13 強化魔法
鑑定石は黄色い琥珀のような姿形をしていた。
さっきまで灰色の石であったのにラッドさんが力を込めると琥珀のように透き通った黄色に変色していた。
「この鑑定石で僕を鑑定してみてよ」
鑑定石を右手でつかみながら頭に浮かんだ言葉…"解析魔法"と唱えた。
そこには視覚情報としてこんな情報が載っていた。
名前)ラッド・トール
系統)魔法師、妖術師
属性)風、 弱化
魔力)23'765/24,976
――――――――――――――――――――――――
すごいのか?
対象を自分に向けてみるとそこには天地ほどの差を見た。
名前)ユウセイ・シモツキ
系統)妖術師
属性)強化
魔力)4,264/4,264
〈吸魔魔法〉
なんか魔法も入ってる?
「ああ、相手を鑑定するときは所持魔法まで見えないけれど、自分を鑑定するときは所持魔法まで見えるよ」
「僕はまあ、数十種ていうところかな」
「これは魔法系にしか反応しないからドルイドとかは対象外なんだよねぇ」
「強化魔法教本の中に入ってるレコードを触ってみてくれるかい?」
本の中に入っていたCDのようなものに触れる。
目の前が真っ白に染まる。
その視界の中、頭に3つの言葉が浮かぶ。筋力微上昇、速力微上昇、知力微上昇。
頭の中にこの3つが書き綴られる感覚の後、視界が通常に戻る。
「何個か覚えられたかい?」
「筋力微上昇、速力微上昇、知力微上昇この3つを覚えられました」
「ほう。すごいね僕はこの教本のレコードからは膂力微上昇しか取れなかったんだよね」
「レッサーストレングスブーストと何が違うんですか?」
「レッサーアタックブーストは強化率が低い代わりに身体能力全体を強化できるんだけど、レッサーストレングスブーストは筋力のみ強化するから強化率が高いんだ」
「身体を強化するか、筋肉を強化するかの違いだね」
「なるほど」
「ミトンさんから一緒に冒険していたって聞きました。その中で一番使った強化魔法とかありますか?」
「そうだなぁ、ミトンと僕とあとふたりの四人パーティだったんだ」
「もうひとりが何も考えず突っ込む脳筋でさ。彼には筋力上昇、ミトンには膂力上昇、もうひとりは弓士だったから膂力上昇と筋力上昇、命中上昇をかけていたかな」
「弓士の人が一番強かったんですか?」
「そうだね。彼がダメージディーラーで僕が魔法で牽制しつつ、ダメージを与えて、脳筋がヘイトを稼いで、ミトンが急所を突いたりするって感じの戦法がメインだったかな」
「彼が今どこでなにをしてるのか僕たちはわからないけどね。解散するときに田舎に帰るとか言ってたからたぶん田舎で畑を耕したりして元気にしてるんじゃないかな」
「彼は弓矢創造という魔法で矢を際限なく作れたんだ。魔法系なのに、戦士系を選んでたのはよくわからないけどね」
「ちょっと昔話が過ぎたかな」
「ごめんねユウセイ君」
「よかったらまたきてね。君の旅に思想の蟹の加護があらんことを」
ラッドさんの屋敷から帰るとそこには赤いブーツと赤いローブを着たヘルといつも通りのデグンがいた。
「おかえりなさい!ユウセイさん」
「おかえりー」
デグンから今日のことを聞いた。
「壁蹴って登るとか人間じゃねえだろ」
「アタシ特殊な監視紋だから、効果範囲が自身含めた仲間を強化する力なんだよねぇ」
「監視紋の中でも仲間を強化するタイプにしては異質だな」
「そーでしょ。おじさんわかってるじゃん」
「ミトンさん、なにか特殊なんですか?」
「周囲を強化するタイプは基本自分を強化できない。自分を強化するタイプは周囲を強化できないっていう一応法則的なものが言われてるんだ」
「そー、私はその両方を強化できるわけ。まあ、強化率はそれぞれに特化した能力と比べると若干下がるんだけどね」
「数が少なかったりすると強化率を上げたりもできるんだ」
「意外とアタシ優秀でしょ」
ヘルははにかんで笑う。
少女らしいとも思うが、何か隠していてそれを隠すための笑顔にも見える。
テンプレ的な笑顔なのだ。
典型的すぎる少女の笑顔なのだ。
彼女から正体についてはなされるまでは聞かないでおこうか
「あ、そうだ。ふたりにお土産があるんだ」
ラッドさんたちにもらったクッキーを出す。
「あら、クッキーね」
ヘルが一口かじる。
「あら、おいしい」
「ペートル地方の小麦かな。あとグラサベールのきのみが練りこんであるのかな、ほどよい甘さと香ばしさが共存してる」
「やっぱお前、スラム出身なのに妙に学があるよな」
「お菓子好きなのよ。前マフィン盗んでやったけど、睡眠薬入りで寝こけたこともあるけれど」
「お前、それでよくそんな速攻クッキー食ったな」
「あなたが持ってきたんだもの。ここにはグデンくんもいる。毒は盛ってないって考えただけよ」
やはりこの女。
何かを隠していそうだ。
明日からはまた旅が始まる。
それでこの少女の実力などがわかるはずだ。
でも、実力者なのはわかった。
鑑定石を使ったら、「情報が隠匿されています」って出てヘルはこちらを睨みつけていた。
つまりは、もしかしたら大魔法使いに匹敵するほどの?…
いや、さすがにそれはないだろうと俺は結論付け、みんなでクッキーを食べるのだった。
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