不得意な事
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周りが騒然とする中、崩れ落ちる明周を必死の形相の周が抱き止める。
周の腕の中で明周はじわじわと魔女の瘴気に蝕まれて意識を失っていく。瘴気がその生命にまで届いてしまうのも時間の問題だろう。
(何故?嫌だ.....。我が君......。)
その現実を受け止めきれずに、周の心が崩れる。
はなからこれが狙いだったかの様に魔女が愉悦に満ちた笑みを浮かべてゆっくりと周に近づく。
そして、今の周に魔女は見えていない。
静かな恐慌状態に近い周が全力で繰り出す技は一つ
ただ、明周だけの為に......。
(目をお開け下さい。どうか......。)
『言霊』 『浄化』
辺り一体が周の気に染まる。
一拍のち、所構わず、不必要なほどの浄化。
勝機を確信した筈の魔女も、たまらずどこかにその存在を隠した。
目前の脅威は去ったのだ。
しかし、
明周は目覚めない。
『言霊』 『治癒』
いつものことだが、これだけはおそろしく効率が悪い。
技を使う毎に、嫌悪感に似た感情が湧き自身の技を掻き消す、自分の内側の何者かが、治癒を使うことを否定している。そんな感じだ。
あり得ないほどの気と体力を消費して僅かに発動する治癒......。
費用対効果が恐ろしいほど割に合わない周の治癒、しかし、今この技以外の何が有効だというのだろう。
周は只々気を練り言霊『治癒』を使い続ける。
「おい。」
明周の顔色がわずかに良くなった気がする。
『言霊』 『治癒』
「おい!」
やはり....明周の顔色がわずかに良くなった気がする......。
『治癒』
「治癒」
「治癒!」
周の狂気に呑まれて、その場の誰もが身動き出来ずにいた。
そんな中勇の怒声が上がる。
「いい加減にしろ!
それがやるべき事か?自分で自分の首絞めてんじゃねえよ!」
(誰かが私の邪魔をする......。)
我が君を助けなければならないのに。
排除しなくては。
周は剣を抜く。
「あー。もう!ほんと、面倒臭せー。」
勇が周の剣を叩き落とす。
「何故......?何故邪魔をする?」
(早く、我が君を治癒しなくては......。)
光の消えた周の瞳には何も映ってはいない。
「寝ぼけてんじゃねえよ!
お前まで使いもんにならないとか洒落にならんだろうが!」
勇が力任せに周の胸ぐらを掴み、自身の目線の位置まで持ち上げる。
「まわりをよく見ろ。周!
たのむから、ちょっと冷静になれよ。
お前、変だよ。」
周の胸ぐらを掴む勇の手が震えている。
「勇......。」
周の意識に世界が戻ってきた。
「効いてもいねー言霊使ってんじゃねえって。」
「でも......。我が君が。」
「最初の浄化で十分だ。とにかく休め
真っ当に動けるお前がいないと、こっちが詰むんだよ。」




