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百鬼徒然  作者: 葛葉龍玄


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事故物件──ジコブッケン──

 大学の友人が新しく部屋を借りたと言って、僕ら数名の友人を招待してくれた。

 が。それは外から見ても分かるほどの異様な雰囲気を放っていた。

 僕はなんとも言えず、彼の部屋に入ったがドンピシャ。嫌な気配はまさにこの部屋から出ていた。

 夕飯を食べ、酒を飲みながらはしゃぐみんな。

 しかし、僕はそんな気になれず部屋の中を見回した。


 この部屋マジで安いし他に人も入ってないし、すっげぇ居心地いいよ!

 友人はそう言った。

 ここが居心地がいい?どういう神経をしてるのか。

 特にヤバそうなのは洗面所。出来るだけ近づかないようにしていたが、酒も入ってどうしてもトイレに行きたくなる。

 他の友人も、トイレから戻ると顔を青ざめさせていた。

 おい、ここやばいよ。絶対幽霊かなんかいるって。

事故物件じゃないか?

 不動産屋には前の入居者がどんな人だったか、伝える義務がある。

 誰かが亡くなったりしたら伝えないといけないのだ。

しかし。人が亡くなってたとしても、次に借りた人がいたら亡くなった事実は伝えなくてよくなる。

 バイトなどを雇って1週間くらい住まわせばいいのだ。

 他の友人たちすら感じる程の妖気に対してコイツはまったく動じない。

 幽霊だ妖怪なんているわけがない、と笑い飛ばしている。


 祖父曰く。

 怪異を心のそこから信じてねぇ奴の中には、本当に見えない奴がいる。気配すら感じない。

 そういう奴は、信じない、というバリアを張ってるのさ。


 よく霊と「波長が合う」という話もあるが、僕はラジオの周波数みたいなものだと思ってる。

 周波数が合わなければ見えない。

 しかし、一般人でも周波数が合ったら、見えてしまうのだ。

 そして僕みたいな人間は周波数の幅が広すぎて、どんな霊とも波長が合ってしまうのだろう。

 では、この友人はどうなのだろう。

 信じない、というバリア。それはラジオの電源すら入れてない状況ではないのだろうか。

だから、気づかない。


 結局僕らは終電が無くなる前に帰路についた。

 その出来事から半年。

 そいつは何事もなく暮らしている。

 なんとなくそいつが羨ましいと同時に、どんな霊現象を起こしても、まったく取り合ってもらえない幽霊が可哀想に思えた。

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