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義戦之武  作者: 昇龍翁
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【第二十章】

【第二十章】

 戦勝祈願・百家涼藍の連合軍は、河朔へ侵入した虞蓮諸将を着実に捕虜にして、雛県前に門神として配置された2将も抑えた。

「相手はもう、雛県に部隊を集めて防衛するしかなくなりましたな。」

「百家側で門神をしていた玲空竜、強いと評判でしたが、この部隊数で攻められたら恐怖でしょうな。」

「ただ良い場所に陣取ったな。捕虜にしても、雛県攻略途中で逃亡されたら、百家の足場が途切れるぞ。」

「奴のことじゃ、計算して動くじゃろう。用心に越したことはない。」

 実は老将・昇は、敵将でありながらも玲空竜とは親交がある。互いの立場を揺らがせることはないが、玲空竜は昇を友として慕っており、昇も悪しからず思っていた。

「貴公らの言うとおり、攻め立てられた時のことを、『さすがに恐怖を感じます』と文で知らせてきたわ。負けは覚悟でも籠城しか手がないと。」


 やがて計画通りの時間に雛県攻略が始まった。守る部隊数は百数十。対して攻める連合軍は250を数える。攻城当初は強力な反撃もあったが、後はズルズルと削られていった。

「城の支配を、百家に委ねるつもりゆえ、あらかた削ったら撤退してください。」

「頃合いです。全軍、引きます!」

 君主より指示が出る。ただ、いつものことだが、戦乱の中、指示が通らない部隊もある。

「おや、まだ攻めている部隊があります。」

「それぞれ声をかけて引かせよ。」

「申し上げます!玲空竜、飛びました。伴って百家の足場が途絶。攻撃が止まります。」

「賢しいやつよ、我らの撤退を見越しておったか。」

「百家の足場が再構築されるまで、前線維持!」

「百家、懸命に足場を繋いでおります。」

「戦勝の殲滅部隊は近隣で待機。戦況によって動けるように備えよ。」

「百家の足場、再構築完了。改めて攻撃が入ります。」

「よし、改めて全撤退。雛県の支配を百家に委ねる。戦勝祈願、全撤退!!」


 いくつかの部隊が撤退できずにいたが、雛県は無事に、百家の支配下に置かれた。

「戦況はこれで変わりますな。」

「虞蓮の中でも、幹部の暴走に困惑している派閥もあるとか。おそらく暴走組は国を飛び出し放浪軍となるであろう。」

「残されたものたちが、虞蓮の今後をどのように考えるか。」

「今回の大反撃は、大きな衝撃・恐怖であったでしょう。それを踏まえて賢明な判断をしてくれると良いが。」

「そこは、名外交官・羅宗殿がうまく導いてくれるであろうよ。」

「では我らは部隊を補充し、刃を磨いて次の戦場に備えましょう。」

 今後に思いを馳せながら、諸将は凱歌を歌いながらそれぞれの所領へ引き上げていった。これまでの戦闘を通して、戦勝祈願の統率は磨きがかかったように見える。押すも引くも一つの大きな獣の如く、全体が動くようになってきた。


【章末】


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