合コン
相沢松美ちゃん。
天使フェイスのロリ美少女。その実は結構変態だったりする。
でも図書委員の男子以外とは一切喋らないし、元気な女の子なのに不思議だった。
数か月前に二人で出かけた時に告白された。
「実はうち、父親がDVで……。男が苦手なの」
「……へえ」
何て答えたらいいかわからなかった。
「でも、恋はしてみたいとは思っているんだ。そしたらうちも普通の女の子になれる気がする」
その感覚は共感できた。
私も『普通の女の子らしく』恋がしたい、と思っていたからだ。
でも付き合ってからも、ふと我に返ると。
田宮くんは障害者と付き合って何を思っているんだろう。
私は周りから見ると滑稽なんじゃないだろうか。
そんな考えが脳裏にをかすめる。
でも、人を好きになることはそれでも素敵なことだ。
松美ちゃんが望むのなら。
「じゃあ、男の子を紹介しましょうか?」
「え! いいの!? でも学校の人はやめてね! 噂になると嫌だから」
田宮くんと私のことは全くもって噂になっていないのだが。
まあ、私が田宮くんに話しかける時にベタ惚れオーラが漂っているから、最近は違うけれど。
***
「――――てことで、男の子を紹介してくれない? 夏目くん」
その日の夜、夏目くんに電話をすると夏目くんは困ったような声で告げた。
『好みのタイプは?』
「常識人で自分を受け入れてくれる人なら誰でもいいって。あと、絶対殴らない人」
『いやまあ、その条件を満たす人ならたくさんいるけど』
夏目くんはしばし迷ったのちに言った。
『むしろ俺が行くよ。俺の友達、病んでいる人多いから、確かに彼女の気持ちを理解できる人は多いだろうけど、でも寄り添うっていうよりも個人主義が多いから』
夏目くんは高校でも面倒臭いのと関わっているんだなあ。
顔良し、成績良し、家柄良し、(ちょっとウザいけど)性格良しの夏目くんの致命的な欠点。
他人に自分の存在の価値を見出すところ。
つまるところ、共依存になりやすいのだ。
私は彼のお節介な所を知っているので、結構助けてはもらうが、でも絶対に共依存の関係にはならないように意識している。
「そう? じゃあお願いね」
まあ彼なら松美ちゃんを理解してくれるだろう。
***
とある休日。
松美ちゃんはゴスロリではなく普通におしゃれな服でやって来た。
夏目くんはチノパンにシャツと、普通の服装だが、田宮くんは変なTシャツがデフォルトなので、どうしょうもなくおしゃれに思えてしまう。
「車道側、どうぞ」
「あああ、ありがとうございます」
二人はどっからどうみても初々しいカップルだ。美男美女だし。
最初は緊張からか、ガチガチの松美ちゃんだったけれどしばらくすると、慣れたのか明るい面を見せるようになった。
カラオケでは二人とも美声を披露して、正直肩身が狭かったけれど。
初対面が終わった後の感想を夜メールで訊いてみた。
『めちゃくちゃ大人っぽくて素敵な人だった! ありがとう』と松美ちゃん。
『なんだあのロリ美少女は! うちの高校の奴にも爪の垢を飲ませてやりたい。でさ……(以下二十行ほどメールが続く)』
あー、やっぱり夏目くんはウザい。
まあでも、上手くいくといいな。
私は二人に返信をする。
「えーと、人類の歴史は、虐げられた者の勝利を忍耐強く待っている。っと」
――――1分後。二人同時に返信が来た。
『ほっとけ!』
あはは。息ぴったりだなあ。
***
――――さらに一か月後。
松美ちゃんからの電話。なんだろう。
『ごめん、あの人生理的に無理だわ』
上手くいかなかったみたいだ。




