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孤児で奴隷で女の子  作者: おがわん
第一章 僕の学園生活?
12/45

12.とうとう使い魔デビューです。扱いは奴隷らしいです……

 翌朝、僕はなんだか久々に静かな朝を迎えた。時間はわからないけど、多分この薄暗さからすると夜明け前だと思う。いつもの習慣だから地球相当で4時くらいかな。


 ぼんやりと目を開けると目の前にお姉様が。正確にはお乳様がいらっしゃった。どうやら僕はお姉様に抱き着いて寝ていたらしい。おかしい、別に寝てる時に抱き着き癖なんてないはずなのに、どういうことだろう。


「……ユウ、おはよ~ってまだこんなに暗いじゃない……」


 むぎゅっ!と抱き寄せられる。僕から抱き付いていたせいもあって回避不可能、というかいいのかこれっ!

 寝ている癖に妙に力が強い。いや僕が弱いのかもしれないけど。そういえば試したことがないし、いい機会だから確認してみよう。お姉様のステータス!



----------



 って思うじゃん? なんだか効果が無いんですよ。 あれれ~? おっかしぃなぁ~? [鑑定]を通さないってどういうことなんだ?


「ふっふ~ん、お姉様の秘密を簡単に覗こうとしちゃダメじゃな~い。そんなに私の事が気になるのかしらユウちゃ~ん?」


 目の前の疑問に集中していたせいもあるが、どうやらお姉様は完全に目が覚めている様子です。まぁ僕がゴソゴソしていたせいもあるんだろうけどね。いやすいませんほんとに苦しいのでそろそろ解放してく……ださ……



「あ、ごめ~ん。つい可愛くて♪」


 可愛くて殺されるこんな世の中なんて(毒攻撃Lv1)

 そんなセリフとか出そうです。いや通じないしたぶん出しませんが。


「まぁ起きちゃったものは仕方ないわね。そろそろ朝食にしましょうか? ユウの食べれないものはあるかしら?」


 貧乏に偏食無し。食べ物の好き嫌いなど言える立場ではありませんでしたし、毒物と危険物以外は平気だと思います。あぁでも一度だけ食べたんですが雲丹はダメでした。生臭くて。どうしてあれが美味しいのかサッパリわかりません。骨の髄まで貧乏性なんでしょうか? 謎です。 まぁこちらの世界の食べ物にどういうものがあるかわからないのもありますけど。


「それじゃぁ一緒に作りましょうか。どんな食材があるかとか見せながら一緒にね。なんだかこういうの楽しいわね~」


 という訳で殆ど寝間着のままで朝食の準備にかかります。

 お姉様は寝間着(透けないネグリジェ?みたいなの)に薄いカーディガンを羽織っているだけの出で立ちですが、グンバツのプロポーションが非常にグーです。流石は[体形維持 Lv3]! 本気で羨ましくなります。 ……あれ? なんで羨ましいんでしょうか?


「えっと、この辺のものをテキトウにって感じねいつもは。ユウはどれがなんだかわかるかしら?」


 と使っても良いという食材に一通り目を通します。どうやらサラダに使いそうな野菜、あと多分パンみたいなちょっと黒めのもの。多分黒パンという奴でしょうか。黄色とかピンクの丸いものは果物のような気がします。ついでに茶色い丸いものは、なんかそのまんま玉ねぎっぽいイメージです。楕円形の白っぽい物体は卵で間違いなさそうでした。後はハムとかがあれば『ハムエッグにオニオンスライスサラダと何かスープ』ってラインが出そうです。


「お、言葉として認識できるってことはこっちのものとあまり変わらないものがあるみたいね。もしかするとあまり差異の無い世界からの移動なのかもしれないわね」


 多重世界論は色々考え研究されているそうだが、世界全体を俯瞰でみることでも出来ない限りは把握することもできないだろう。一般人の僕としては『隣り合うように異世界があるのかも』くらいの受け止めで十分だと思う。どうやら僕はお姉様の力で行き来が可能っぽいし。


「まぁとにかく朝食にしちゃいましょ。今日はちょっと忙しいわよ?」


 何やら不敵に笑うお姉様の笑顔がちょっと怖かったのはここだけのナイショってことでお願いします。

 あ、ちなみに味は普通でした。まぁ僕としては食べられるだけでもありがたいのはあるんだけど、頻りに「私って料理下手なのよね。うまくいかなかったらごめんなさいね」と謝られてしまったのが思い出される。そんなことないんだけどなぁとか言えずにどうしたらいいものかと。ほら、野菜って基本的に塩をかければ美味しく頂けるじゃないですか? っていうのはあまりよろしくないのかもしれない。裏山で野草とか探すんじゃなくてもっと料理の勉強しとけばよかったかなぁ。



