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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第一章 僕の学園生活?
11/45

11.スキル選びです。生き残るためにです。超重要なのです。

「さて、ユウの場合はほんと~に楽でいいわよね。スキルの取得講習とかで数ヶ月費やさなくてもボーナスでゲットできちゃうみたいだし。本当にラッキーだわ♪」


 [レベルアップボーナス増加]の効果のおかげで通常の5倍はもらえるのが原因。スキル取得に普通は5レベル上げる必要があるのに僕は1レベルだけで済んじゃう。レアスキルなら10レベルだけど。普通の人なら50レベル上げないと取得できないのだからこのハンディは明らかにチートとしか言いようがない。


 それだけ豊富なボーナスポイントでも好き勝手に分配されてはたまったものではない。というか既にAPPのために100ポイント以上無駄に浪費されてるし。本当にどうしてこんなことに……


「いやほらだってさ、可愛い子と一緒の方がいいじゃない? っていうかユウだって可愛い自分の方が良くない? っていうか良いでしょ?」


 と仰られますが、既に高いAPPが害悪にしかなっていない現状ではどういっていいものか。特に性別まで以前とは別物になってますんでここまで自分の環境が変わり過ぎると、果たして得してるんだか損してるんだが。短期的に考えれば明らかに損だと思……うほどアレでもないのが謎です。というか得してる部分も間違いなくありそうではあるんですが。


 そう、周囲の反応が明らかに変わりすぎなんです。なんか妙にホンワカした目で見られることも多くなったというか以前と違って突き刺さる視線の意味が別物に塗り替わっているのは実感しています。

 以前のは明らかにゴミとかクズとかを見る目でした。孤児で最底辺の環境で生きていたおかげで周りに期待することもありませんでしたし、最初からそうだったので『そういうもんだ、僕の人生なんて』と諦めの境地にいたおかげでハンパな期待をすることなく生きてこれた、ただそれだけのものでした。

 しかしステータス操作を受けた後は明らかに違います。なんだか周囲から感じる視線に害意がほとんどないのです。まぁ気持ち悪い的な意味では十二分に悪意と感じられるものも多かったのですが、それでも以前のような『虫けらでも見るような』扱いとは段違い。少なくとも人として見られている自信はあります。


 まぁつまり、明らかに人扱いされているのです。前だったら新聞配達上がりで何かお菓子をもらうなんてありえませんでした。だって捨てるのと同じことでしたから。


「……なんかまた面倒なこと思い出してるわね。いい? 今は私の役に立つことを考えて頂戴。せっかく手に入れたスキルなんだからしっかり活かして活躍してもらうわよ!」


 もうなんだか非常に良い笑顔をされるお姉様です。こんな無防備な笑顔を向けられたら誰でも頑張りたくなっちゃうじゃないですか。



----------



 てなわけで作戦会議の始まりです。


 現在の残りボーナスは45。あと1レベル上がればレアスキルが獲得できる、と思いはしますが、こればかりに頼る訳にもいかないというものです。


「そもそもダンジョンでの活躍を期待しているのに、活躍そのものができないスキル構成とかお荷物以外のなにものでもないの。まぁ[鑑定]を取得しているのはいいけど、それ以外の『普通に使える普通のスキル』も取得してもらうわ。こればっかりは譲れないから覚えておいてちょうだい」


 とのことです。レベルが上がれば他人とは遥かに異なる選択肢が選べる現在、まずは地力を固めつつもお姉様のフォローが取れる状態が理想でしょう。


 直接戦闘はどちらかというとお姉様の専売特許なのでフォローが僕の任務。そのためにどういうスキルが必要なのかを吟味し始めました。


「この状態だと最大で9種類のスキルを取得できる。でも全部レベル1までしか取れない。これっていわゆる『器用貧乏』って奴ですよね? 何でもできる気がして実は何もできなくなる気がします」

「……そ、それもそうね。そそそこんところはししし指摘してあげるつもりだったのよよ?」

「あ、うんとりあえずダンジョンで困ることを教えてください。何があると楽ですか?」


 お姉様の焦り顔もちょっと可愛いなと思った。やっぱりどんな表情でもチャーミングな感じがしてステキですよ。APP補正ってすげ~


「……やっぱりまずは物資の運搬かな」

「物資っていうと、食料とか成果の回収とかですか?」

「そうそう、普通はポーターっていって荷物を運ぶ専門の人もいるくらい。現地調達を出来る限り心がけてもどうしても必要なものって出てくるものだし」

「そ~ゆ~のって、お約束で『アイテムボックス』みたいなものとかでやるんじゃないですか?」

「え? 取れるの? あれって適性の問題でほとんどの人が取れないのよ?」


 相性みたいなものがあるんだろうか? というか取得可能スキルにあるので冒険者なら誰でも持ってるかと思ってたよ。


「取りなさい! いいわね! レベルは3よ!」

「あ、これレベルがあるんですね。っていうかなんで3まで上げるんですか?」

「レベルに応じて使用できる空間のサイズが拡張されるの。レベル2だと人サイズくらいまで。これでも十分と言えば十分なんだけど、レベル3だと納屋位のサイズまで拡張された上に『時間遅延』が発動するの。物が腐りにくいっていうのはどうしても外せないメリット。だからレベル3で取りなさい。15ポイントつぎ込む意味があるわ!」


