餓鬼──ガキ──
餓鬼というのはなんだと思う?
大学のオカルトサークルの部長から聞かれた。
いきなりすぎてフリーズしたし、あまりにも質問が曖昧過ぎて、どう返事をしていいのかわからなかったからだ。
一般的な餓鬼のイメージは、その名の通り餓えた鬼で地獄にいると言われている。
仏教の考え方だと、6道。地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天、に分かれており、下から2番目の餓鬼界というところにいるという。
しかし、その性質は変わらないだろう。
それくらいの知識なら、さすが部長。彼だってわかっている。
彼が知りたいのはそういうことではないだろう。
もし実在したとしたら、どうなるのか。
人間が取り憑かれる事があるのか。
部長の目は真剣だった。
何があったのか、と尋ねると部長は言葉を濁した。
なぜ餓鬼に興味を持ったのか。友人の事としか話せないらしい。
六道輪廻。人間や動物は、先程のべた六道(六界と呼ぶこともある)を輪廻転生するとある。
生前犯した罪や善行により、どの道に転生するかはわからない。
もし人間に生まれているとしても、そのような業を積めば、餓鬼に取り憑かれることもあるかもしれない。
祖父曰く。
欲望は善と悪の紙一重のところにある。
欲望を飼いならし、自分も他人ももっと、もっとと 努力できる人間は善だ。
しかし、欲望に負け、人を妬んだり恨んだり、傷つけて奪ったりすりゃ悪だ。
この世も地獄、あの世も地獄さ。
部長の友人がどちらの道に進んだかはわからない。
話から察するに後者の可能性が高いが……。
あれが欲しい、これが欲しい。誰もが持つ願望。
しかしその欲に負けた時、人は人で居られるのだろうか。
生きながらにして、悪鬼になる人も必ずいるはずだ。
それが人間が背負った、罪、咎、穢れ。
なのだから。