----------



「私はもう6年生。今年で卒業なのよね。座学で取るべき単位は既に取得済みだから、あとは実戦単位だけなのよ。まぁこのへんは既に説明してるけど、つまり私はもうあのちょっと頭の固い教授達の退屈な授業を聞く必要はないのよね」


 僕につきっきりのかかりっきりなのに平気な様子だったのはそういうことらしい。

 実戦単位というのは主にダンジョン教習等の指定された課題をクリアすることらしい。一応冒険者ギルドで依頼を受けることでもクリア可能らしいけど、ある程度限定される上に学生だと色々とトラブルも多いとのことだ。


「まぁしょうがないわよね。うちの生徒って貴族とか王族がメインだから下手に外部と接触するとそのまま誘拐→身代金請求って流れがよくあったみたいなのよ。だから学外に出なくとも色々な訓練ができるこの学校の固有施設であるところの『学園ダンジョン』が役に立つって訳」


 学校の地下、そして広大な敷地の上空に1つ。それぞれダンジョンを抱えているらしい。

 地下のダンジョンは初心者向けの低難易度。といっても地下50階層まであり、最下層の守護者たるモンスターは中級冒険者でも手こずる難敵とのこと。今回の課題目標はこちらのダンジョンらしい。


 天空に浮かぶ「天空ダンジョン」は間違いなく高レベルダンジョンだそうで、最低でも地下ダンジョンの守護者撃破が挑戦権を得るための条件なんだそうです。


「過去にソロで天空ダンジョンに挑んでクリアした人もいるらしいけど、英雄とか勇者とか祭り上げられて大変だったらしいわよ。まぁ最終目標は天空ダンジョンのクリアだけど、今の私達じゃ絶対に無理」


 僕が加入しただけでそんなに無茶ができるわけがない。何しろ僕の経験している実戦なんて、殴られるか蹴られるか逃げそこなうくらいしかないんだがら。たまには逃げたけど。


「一人だとしんどいってのは警戒とか補充とかそういうのに裂く余力が無いってだけなのよね。実際問題として実力だけなら既にボス到達していてもおかしくないのよ、私わね」


 非常に自信ありげな、というか自慢がだだもれのドヤ顔である。いやぁ美人ってどんな顔しても似合うから困る。


「まぁ今回のは無理しても一人でクリアとか簡単なんだけどね、次以降を考えたらあんまりやりたくないのも事実。せっかくユウの再召喚の手順が確立したんだし、これから二人でガンガン行くわよ!」


 そんなことを一気にまくしたて、少し落ち着いたのか紅茶に口をつけている。

 本当に自信があるんだと思う。説明している最中に全く動揺した様子もなかった。本当に自信のある人っていうのはこんなにも目線に力があるもんなんだなぁ。


「ってなわけでユウのレベルアップも兼ねてかるーく片付けたい…… んだけど、まずはユウを私の『従魔』として登録しないといけないのよね。一応昨日までに必要最低限の手続きは済ませてあるから問題ないと思うけど」


 本来外部からの接触を極力排除するというこの学園の風潮からすれば、『外部の人間を雇い入れての課題クリア』なんてのは認められたことじゃないんだと思う。でも僕は『従魔』として召喚された身。つまりフィリー姉様の実力の一部としてカウントするべき、という主張で強引に許可を取り付けたらしい。


 本来の従魔ってのはネコとかネズミとかそういう感じの小動物がメイン。つまり斥候とかいう役割が中心らしいです。つまり戦闘力はあまり期待されていない。罠とか待ち伏せ警戒に役立つ程度と思われているのだ。だからこそ許可が下りているらしいけど。


「ま、そのへんは私に任せなさい! 学院に向かいながら簡単に説明するからあまり勝手なことはしないでね?」


 言われたままにするしかないし、今の所は逆らう気もしない。素直に従うことにしましょう。



----------



「……えっと、こちらがフィリーオ君の『従魔』ということなのかな?」

「えぇ、このユウが私の『従魔』ですよ。何か書類に不備がありましたか?」

「いや、書類に不備は無いのは確認済みです。というか、この子って人間ですよね? どうやって『召喚』したんですか? 人間程度の知能があると召喚できる可能性は限りなく低いと思うのですが……?」