 アイテムボックスってくらいだから普通に腐らないものだと思っていたけどレベル依存なのか。ユウ覚えた。


「あとは……そうね。[錬金術]、もしくは[魔力注入]あたりはない? 理想は[調合]とか[術具作成]なんだけど、これも適性問題があるから難しいかも……」


 いや、普通に全部ありますね。


「まじ!? じゃぁ[術具作成]のレベル3と[調合]は、レベル1か2でいいわ」


 [術具作成]は主に魔術を使用する際の消耗品を作り出すスキルだそうだ。[呪紙魔術]は『呪印紙』を媒介とするので使えば使うほど『呪印紙』を消費する。普通の紙でもそこそこの値段だというのに『呪印紙』は更に高いのだとか。


「道具屋の親父が作ってるところを前に見たことがあるんだけど、持ってる[術具作成]がレベル3だったのよ。多分だけど商売として安定した品質の物が作れるようになるのがレベル3なんだと思うわ。 同じような理由で[調合]も欲しいの。これは単に消耗品、特に回復ポーションとかを作ってもらっておければ便利ってんだけど、今の所特に不便はないから急がないわ。今回の課題の範囲からすればそこまで重要じゃないけど、将来もっと難易度の高いエリアでの活動を考えたら、今のうちに育てておくべきだと思うのよね」


 スキルはボーナスポイントを振らなくても育てることはできる。少々遠回りではあるが普通に修行をすればいつかはレベルが上がる。僕の場合[獲得経験値増加]によって人より得られる経験が多い。つまり人より早くスキルの経験も上がるって寸法だ。特にこういったスキルアップによるレベルアップも見込めるので危険を最小限にしつつも効率的に自分を強化できる、というのがお姉様の意見。確かに理には適っているけど。


「ポーション用の素材でしょ? それこそ購買で大量に買い込めばいいだけの話よ。大した額じゃないし、呪印紙の代金が浮くならむしろお釣りが出るくらいよ!」


 とのこと。だったら[術具作成]もレベル1から始めればいいのにと思ったが、レベル1で作った品は品質面から願い下げだそうだ。そんな低レベル産のアイテムは買い手も付かないらしい。やっぱり自分の命に直結しかねないものだけに信頼の低いアイテムは使われないそうだ。


「後は最低限の身を守る術を身に付ければいいかしらね。何か武術の経験とか無い?」

「すいませんありません……」

「そう、なら仕方ない。簡単というか素人でもある程度は使えるものにしましょう」



 そうそう、ステータスを見て確認したんだけど、括弧が取れて数値が安定してました。こっちの世界だとすぐに反映するっぽいです。というかMPが既に満タンになってました。もしかすると地球とこちらとではMPの回復量が段違いなのかもしれない。っていうかこんな回復しまくるならMP使い放題じゃん! 地球でもこれくらい回復するなら凄いことになりそうなんだけどなぁ。



~~~


ユウ・ユキヅキ 性別:女  レベル:5  年齢:12

HP: 67/82 MP:310/310


STR: 6 CON: 6 DEX: 9

INT:12 POW:10 APP:17 LUK:16

称号 :[捨てられたモノ][学生][学生アルバイト][自動修復サンドバッグ][おやつ係(笑)][自己犠牲(笑)][次元踏破者][異邦人][被従魔契約(主人:フィリーオ・フォン・エストン)]


スキル:[異界語(日本語)][苦痛耐性 Lv1][精神耐性 Lv1][環境適応 Lv1][サバイバル Lv2][裁縫 Lv1][清掃 Lv1][洗濯 Lv1][算術 Lv1][効率向上 Lv1][共通語][魔術の才覚][鑑定][獲得経験増加][レベルアップボーナス増加][支援魔術 Lv1][危機察知 Lv1][緊急回避 Lv1][生活魔術 Lv1][MP回復強化][アイテムボックス Lv3][術具作成 Lv3][調合 Lv1][棒術 Lv1]



ボーナスポイント :5

▼取得可能スキル一覧


