告白の話
明日の放課後、田宮くんに告白する。
振られたときのために、松美ちゃんとひさきちゃんと放課後にラーメンを食べに行く約束はしてある。
今日は肝心の告白の練習をしようと思う。
「ってことで増谷くん!! よろしくお願いします!!!」
今は放課後。私は増谷くんとマクドナルドに来ている。
「う~ん。どこで告白するつもりなの?」
「ええと……」
教室――――はダメだ。どこの部屋でも大抵人がいる。
「体育館裏はどう?」
体育館裏は学校で唯一人気のない場所だ。私の言葉に増谷くんは難しい顔をする。
「でも、明日は身体・体力測定だよね? 放課後は運動部が体育館を片付けているよ? 多分、窓全開で」
うそーん……!!
図ったように最悪だ。汗べとべとで告白ですか。
「じゃ、じゃあ、ゴミ捨て場?」
「一番駄目だね」
増谷くんに一蹴されて、私はあえなく撃沈。
「どうしよう……!」
「もう、しょうがないよ。校舎裏で!」
校舎裏か……。まあ、妥当っちゃ妥当かな。
その後、増谷くんは思う存分鉄道の話を私にして、お互いにお礼を言い合って別れた。
***
「好きです! 付き合ってください!!」
翌日の放課後。告白すると田宮くんは目を大きく見開いて絶句した。
「……あ、あの調子のってないからね!!」
思わずそう言う。障害者のクセに調子のんなと好きな人から言われるのが一番怖い。
「……こういうとき、何て言えばいいの?」
田宮くんがやっとそう返してきたので、私は首を傾げつつ答えた。
「例えば、好きなら『付き合おう』、友達として好きなら『このまま友達でいたい』、心底嫌いなら『明日から話しかけないでくれる?』」
最後の言葉に、田宮くんは苦笑いか失笑かはわからないがくすりと笑った。
「あの、俺と付き合って、何が変わるの?」
この言葉ってどういう意図だろう。わからないけれど私は必死になって言う。
「だって」
私はキッと田宮くんを見据えた。
「私と田宮くんはどっからどう見ても友達だよ。でもそれはいやだ。だったらせめて友達みたいな恋人になりたい! 手を繋ぎたい!!」
「最後のほう具体的だな」
それだけ答えて田宮くんはちょっとだけ考える仕草をした。
「付き合っても何も変わらないかもしれない。でも、それでもいいのなら」
「付き合ってくれるの!?」
思わず顔を綻ばせると、田宮くんは照れたような無表情で告げた。
「手を繋いで登校とかはできないよ」
その時の私は希望でいっぱいだった。
田宮くんは確かに優しくて賢い。そんな人と付き合えるなんて夢のようだ。
でも、田宮くんが抱えているものを、私は何一つわかっていなかったのだった。
「あ! これからラーメン食べに行くんだった!」
「え? 一緒に帰らないの!?」
……次から振られる準備はやめておこう。




