!」
ボロボロ落ちていく黒い何かを慌てて障壁で包む。多分、アレが地面に落ちたら大変なことになるはず。
「こっち……っと、こっちも?!それからこっちに……あっち、こっちと……これで全部かな?」
どうにか全部障壁で包み終えたらあとはすぐ下にあったダンジョンの一つに流し込む。と、その中が阿鼻叫喚の地獄絵図。色々正体を知りたくない何かがポンポンと弾けたように飛び出しては消えていく。そう、地面に直接開いた穴なので垂直に飛び出したものは重力にしたがって穴に戻っていくのですよっと。
「ん?」
やがて穴がブルブルと震え……グシャッと潰れて消えた。
「おお、ダンジョンが一つ消えたね」
「んー!んー!!」
「っと、小出さん、ごめんなさいね。今ほどきます」
巻き付けておいた布をクルクルとほどいていくと、ゴロンと小出さんが脱皮して出てきた。
「きゅ~」
ゴロゴロ回したせいで目を回してしまったみたいね。静かなのはいいことだわと担ぎ上げ、ポンと跳躍。高い位置から全体を見て、と。
「あっちがマズそうね」
溢れたモンスターに対処し切れてない――つまりモニカのいない方――へ向かう。黒い球体が消えた今、あふれたモンスターさえ片付けば、あとはなんとでもなる。
多分。
「ほっ!はっ!やっ!」
「ひえええ!ひょわああああ!うひぃぃ!」
ある程度まとまった集団に向けて跳び、着地と同時に蹴散らしていく。周囲にいるハンターの実力的に、モンスターが一体なら何とかなるけど、群れが襲ってきたらヤバいかなレベルだと判断した結果で、どうやら正しいらしい。
それはいいんだけど、群れを蹴散らそうと飛び込んでいく度に肩に担いだ小出さんが情けない声を上げるのが何とも締まらない。
あと、見てるだけのハンターたちに言いたい。こっちばっか見てないで手を動かせと。




