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義戦之武  作者: 昇龍翁
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【第四十四章】

【第四十四章】

 平陽は、たわい無く落ちた。関内州の州都であり、破壊などされていない状態で耐久400,000を超える大城であったが。さらに喪威の160を超える派遣部隊があったにもかかわらず、襲いかかった戦勝・百花の両軍勢の部隊数は600を超え、30分もかからずに平陽は陥落した。

「今回は殊更、諸将の気持ちが乗っていましたな。整然と一糸乱れず。これが我らの力。」

「河朔勢との力の差を、思い知ったであろうよ。」

「少しは溜飲が下がったな。」

「愚か者たちゆえ、まだ反抗を試みるかもしれませんな。」

「放っておけ。例え平陽を取り返そうとしたとて、破壊状態であるゆえ、再度の奪い返しは容易じゃ。」

「向こうは少ない資源をさらに枯渇させるだけですな。」

「我らは、血と汗で資源州への道を開き、富国強兵に努め、幾つもの前線を維持した。力量も物量も大きく違うわ。」


 戦勝祈願の諸将は次の目標への準備に移った。次は、淮海の州都・下邳。淮海には放浪軍がおり、北部連合の決定的崩壊を招いた虞蓮もいる。当時の幹部が放浪軍となった後、運営を任された者の判断により、ひとたびは降伏していたが、再び代替わりした次の幹部会は、その降伏条約を遵守するつもりがない。当然、争いとなるであろう。

 しかし。しかしである。今の戦勝祈願の行軍を、それらがどうして止めることができようか。それほど、士気も戦意も兵力も昂っている。

 虎牢関と洛陽を乗り越えた戦勝祈願。その二大作戦に備えて、兵力を糾合する際、力量に劣っていたり、連絡が疎遠で聴聞にも返答のない武将を、一時的に放逐する場面もあった。時の流れが激しく、個々に尋ね了解を得る時間がない中での事である。そしてその放逐は、しばらく前から周知していたことである。周知をよく読んだ者は皆、覚悟をしていた。自分の力量は放逐の対象になるかも知れぬと。その結果、戦勝祈願は十分な戦力を構築し、二大作戦で目覚ましい活躍ができたのである。


 すこし、組織論を述べよう。組織に自分が守られるという発想は誤っている。自分たちが、自分たちにできることを精一杯に取り組んで、組織を守り育てるのが筋である。そうやって育った組織の下でこそ、結果として自分も守られるのである。「権利と義務」。これも義務の遂行が先である。その上で権利が保障される。それを勘違いする所属員は、組織にとっては「百害あって一利なし」なのである。

 組織の為、いや、組織を共にする仲間の為に、率先して汗を流し、自分が足を引っ張ると思えば、自ら身を引く。そういう構成員に支えられた組織こそ、盤石となるのだ。


 話を戻そう。

 州都・下邳攻略のため、戦勝祈願の諸将は、淮海中部、下邳の北側に拠点を築いた。今度は納富との合同作戦となる。幕舎を並べ相互に守り合いながら、着実に準備を進めていった。


【章末】


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