ハンバーガーザアタックザジジィ
アメリカに滞在して一週間が経った。
勉とめぐみは、いつしかジャクソン家といつしか交流を深めていた。
二人は、ジェームズとステファニーと休みの日は、公園で散歩に出かけたり、博物館や美術館やデパートに行ったりして楽しんでいた。
夜は、ジャクソン家の家で勉が手料理を振舞っていた。
エマも勉の作った手料理を美味しそうに食べていた。
いつも座っていたエマも家の中を歩いて、掃除や家事の手伝いをするようになった。
勉が来てからジャクソン家は、雰囲気が明るくなった。
今日は、勉とめぐみとジェームズとステファニーで近くのハンバーガ屋でランチに行くのだった。
「おじいちゃん、準備は出来た?早くして」
めぐみが玄関に立って、待ち遠しそうに聞いた。
「分かった!待ってくれ!」
勉が慌てて身支度を整えて、めぐみに駆け寄った。
家の前では、ステファニーとジェームズが笑顔で手を振って待っていた。
四人は、家の近くのハンバーガ屋へと向かった。
「学校は楽しい?」
めぐみが英語でステファニーに聞いた。
ステファニーは、楽しいと答えた。
「そうなの。彼氏はいる?」
めぐみが少しにやりと笑って英語で聞いた。
ステファニーは、少し照れた様子で小さく頷いた。
「へぇ!凄いわね!」
めぐみが目を見開いて驚いて英語で声を上げた。
「学校は、楽しいか?」
勉がジェームズに聞いた。
もちろん、日本語だから通じない。
「おじいちゃん、英語でないと通じないよ」
めぐみがくすりと笑って言った。
「そうか。それはすまなかったわい…。でも、日本語でも通じるだろ」
勉が苦笑いして言った。
「ジェームズ君は、学校は楽しい?」
めぐみが英語で聞いた。
ジェームズ君は、楽しいと答えた。
「それは、良かった。私は、あんまり学校楽しくなかった。友達もあんまりいなかったから」
めぐみが苦笑いして言った。
ステファニーとジェームズもそれを聞くと、苦笑いして頷いた。
「今度、彼氏に合わせてね」
めぐみがステファニーに言った。
ステファニーは、笑顔で頷いた。
すると、公園のバスケットコートエリアを通りかかった。
バスケットコートエリアで小学生くらいの黒人の少年二人がバスケットボールをしていた。
その様子を身長ニーメトル近くある父親らしき黒人男性が見守っていた。
ジェームズは、黒人の少年二人に手を振って駆け寄った。
少年二人は、兄弟の様だった。
どうやらジェームズ君の友達だった。
黒人の少年達もジェームズ君に手を振り返した。
「誰?」
めぐみがステファニーに英語で聞いた。
ステファニーがジェームズの学校の友達と笑顔で答えた。
「なるほど」
めぐみは、頷いて言った。
ステファニーは、バスケットコートエリアにいるジェームズ達に駆け寄った。
めぐみと勉もジェームズ達に駆け寄った。
ジェームズは、黒人の少年達にめぐみと勉を紹介した。
黒人の少年達の父もめぐみと勉を見ると、笑顔で会釈した。
「どうも!こんにちは!よろしくお願いします!石原勉です!野菜食べて下さいね!肉ばっかり食べたら健康に悪いですからね!」
勉がぎこちないように慌てた様子で早口で自己紹介した。
「おじいちゃん、日本語。日本語」
めぐみがくすりと笑って勉の肩に手を置いて言った。
勉は、苦笑いして頷いた。
すると、ジャームズは、ステファニーと友達と一緒にバスケをしようと誘ってきた。
「分かった。するわ」
めぐみが笑顔で頷いた。
「わしもする!」
勉は、張り切った様子で手を上げて言った。
「おじいちゃん、歳だから無理したら駄目だよ」
めぐみが心配そうに言った。
「大丈夫だい!それくらい出来るわい!わしもまだまだ現役だ!」
勉が自信満々の様子で声を上げて言った。
ジェームズとステファニーは、その様子を見てくすりと笑っていた。
「うわ!何だ!うわ!」
勉は、必死でバスケットボールを追いかけていた。
ジェームズと友達達の後を必死で追いかけていた。
ジェームズも手加減なく本気で挑んでいた。
めぐみもステファニーも勉の事を心配そうに見守っていた。
勉は、ボールを取ると、勢いよくジャンプしてシュートした。
その時に尻餅を付いてしまった。
「痛!」
勉が悲鳴を上げた。
「大丈夫!」
めぐみが慌てて駆け寄った。
ステファニーも慌てて駆け寄った。
ジェームズの友達の父が勉の手を掴んで起き上がらせた。
「ありがとう」
勉が微笑んで頷いた。
ジェームズの友達の父は、勉とハイタッチした。
