↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
95/106

#77-12「次の現場へ、王都を目指して」

翌朝――


俺たちはザルガードの砂走車乗り場に来ていた。


「それで、次は南部だったよな?」

「うん。ラグナードだね」


リュカが答える。


「でも、まずは王都に戻るよ。そこから南部行きの砂走車に乗り換えられるから」

「なるほど。じゃあ、また一日揺られるわけか」

「そういうこと!」


……この世界、移動だけでも結構大変だな。


元の世界なら電車一本で済む距離なのかもしれないが、ここには電車なんてない。

まあ、砂の上を船が走ってる時点で十分おかしいけど。


「おーい! キョウマ!」


聞き覚えのある大声が響いた。

振り返ると、大柄な猪獣人がこちらへ歩いてくる。


「おお、ガンツ!」

「なんだ!もう行っちまうのか!」

「ああ。今度は南部だ」

「南部か!忙しい奴だな!」

「お前に言われたくないわ!」


ガンツが豪快に笑った。


「まあ、向こうでも頑張れよ!何かあったらまた声をかけてくれ!」

「おう!そっちも橋の管理、しっかり頼むぞ!」

「誰に言ってやがる!俺たち工兵隊の仕事だぞ!」

「ははっ、そうだったな!」


ガンツが大きな手を差し出した。

俺はその手を握り返す。


「じゃあな、ガンツ。また会おうぜ」

「おう! またな、キョウマ!」


……いいおっさんだったな。

俺たちが砂走車へ向かおうとした、そのとき。


ガラガラガラ……


大きな荷車が何台も、乗り場の脇を通り過ぎていった。

その周囲には、大勢の兵士たち。


……ん?


「なあ、ガンツ。あれ何だ?」

「ああ、王都へ向かう部隊だよ」

「王都?」

「おう。向こうじゃ最近、随分と物騒なことになってるらしい」

「物騒?」

「ああ。物資の流通が滞ってるうえに、盗賊やら魔獣やらが増えてるそうでな。王都から応援の要請が来てたんだ」


……へえ。


王都でもそんなことになってるのか。


「それで、レオンが兵隊を?」

「おう!昨日のうちに派遣を決めたらしいぜ!」


ガンツが胸を張る。


「うちの閣下は仕事が早いからな!」

「へえ。あいつも大変だな」

「お前、本当に他人事だな!」

「いや、俺は軍人じゃないし!」


すると、隣にいた蓮が口を開いた。


「でも、王都の治安を守るのは重要な仕事ですよね」

「ああ。王様がいない今、何かあっても対応できる人が限られてるんだろうな」


そう言うと、リュカが小さく頷いた。


「レオン様が動いてくれるなら、王都の人たちも安心するんじゃないかな」

「そうだな」


俺は通り過ぎていく兵士たちを見る。

食料らしき袋を積んだ荷車。

その後ろには武装した兵士たちが続いていた。


……なるほど。


あいつはあいつで、困ってる人を助けに行くわけだ。


「よし!俺たちも行くか!」

「うん!」


そんなやり取りをしながら、俺たちは砂走車へ乗り込んだ。

やがて、車体がゆっくりと動き始める。

窓の向こうでは、ザルガードの巨大な城壁が少しずつ遠ざかっていった。


北の鉱山に続いて、東の補給路も何とか直った。

次は南部だ。


「なあ、ルミナス」


ばふっ!


「今度は井戸の掃除かもしれないぞ?」


ばふばふっ!


……おお。

めちゃくちゃやる気じゃねえか。


「キョーくん、井戸の掃除だけで済むとは限らないんだからね?」

「分かってるって!」

「本当に?」

「何で毎回疑うんだよ!」


チャピが呆れたように笑った。

俺もつられて笑う。

砂走車は西へ向かい、広大な砂漠を走り続けた。

目指すは王都ヴァルグラン。

そこから南部ラグナードへ。

……しかし、まさかこの大陸で、こんなにあちこちの現場を回ることになるとはな。

異世界に来ても、結局やってることは変わらない。

俺は窓の外を眺めながら、背もたれに体を預けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。