第四十二話:支援対象外
管理局から二通目の通知が届いた。
封は丁寧だ。
文面も柔らかい。
試行制度参加区間には、優先通行権を付与する
非参加区間は通常扱いとする
若者が読み上げる。
「優先通行権?」
「混雑時の先行許可だ」
新商会はすでに参加を表明している。
北側は申請中。
東側も前向き。
南側第三。
紙はまだ白い。
午後、混雑が起きた。
晴天が続き、急ぎが増えている。
交差点で列ができる。
管理局の旗が振られる。
「制度参加区間、先行」
新商会の馬車が先に通る。
若者の区間は待機。
「通常扱いです」
淡々と告げられる。
遅延はわずか。
だが確実。
――南側第三:遅延増加
――参加区間:遅延減少
若者の指が帳簿を握る。
「公平ですね」
「公平だ」
条件は示されている。
入れば優遇。
入らなければ通常。
夜、会議。
管理局の使いが言う。
「制度は安定を促進します」
「参加区間が増えるほど、全体が整う」
新商会の代表はうなずく。
北側は申請書を提出。
東側も続く。
南側第三だけが、外。
若者が静かに言う。
「枠に入らないと、遅れます」
「そうだ」
「遅れると、依頼が減ります」
「そうなる」
若者は火を見る。
三割の余白。
止まっていない。
事故もない。
だが、先行はできない。
「参加すれば、解決します」
紙はまだ机の上。
筆を取れば終わる。
順番を書けばいい。
固定すればいい。
若者が目を閉じる。
「順番を固定するのは、怖いです」
「なぜ」
「変えられなくなる気がします」
外で馬車の音。
制度参加区間が先に通る。
若者の区間は一拍遅れる。
遅れは小さい。
そう、積み重なる。
帳簿を閉じる。
――優先通行:なし
――余白:三割
――停止:なし
街道は続いている。
速さは制度に寄る。
自由は外に残る。
選ばなければ、
流れは遅くなる。
枠は強い。
まだ、強い。




