もし、第3の眷属と戦えば?
どうも!ワシは花火師じゃ!
骨と腐肉ボコしているのを眺めていたら危険そうだ!
「お、お前は誰なんだ?」
「教えましょう、僕は第3の眷属
自分で言うのもなんですが、頭がよく働く方なんです
好きな学科は統計学、ですかね」
「眷属か…話は聞いていたが厄介そうじゃな」
「えぇ、ですが予想外でしたね
ダンジョンの中で、爆弾を爆破させて戦争を発生させましたが
犠牲者が1人も出ていないとは…」
「は?まさか、お前が…」
「そうだ、僕が引き起こした
実際、戦争で疲弊しているだろう?
元気なライオンと、弱ったライオン、倒しやすいのはどちらだ?」
「許せねぇ、出て行った俺が言うセリフではないかもだけど
どうしてそこまでして俺たちのコロニーを壊そうとする!?」
「君たちはがん細胞だ
原初の神の目標を達成するのに、君たちは邪魔でしかない
それどころか、眷属を殺して足を引っ張る
がん細胞だって、健全な細胞を食い殺すように増えるだろう?
そして人間の健康的な生活を邪魔する」
イッチから聞いていたが、相当な狂気だ
自分を疑うこともない、善だと信じてやまない
「イッチ、こいつはもう殺してしまうしかないんだろ?
なら早く殺した方が良くないか?」
「分かった花火師、さっとやってしまおう」
イッチたちは、戦闘態勢に入る
ワシも、いつでも花火を撃ち出せるように体勢を整える
「99.9%、データと統計学を用いて導き出した僕の勝率は99.9%
想定できる行動、すべて頭に叩き込んでいます
最善の行動、あらゆるパターン、あなたたちの予想外も僕じゃ予想の内です」
眷属は、持っている手榴弾のピンに手をかける
「僕の爆弾による、肉体の損壊率は最大90%
まともに受けて生きて帰った者はいません」
ピンの抜かれた手榴弾が、こちらに向け飛んでくる
「避けろ!!」
わざわざ爆発物に近づくものなぞいない
イッチの声を皮切りに散開する
手榴弾が爆発する、そこまではよかった
「痛っ!?」
手榴弾は、爆発による攻撃ではなく
爆発で発生する破片で攻撃することを目的として作られている
「破片ですね、イッチさんのタスクが増えますが、回復をお願いします」
「まったく、面倒な眷属だ」
「ふはは!完璧な計算で作られた、お手製の花火だどうだい!?」
…貴様、舐めた事を言ったな?
「…花火は、そんな目的で作る物じゃない
見る人々の記憶に残るような、平和の為に作るもんだ!!」
ワシは、掌を眷属に向ける
ありったけの力を使い、いくつもの花火を作り出す
「情熱の君か、計算の僕か、次の瞬間に立つのは誰だろうね?」
眷属は、いくつもの手榴弾を取り出す
次に映る光景は、真っ白な光に包まれた、花火も手榴弾も、同時に爆破した
ワシの方がタイミングは早かった、手榴弾も含め眷属が爆発に巻き込まれたはずだ
「どうだ!?これが花火職人の思いの力だ!!」
黒い煙が辺りを包む
眷属の姿は見えない、生きているか、死んだか
「計算に狂いはなかった」
「眷属…どうやって生き残った?」
眷属は、すべて思い通りに行っているかの様に笑う
「いつ、誰が僕は盾を持ってきていないと言った?」
眷属は、真っ黒になり、端が壊れている盾を取り出す
最悪だ、盾としての役割は、あんなものでも果たせるだろう
ワシの力も、もうそこまで残っていない、どうするべきか…
「いつ、お前が戦っている相手は1人だと思っていた?」
眷属の背中を蹴り飛ばしたのはカイザー
「…クソ、まずは体制の立て直しから」
「私のことも忘れないで頂きたいですね」
槍を突き眷属を突き刺そうとするのはセンス
眷属は、すべて躱したものの体制は不安定だ
「俺もだ!」
眷属の背中を切りつけたのはイッチ
鮮血が飛び散る、ダメージは大きいだろう
「なんてことだ、ここまで連携が完璧とは…」
眷属は、ふらつく、体力は大きく削れている
だが、まだ戦うつもりではある
「警戒は怠るな、何をするかはわからん」
「ふふ、ふははははは!!」
眷属は急に笑い声をあげる、狂気に満ちた笑い声だ
「一体、何をするつもりだ?」
「あぁ、ここまで計算を狂わされたのは初めてだ
僕は少々の誤差、想定外の事態も計算に入れるが、この域になると修正は不可」
眷属は、服からコードを取り出す
コードの先には、ボタンが付いている
「だが、僕がこのコロニーを消し去ることは出来る!!
さぁ、花火大会は終わりだ!ともに地獄に落ちようじゃないか!!」
「こいつ、自爆する気だ!」
まだ、力が戻る気はしない
まだここで爆破させれば、被害は少ないだろう
だが、方法がない、絶望を見守ることしか出来ないのか?
「ははは!ははははは!!!」
ふと、周りを見渡すとカイザーが駆け出す
「死ぬなら、遠くで勝手に死ね!!」
カイザーは、助走をつけ飛び蹴りを眷属に放つ
飛び蹴りで吹き飛ばされた眷属は、数m飛んでいく
「あ、あぁ、これも計算外、最悪だ!!」
空中で、大きな爆発が起こる
当然、誰も巻き込まれない、ただ奴隷が勝手に一人散っただけだ
「俺は皇帝、民を守らずして皇帝に非ず」
「カイザー、お前よくやるな」
「予想外でした、タイミングが早ければ巻き込まれた可能性も」
「はは、俺は頑丈なんだ、たがが爆発の一つで死ぬ訳がないだろ?」
ワシは、カイザーの肩を掴む
「カイザー、お前はよくやった、もし酒が再び飲めるなら飲もう」
「花火師さん、カイザー君は未成年ですが」
「はは、一回ぐらいで肝臓は壊れんよ」
「イッチ、俺を引き留めたければ酒も用意するんだな?」
「おいおい、やめてくれよ」
「冗談冗談、さすがに頭が冷えたわ」
笑い声が辺りに広がる、狂気など存在しない
温かい笑い声だ
「さーて、後片付けだ、頑張るぞ!」
ワシらは後片付けを始める
酷く疲れた一日だ、何度もコロニーの危機に陥ったが、仲間の力あって助かった
コロニーのみんなと、ゲームをして和気あいあいと楽しむ
ワシの夢の一つでもある、それが叶う、平和な時が来ることを祈る
第4章 完