勉は、ジェームズの友達とジェームズとステファニーとハイタッチした。
そして、最後は、めぐみとハイタッチした。
「やるじゃん。おじいちゃん」
めぐみが嬉しそうに言った。
「当たり前だ!日本男児を舐めるな!」
勉が勝ち誇ったように嬉しそうに声を張り上げて言った。
ジェームズの友達の名前は、アンダーソンだった。
アンダーソン家とジェームズとステファニーとめぐみと勉は、一緒にハンバーガ屋に行く事になった。
店内に入ると、ラードの匂いが充満していた。
「うわ!油の匂いだ!油もんばっかり食べたら体に毒だろ…」
勉が顔を歪めて険悪そうに言った。
勉は、店内でハンバーガを食べる客を見て、顔をしかめていかにも今すぐ叱りつけたい雰囲気を醸し出していた。
めぐみは、またかと言った顔をして呆れるようにため息を吐いた。
アンダーソン家の父がハンバーガを注文した。
どうやら奢ってくれるようだった。
チーズバーガーのセットを注文してくれた。
チーズバーガーは、分厚いハンバーグステーキと分厚い黄色のチーズとレタスとピクルスとトマトが豪快に挟まれていた。
テーブル席に座ってアンダーソン家とチーズバーガーのセットを食べる事になった。
しかし、勉は、チーズバーガーを険悪そうな眼差しを向けていた。
めぐみがやっぱりと言った顔をして肩を落としてため息を吐いた。
「あのさ、おじいちゃん。嫌なら食べなければ…」
めぐみが呆れるように言った。
「あかん!こんな物!食べたら!肉は、捨てる!チーズも捨てる!」
そう言うと、勉は、チーズハンバーガのパンを避けて、ハンバーグとチーズをゴミ箱に捨てた。
そして、アンダーソン家とステファニーとジェームズのチーズバーガーのチーズとハンバーグをゴミ箱に捨てた。
そして、勉は、レジに駆け寄った。
「サラダ!サラダ!ベジタブル!ベジタブル!ベジタブル!」
勉が声を荒げて激しく片言の英語で連呼した。
レジの店員は、困惑した様子で勉を見ていたが、苦笑いして厨房に
いる店員に話しかけた。
そして、プラスチック容器に入った大量のサラダを勉に渡した。
「センキュー!」
勉が笑顔でお礼を言って、皆のハンバーグとチーズを抜いたハンバーガの上に野菜をまぶした。
皆、顔をしかめて困惑したが渋々そうにサラダがまぶしたハンバーガを食べた。
すると、アンダーソン家は、満面の笑みを浮かべて食べていた。
ステファニーもジェームズも満面の笑みを浮かべて食べていた。
めぐみだけは、顔をしかめて嫌々ながら野サラダがまぶしされたハンバーガを食べていた。
「みんな野菜最高だろ!ガハハ!野菜最高!ガハハハ!ベジタブルキングバーガー!わし特製だ!」
そう言うと、勉は、勝ち誇ったように高笑いして皆のドリンクを手に持って、手洗い場に持って行き、中身を捨てた。
皆、それを見ると、激しく肩を落として、深く落ち込んだ。
めぐみは、顔を歪めて、深いため息を吐いた。
「ソーダは、体に毒!砂糖だらけの飲み物は飲んではいけません!飲んで良いのは
お茶か水だけ!野菜ジュースは、良いよ!オレンジジュースとりんごジュースは、まあ、時と場合ね!ガハハハ!」
勉は、皆に向かってふざけるような口調で高笑いして言った。
めぐみは、気恥ずかしそうに呆れていた。
しかし、ステファニーとジェームズは、嬉しそうな様子で勉の言った事を聞いていた。
日本語で話す勉の意味を理解しているかのようだった。
夜、帰宅すると、めぐみは、疲弊した様子でソファに座った。
「もう、おじいちゃんといると、疲れるよ…」
めぐみが呆れるように呟いた。
「そうなのか?それは大変だったな」
父が苦笑いして言った。
「もう、ハンバーガで肉とチーズ抜いたりしてめちゃくちゃ」
「ハハハハ…、それは仕方ないな」
父が破顔して言った。
「まあ、でもおじいちゃんの言っている事も正しい事もあるけどね」
めぐみが嬉しそうに言った。
「そうだな。人の健康に気を配っているからな」
「そうね。死んだらそれっきりだからね」
めぐみが少し切なそうに言った。
「そうだな…」
「おばあちゃんもアメリカに行けたら良かったな…」
めぐみが悲しそうに言った。
「そうだな…。確かに…。おばあちゃんもアメリカに行っていたら嬉しかっただろうに…」
父も悲しそうに言った。
「おばあちゃんは、おじいちゃんとは正反対にハンバーガとかフライドチキンとかめちゃくちゃ食べてそう。コーラとか飲んでいそう」
めぐみがくすりと笑って言った。
「そうかもしれないね…」
父がめぐみと笑い合って頷いた。




