【第三十三章】
【第三十三章】
翌日のことである。戦勝祈願・幹部会は、捕虜から救出されてしまった滑樽増の城を、昼に再攻略する計画を立てた。友軍である百家涼藍にも声をかけた合同攻城である。
「おい。滑樽増の駐屯数120を超えているぞ。抜けるのか。」
「不安はわかるが、合同攻城。死力を尽くすしかあるまい。」
かくして攻城が始まった。相手も油断していたのか、2同盟の総攻撃に120を超えた駐屯部隊は見る見る減っていく。攻撃に気づいた周囲の敵部隊が慌てて駆けつけるも時すでに遅く、遂には駐屯部隊が全て薙ぎ払われ、攻城が始まった。
逆に城壁にとりついた部隊はどんどん増えていき、50を超えた。そしてついに滑樽増の城を再度、捕虜とすることに成功した。今回はトドメの一撃を百家が決めたので、百家の支配下となった。
「この先の進軍は、百家しかないのか。」
「いや、我らも鎮圧すれば、その先へつなぐ足場とできる。むしろ鎮圧の正しい使い方だな。」
「落城後の城が落ち着くまで8時間。それが過ぎたら鎮圧すれば、あとは攻勢ですな。」
「今度こそ、織駄城を落としましょうぞ。」
「そこを抜ければ少し開けたところに敵の幕舎群。格好の狩場よ。」
しかし、織駄城の守りは硬く、前線は膠着した。ここを抜かれるリスクを鴉も理解している。だから敵も必死なのだ。
後方撹乱を制御しつつ、陽阿の防御を担っていた部隊に、谷遠の防備令も届いた。北軍から謀反分離した者たちの放浪軍が、谷遠を脅かしたのだ。
「派遣で向かっても谷遠まで1時間弱。いかがしましょう。」
陽阿防衛軍の士気も上げねばならぬ。同時に谷遠の防衛も。谷遠守備隊長不在の中で、相談を受けた副隊長・昇は一計を案じた。
「主力はこのまま陽阿へ。足場部隊を谷遠へ。主力の次席部隊を各自一つだけ、襄垣へ。この次席部隊で放浪軍を叩く。」
部隊内で通知を出した後、昇は自ら動いた。戦線維持は戦果が目に見えないのでストレスが溜まる。これによる士気低下も避けなければならない。
「少し、陽阿の前線も動かすか。関前を少し掃討しよう。」
「殿、しかし陽阿前、かなりの部隊が停留しております。こちらの部隊が少ないと、敗戦の危険性が。」
「しかし、士気を維持するには実施するしかなかろう。」
刻限を決めて通知した上で、昇は谷遠へ向かう。近隣部隊に援助を願い出ながら、堅牢閉城をした目標の放浪軍が残した足跡を自ら消して歩く。そして、1部隊をその放浪軍砦近くに配置。
陽阿では、参加者が少ない不安を感じながらも、皆の士気高揚をせねばという意識が強く、無謀と思いつつも、作戦を決行。
しかし、第一目標であった敵軍楽台の破壊も失敗。再び陽阿籠城に移った。被害甚大。参加した諸将に詫び、自らは襄垣へ。討伐部隊の陣屋で仮眠に入ったところを、まさかの早期閉城解除を行った敵放浪軍の奇襲を受け、昇は再び倒された。前回の傷も癒え切っておらず、そのまま昇は、昏睡状態となった。
『次に儂が倒れたら、責任をとって、同盟から我が軍籍を抜け。』その命令を受けていた侍従は、昇の軍籍を戦勝祈願から抜いた。そして息子の仁も、それに倣った。
【章末】




