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【最強最弱】猫を救ったら、5つの異世界まで救ってしまった!勘違い無双の英雄はヒロインたちにハッピーリタイアさせられる  作者: ニャルC


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チュートリアルの相手は巨大戦艦、って本気?

※メトロ・ポリス

青く澄み渡る水上に浮かぶその都市は、幾重もの巨大な同心円(リング)を描いて放射状に構築されている。

幾重の円環を繋ぐ白亜の架橋と、幾何学的な空中都市回路。


そして同心円の中心――群立する超高層ビル群すら見下ろすように、

天を穿つ巨大な針のごとくそびえ立っているのが、カジノホテル『ジャック・ポット』。

この場所はショーケース――資本主義の高度文明の極致を誇示するモダンセクターの象徴であるメトロ・ポリス。

※

「……ここが、新しい世界か」

黄金の残光が消え去ると、都市全体を俯瞰できる高架ブリッジのテラスに青年はいた。

ここはショッピングモールのようだ。


青年は視界の端に黒猫を見かけた気がして、その後を追うことにした。

最初に足を止めたのは、全面がホログラムのディスプレイと化した高級靴店。

ショーウィンドウの中では、銀色に輝く流線型のブーツが、優雅に浮遊している。


彼がその輝きに見惚れていると、自動ドアが無音でスライドし文字通り店員が飛んできた。

店員が足元に装着した小型のジェットブーツは、床から数センチ浮いているのだ。

「いらっしゃいませ!いやー、お目が高い。それはまだ市場に出てない、プロトタイプですよ」


青年はその魔法のようなテクノロジーに圧倒されたが、すぐに自分の現状を思い出しました。

彼はバースト神から授かった恩寵を「私利私欲には使えない」という制約を課されており、一文無し。


「……ちなみに、これ、いくらするんだ?」

と尋ねると、店員はにこやかに応じました。


「市販前なので、時価ですがーー?」

青年は断ると、そのままウィンドウショッピングを続けた。


少し懐かしい匂いがした。揚げ物の匂いがするがファストフード店があるのだろう。

「ヒーロー志望にお誂え向きの世界って言ってたけど、平和そのものだぞ」

この呟きがフラグだったのだろうか?


完璧に計算された未来都市の光景は、唐突に鳴り響いた電子サイレンによって引き裂かれた。

摩天楼のガラス壁が一斉に赤の警告色に変わる。

AIアナウンサーの音声が流れる。


『緊急警報!緊急警報!謎の戦艦が混沌の海を越え、接近中。

全市民はただちにシェルターへ避難せよ!

これは演習ではない!繰り返す、これは演習ではない!』


摩天楼のガラスが生中継映像へと一斉に切り替わる。

『自動迎撃がバリアに阻まれて、兵器が利きません!』


次に映し出されたのは漆黒の海――何者も拒むはずの混沌の海を割って進む、一隻の船だった。

ただ、サイズが違いすぎて移動する要塞と言った方が近い。


青紫色の光の粒子に覆われている――あれが防護障壁(バリア)なのだろう。

モダンセクターが誇る最先端の自律型防衛陣地から放たれた幾千の光条や火線が戦艦の巨躯に直撃する。

だが障壁の表面で虚しく弾け飛び、火花となって闇へと消えていく。


足元で、何かが青年の脛に体を擦り付けた。

一匹の黒猫だ。首輪には銀のプレートで「ファズ」という名札が揺れている。

猫はハチミツ色の瞳で俺を見上げた。


「……呆けておる場合か。先史文明の戦艦が迷い込んできたぞ」

悲鳴と警報が渦巻く都市の喧騒の中、足元の黒猫のハチミツ色の瞳には動揺の欠片もない。


「お主に貸した恩寵、神足通の本質は行きたい場所へ飛ぶ『ファストトラベル』などではない。

セクターの壁を越え、解決が必要な場所に移動するのじゃ。

あの戦艦は混沌の海に浮いておる、つまり独立したセクター。

なら戦艦内部へ直接移動して、動力源を止めれば良い。

青白いキューブというものじゃ。チュートリアル、というやつじゃな」


「混沌の海に隔てられた島を、飛び回るイメージ?」

黒猫が頷いた。

「なるほど……ありがとう、ファズ。いい名前だな、今日から俺もそう名乗るよ」

神足通の魔法陣が展開され、黄金の粒子に包まれた。


※RB2船内

目を開くと赤色の非常灯が、配管むき出しの通路を照らし出している。

鼻を突く焦げたオイルの匂い、そして重厚な機械駆動音が響く。


『こちらは戦艦RB2です。投降するか、退去してください』

即座に反応した警備ロボットが警告音声と同時に、レーザーガンを向けてくる。


ファズは右拳に意識を集中させた。

バーストから借りた光が、黄金の粒子となって拳に渦巻く。

「悪いな、急いでるんだ。バーストストライク!」


警備ロボットの腕に叩き込むと、紙のように容易く貫通した。

床にレーザーガンが落ちたので、拾い上げると先を急ぐ。


目の前の扉を叩き割ると、巨大な機関室に出た。

部屋全体を包むのは、鈍い黄銅色に光る無数のパイプと、何重にも張り巡らされた重厚な鉄骨の架構。

天井からは太い排気ダクトが幾本も束となって伸びていた。


機関室の中央、すり鉢状に落ち込んだ底には、灼熱のマグマを思わせる黄金色の光の炉が脈打っている。

その上部に青白くまばゆい光を脈動させ、戦艦全体に絶え間なくエネルギーを循環させている結晶体

――「キューブ」がある。


「これさえ抜けば!」

バーストストライクで「キューブ」を固定している金具を破壊し、「キューブ」を引き抜いた。


――瞬間、世界が激しく揺れ動いた。

戦艦RB2は断末魔のような重厚な振動と共に、セクターとしての浮力を一瞬にして喪失。

逃れられぬ重力に従い、高度を下げ始めたのだ。


「……え?チュートリアルって言ってたよな!」

ファズは暗闇の船内の最も強固な機関部――バイタルエリアに身を伏せ、激突の衝撃に備える。


「目が覚めたら、また神殿とか無いよな!」

神足通の魔法陣が展開され、黄金の粒子に包まれた。

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