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義戦之武  作者: 昇龍翁
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【第十四章】

【第十四章】

 河洛は各地で混戦を極めていた。特に陳留国の防衛戦は、一時、大きく崩壊した。この地を防備する虞蓮は、陳留国東方から進軍した納富との戦闘で手一杯となり、西方面の尉氏の関を敵方・黒無葉津に抜かれてしまい、侵攻される。

 だがここで不思議な事態がおこる。密約でもあるのか、虞蓮は進軍する黒無葉津と交戦をせず、そのせいで、黒無葉津は魏郡南端の埠頭近くまで軍を進める。

「虞蓮の坊やのことだ。東部の納富戦線に集中するために自己中心的な暗躍をしたのでは?」

「本当にお坊ちゃんですな。幼少期から殿下、殿下と甘やかされて傲慢に育ってきたのか、自尊心が高い割に、周りへの配慮はできない。自軍の能力把握もできていないし、内部統制もできていない。」

「聞くところによると、内部でも情報が行き渡らず、不信感を高める一派もあるらしい。」

「なんと。崩壊寸前ではないか。困ったものだ。」

 しかし、虞蓮は突如として、黒無葉津と戦い始める。密偵の情報では、あろうことか敵方である納富から『戦の義に欠く』と黒無葉津に苦言が行って密約が破棄されたのではないかとのことである。それを受けて戦勝祈願へも救援要請が入り、即座に戦勝祈願は支援行動に移り、陽武付近を掃討した。

 戦勝祈願は、河内郡防衛へ部隊を送りつつ、魏郡南端の防衛網構築に注力した。安全領域を確保した上で、河内郡防衛及び孟津攻略の準備を進める。まことに目の回るような縦横無尽ぶりである。

 そして、孟津攻略の百家涼蘭との合同作戦を固めにいく。改めて戦力調査を行ったが、当初は諸将からの回答率が低く、君主を大いに困らせた。孟津攻略に取り掛かって良いだけの戦力を保有しているかを見極めるのは、参加する将兵に無駄な兵損を出させぬ為にも重要である。これを読み間違えると、参加者に多くの損害を与えるばかりか、士気を大いに下げてしまう。さらに今回は合同作戦。百家涼蘭にも大きな被害を与え、今後の友好にも悪影響を及ぼす。

「この事を皆が理解してくれれば良いのですが。」

 できるだけ優しく回答を催促する、君主の姿を見かねて、老将がキレた。

「おい!答えんか!参加できないなら、そう言えば良い。それも回答じゃぞ!無回答とはなんと無責任な。儂が君主なら追放じゃぞ!できる事をしっかりと成せ!」

 ようやく参考にできる水準の回答が集まった。

「これなら、なんとかいけるだろう。」

 幹部会は、実施に向けて決断した。司隷に接続する関所を一つでも持つことは、今後、全土の強豪同盟との外交にも重要な有利事項となる。

 ついに孟津の関、攻略作戦開始した。駐城突破は、思いのほか順調にすすんだ。

「連合軍だとやはり心強いですな。あとは兵器部隊がどれだけ動けるか。」

 その心配は杞憂に終わった。兵器突入後、攻城部隊はあっという間に500を越え、その後も増え続けて、650を越えた。

「行け行け!ここが分岐点。いち早く司隷の門を開けるのだ。」

「我らと百家、どちらがトドメでもかまわぬ。両同盟はもはや一心同体。心配せずに全力で攻めよ!」

 かくして孟津は、友軍・百家涼蘭が無事に制圧。百家涼蘭・戦勝祈願の連合軍が、全土で一番早く、司隷入りを果たした。


【章末】


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