【第二十三章】
【第二十三章】
長東城の攻略は、あっという間であった。昨日も頑張った緋蕗陽が、希林雅・弩羅斗を抑えて一番手柄であった。
「ただの癒しではないな。」
「うむ、甘えて怒らせたら恐ろしいのかも知れぬ。」
「普段、笑顔の人ほど、怒らせると強烈に怖いというからな。」
皆の予想を越えた頑張りに、様々な憶測が生まれた。
さて、同時刻。
「さて、沾県城。始めるかのぉ。」
最初に行動したのは、老将・昇であった。息子の仁を従えて、沾県への攻略ルートを作り始めた。この時、昇は全部隊出撃。長東と沾県に振り分けて全てが出陣していた。昔ながらの老将に鍛えられた彼の部隊は一秒刻みで、土地を繋いでいく。
呼応して他の部隊も動き始めた。そして、
「沾県前、熱くなってきたぞぉ!」
老将の雄叫びで、勢いがつく。隣接間際の沾県の近くまで、多くの部隊が押し寄せる。
まだそれほど多くはない放浪軍勢が落とせるのはこの程度であり、駐城部隊も弱く少ない。さらに敵軍勢の駐屯も10を少し超えるほど。それなりの猛者が籠っていたが、3倍を超える部隊が襲い掛かればひとたまりもなかろう。
後背を突かれぬよう、放浪軍の足場を黙々と消す者もいる。それぞれが自身にできる事に取り組み、皆のために動く。
「よし、あとひとつで隣接じゃぁ。」
最後の隣接を買って出たのは那津雄。そして、猛攻撃が始まる。
手前の土地を制圧しながらの進軍。駐屯部隊との戦闘。体力はすでに削られている。
さらに、敵支配下の城を責める時には、安易に兵器部隊を投入できないことから、兵器部隊の参加が少なく、それゆえに、削るのに時間がかかる。
体力が尽きて撤退する者もでてくる。しかし、それを補うように、次々と新規の部隊が攻城に参加する。
「新陳代謝のようだな。」
「ものは言いよう。まさに大きな生き物のようですな。」
疲れ果て、後ろ髪をひかれつつ撤退する武将が、後を託す部隊の動きを見ながら、嬉しそうに語り合う。
やがて。
「沾県城、陥落!放浪軍から取り戻したぞぉ!」
城に籠っていた放浪軍が、這々の体で逃げていく。
「よし、周囲を掃討して終わりじゃ。皆の者、ご苦労であった。」
2夜連続の、同時作戦を成し遂げた戦勝祈願の諸将の顔には、輝く達成感が溢れ出ていた。
「さて、次はどこですかの。」
落ち着きかけた全土の趨勢にも揺らぎの噂も聞こえてきていた。まだまだ波乱はありそうだ。戦さは、まだ続いていく。
【章末】