「そう仰られても、私とユウの魂が引きあった結果、としかお答えようがありません」

「……いやその、この年齢でギルド所属とも考えがたいんですが、一応[ステータス]の確認を行いますがいいですね?」

「限定承認なら。別に問題ありませんよね?」

「……称号や所属、あと過去の罪状を調べるだけなので問題はありませんが、全てを明らかにすると何か不都合でも?」

「これからダンジョンでペアを組む子の情報です。どこから漏れるかわかったものじゃありませんし、スキル構成等が盗み見られることを避けるためです」

「……競技会も視野に入れての行動ですか……まぁそれなら仕方ありませんね。ではっ」


 いや、口を挟む暇も無く。元々何かしないといけない状況ではないと思ってはいたけどね? ほら多少はさ、当事者?なんだしさ。


 なんてことを思っていたところ、受付担当のおに~さんが僕のことをじ~っと見つめるのです。ちなみに昨日寝る前に着せられら洋服、ではありませんでした。流石に『これからダンジョンにピクニックですの~』的服装を強要されなかったのだけは評価したい。

 それでも、それでもですよ!? ミニスカートってのはちょっとハードル上げ過ぎじゃないですかっ!? 麻のような生地の白いシャツと青いミニスカート。フリル成分は随分となりを潜めてはいるけど、頭にリボンは外してもらえませんでした。寝てる時はいいって言ってくれたのにっ。



「……ふむ、確かに『従魔契約』が成されていますね。これは正式な調査に基づく結果ですので以後どのような申し立てに対しても正式な結果として提示致します」

「それでは?」

「えぇ、実戦単位の取得条件範囲内と認め、えっと……ユウ君?とのペアによるダンジョン挑戦を認可します」

「……ありがとうございます」

「本当に君は色々奇策を打ってきますが、今回のコレはとびっきりですね。狙ってやるにしてもなかなか上手く行く方法じゃぁ無いでしょう。一応、ダンジョン内での学生同士の決闘や妨害等は禁止されていますが、何があるかはわかりません。貴方の裁量次第ですが慎重に行動するように」

「もちろんですわ」


 何やら緊張した空気が和らぐのを感じる。山場は超えたみたいだ。


「それとユウ君」

「は、はい!?」

「やっぱり話もできるか。キミみたいな子がダンジョンに挑戦するっていうのは本来勧められたことじゃないんですが、フィリーオ君が自信を持って推すということは何かあるのでしょう。あまり褒められたことじゃないが、君にも期待している。主人……フィリーオ君をよく支えて怪我の無いようにね」

「あ、はい。ありがとうございます」


 あわててお辞儀をペコリ。どういう態度を取っていいものかわからないけど、少なくとも僕もフィー姉様もバカにされている様子はないし、このくらいしておいても問題ないだろう。


「……やはりそれなりに教養もあるみたいだ。こんな子が従魔扱いになるとは、いやいや不思議なことだ。学院内では一応『奴隷』として登録申請しておく。人族の従魔などまずありえないからね。キミと一緒に行動するならその方が都合が良いでしょう」

「そうですわね。ユウに手を出されても困りますし。それでいいかしらユウ?」


 ど、奴隷扱い!? あれですか!? 地下牢とかに鎖でつながれたり、「エロい事するんでしょ! エロ同人みたいに!」って言うあれですか!? いや、もう既に色々と思考がオーバーフローです。僕を女の子にした理由ってそれなんじゃぁ……


「あ~変な想像してる~! 大丈夫大丈夫。一緒にお風呂に入って一緒に寝る程度よ♪」


 一緒に…… お風呂…… だとっ!?


「あ、顔っていうか首筋まで真っ赤に…… ってユウ? 大丈夫? ホント大丈夫なの!?」


 いや、僕だって女の子ですから? きっと平気なのですよ? ほら、きっとお姉様の珠のお肌を磨くお手伝いとかしちゃうんでしょうかそういう感じ? きっとお姉様は綺麗なんでしょうね。寝間着ごしにも隠しきれない放漫なボディ。昨日の夜の一緒に寝ていた時に感じたあの柔らかさと温かさ。僕もお姉様と同い年くらいになればああなれるんでしょうか? いや、期待しちゃいけない気がします。いくらAPPが高くとも自分の希望通りにいける(?)とは限りません。あぁでもいいですねぇああいうワガママボディ。ちょっと真面目に[体形維持]を狙いましょうか?


「あれ? ちょっとユウ? どうしたのちゃんと返事なさい! ユウ? 聞いているの?」


「あ、はい、背中の次はどこをお洗いしましょうかお姉様」

「ちょっとユウ? 何してるの? ちょっと待ちなさいユウ!」



 ……本日の反省。想像力の翼を広げすぎるのはやめよう。


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