【第二十六章】
【第二十六章】
関内州からの箭田鴉の更なる流入を防ぐため、陽阿の関を破壊し支配下に置いた戦勝祈願であったが、この動きは関内州に少なからぬ動揺を与えた。南部から関内へ侵攻していた鴉であったが、それなりに関内を鎮撫しており、それに従う中小同盟もあった。彼等は、大同盟の戦乱を横目で見ながらも、資源州への憧れを捨て切れてはいなかった。鎮撫した鴉ならば、いつかは、この陽阿から資源州に招いてくれるかもしれないと言う期待を持っていたが、それを河洛側から閉ざされた形となった。中小とはいえ、それなりに練兵を重ねた部隊。これらが、最初は様子を見ていたが、一つ二つと陽阿の関に迫ってきた。戦勝祈願が防衛のために敷設した柵や櫓を破壊し始めたのだ。
当初、その散発的な攻撃状態は、戦勝祈願の諸将にとって、格好の「狩場」であった。戦功・武功を手に入れようと、司隷での侵攻と並行して、数部隊を向かわせて蹂躙していた。相手は資源が少なく、貧困に喘ぎながらの防戦であったので、両前線共に、戦勝祈願側の攻勢を維持していた。
しかし、大事件が起こる。全土で大規模な震災が発生した。資源損傷は無いものの、被害確認など、全土の将兵が前線での動きが取れず、領国での事務作業に追われる事になった。攻勢が一時停止した事で、防戦一方であった司隷の鴉、陽阿の中小同盟の資源が回復したのだ。一連の余震が収まった時、司隷・陽阿両方で、敵側の猛攻が始まった。
特に緊急事態となったのは陽阿である。支配下に置いたものの、破壊された陽阿の関は、耐久値が落ち、本来の強度を失い、小規模の城と同様の状態である。隣接を許せば、造作もなく奪われる状態。勢いを盛り返した関内の中小同盟が、今度は組織的な攻勢に出た。散々に各個撃破されてきた反省から、一箇所一箇所部隊を重ねて、着実に陽阿に迫ってきた。占領を始めた部隊の上に、兵種の違う部隊をいくつも重ね、占領が終わるまで耐える。その戦法は、単騎で突入してきた戦勝祈願の諸将の動きを止めた。単騎では歯が立たない。
重ねて、資源の亡者となった関内の諸将は、熱望を持って集団で押し寄せる。
「陽阿を。資源州への入り口を!その先の豊かな大地を!」その思いは彼等を強くした。敵の攻勢は、陽阿まで一里のところまで、迫っていた。城壁修復の足場が組み上がるまで、あと数刻。敵はこの機を逃すまいと、必死に迫っていた。
老将・昇は、震災明けの早朝に、司隷で息子の仁の幕舎が攻められている事に気づき、全部隊で防衛に向かったが、攻めていたのは足場部隊ではなく精鋭部隊が数隊。油断もあり全部隊が壊滅。主城で徴兵をしている途中で、今度は陽阿の窮状を知る。徴兵もそこそこに陽阿へ部隊を向かわせ、隣接を防がねばと考え、陽阿関前に展開。しかし、北面で2隊、関前駐屯で2隊を退けるものの、集中攻撃を重ねる相手には、多勢に無勢。瞬く間に壊滅し、昇自身も痛手を負い、倒れ、そのまま意識を失った。
【章末】