~~~



 新たに獲得したスキルは次の通りだ。


・[アイテムボックス Lv3] 術者の任意で物品の出し入れが可能な亜空間を取得する。大きさはレベル依存。

  Lv1:1mX1mX1m程度の亜空間所持。

  Lv2:3mX3mX3m程度の亜空間所持。貯蔵品のリスト表示が可能となりリストからの呼び出しも可能。

  Lv3:5mX5mX5m程度の亜空間所持。収蔵物品に対する時間遅延効果(1/100程度)


・[術具作成 Lv3] 魔術行使に際しての補助具および消耗品を作成することができる。レベルにより作成可能な物品、及びクオリティが変化する。

  Lv1:下位消耗品・下位結界石

  Lv2:魔法陣補助具・低位封印補助具

  Lv3:中位消耗品


・[調合 Lv1] あらゆる調合品作成に役立つスキル。レベルに応じて調合の補助や手順の省略、効率化を行うことができる。調合可能な物品はレベル依存。

  Lv1:低級HP回復薬・低級MP回復薬・解毒薬(弱)・麻痺解除薬(弱)・特定精神誘導薬(弱)


・[棒術 Lv1] 主に棒を用いた格闘術。レベルに応じて動作の最適化等の補助を行う。



 思ったよりまともな構成? になった気がする、あくまでなった『気がする』って程度だけど。


 一通りの設定を終えてお姉様がご満悦なご様子。念願のパーティーメンバーを手に入れたのだし、これからは破竹の勢いで突き進もうとか考えてそうで怖い。だって僕、『戦う』コマンドなんて選んだことないんだよ? いつでもまずは『逃げる』一択なんだし。


「まぁそのへんはなんとかなるわよ。慣れ? そんな感じで。 とにかく今日は寝ましょう? 流石に疲れたわ……」


 というわけでお姉様に引きずられるように寝室に向かうことになった。



----------



 あの服のまま寝れる訳が無い。というかまた着せ替え人形扱いされてしまったんだけど、やっぱり眠気には勝てないよ。てな具合でなんとか10分くらいで簡素な寝間着を出してもらえました。

 流石にYシャツっぽいのは遠慮させてもらったよ。なんだかトラウマになりそうで怖い。



「……それじゃぁおやすみ、ユウ……ちゃんと寝るのよ……」


 いやいやいやいやいやいやいや! ちょっとどうしてこうなってるんですかっ!


「う~~ん、やっぱりユウはいい匂いよね~…… もうなんか気持ち良過ぎ。すっごいぐっすり寝れそう……」


 ねねねねねねねねれまssssっせん!ってば!


 うん、もう察してるかもしんないけど絶賛お姉様の抱き枕です。

 女の人ってあれだね。ほんとに柔らかいね! 僕も元々筋肉質じゃなかったけど、そういうのとは違った、なんだろう? マシュマロとか目じゃない感じ? が僕の背中に直撃中ですっってもう既に動けないくらいがんじがらめですっ


「……ユウ。もしかしなくても、緊張してる?」


「はははいっ? っていうか僕別に床とかでもいいのでべべべつに寝かせてくだしあぁ」


 本当に慣れないっていうかさ! 子供のころは確かに雑魚寝っていうか男女の区別なく寝てたよ? 冬っていったら皆で丸まってないと寒くて寝れないくらいだったし? でもほら、いつの間にか自然と女子からグループが分かれて行ったっていうかさ、僕なんだかんだいって布団取られちゃう方だったし? つまりそのアレなんですけど、こんな風に誰かと一緒の布団っていう経験がほとんど皆無なんですよっ! 物心つく頃に限定すればまずないです! 一緒に寝てるのは床か地面くらいだったのですよ!

 ……ちょっと思い出すと冷静になってきた。うん。ちょっと震えてなんかない。


 そんな事を考えてたら、急に頭をなでるように抱きしめられた。


「……心配しなくても大丈夫。ユウは私と一緒なんだから、色々考えちゃうだろうけど、今日はもう寝なさい。少なくとも貴方を殴るようなバカはここにはいないわ……」


 そう言われてつい振り向いてしまった。


 目の前にあるお姉様の顔は先ほどとは違った微笑みで満たされて、なんだか本当にお姉ちゃんがいたらこうなのかなって少し思っちゃった。ほんの少しだけど。


「……なによ。なにも泣く事ないじゃない」


 不覚にも涙のようなものが毀れていたらしい。ちくしょう、不意打ちにも程がある。


 慌てて反対を向くもますます強く出し決められることになりはするんだけど、より強く伝わる暖かさがとても染みた。早鐘のごとき心臓の鼓動もいつの間にか落ちついて、お姉様の鼓動によりそうように静まっていくのを感じて。



 そんなことを感じながら僕は自然と眠りについた。


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