周の認識、周囲の認識。
とても短いですが、周、見つかるの後日談です。
王都管理室。
一通りの話を終えて、皆で薬湯を啜る。
少し臭いのきつめの焦げ茶色の液体......。
爽と勇の感情の振り幅の大きさを心配した周が、急ぎ用意した、精神安定作用の強いものだ。
なお、効果全振りのそれは風味と味は保証していないらしい。
感情を揺さぶる原因に感情を安定させる薬湯を勧められる。この混沌劇を笑えるほど余裕がある者は、今日の王都管理室には居ない。
「ほう、その門の誘導係から洗い直しだな.....。」
珍しく勇が暗い声で呟く。
「え、凡さん?」
私の王都の最初のお友達だよ、勇もお話してみたくなった?
「試験官の教育が少々ずさんなのでは?」
愁を少し非難するように、爽が口を開く。
「室長は採用試験統括ではありますが、剣士の教育は剣士が行うべきです。この場合、兄さまか凱様の方が適任では?」
ちなみに、何か問題でもあったのですか?
周が爽の顔を覗き込む。
(駄目だ。誰が間に入っても周くんとの会話には盛大なノイズが発生する。)
愁は自分の物差しで周を図ることを放棄した。
(まあ、そろそろ潮時だ、周くんは本来の道に戻るタイミングだろう。)
かつて、アルカナの寵児と謳われた爽の後輩として。
現在、50年に一度の逸材と騒がれる勇の相棒として。
剣士の道のど真ん中を悠然と歩く周。
想像して少し寂しさを覚える自分に愁は驚く。
そうか、案外気に入っていたのだな。この新人に振り回される日常に......。
(今更だ。)
「色々言いたい事はあるが。まあ、後にするとしようか。周、皆さまに挨拶をして来なさい。剣士棟に部屋を設けさせよう。」
この話はもう終わりとばかりに、爽が周に別れの挨拶を促した。
「何故ですか?」
王都管理室に通うには、王都管理局に近い今の下宿は最適だ。
しかもあそこの賄いは王都で一番美味しいと密かに周は自負している。
何故、不便な剣士棟にわざわざ自分は行かされるのかと周が切々と語り出す。
「「「え.....。」」」
爽も愁も勇までもが思考停止に陥った。
アルカナ城内、王都管理局勤務。
王都管理室所属、文官剣士。
何が何だか分からない、ややこしい存在が今日アルカナに無理矢理、産声を上げた。
この話、後に割と良い仕事してれます。
お付き合いくださりありがとうございました。




