自己紹介
お越し下さりありがとうございます
王都にて
さて、今日から一緒に働く周くんだ。
みんなよろしく頼んだよ。
と愁は軽く周を紹介してくれた。
「西の山から来ました、周です。よろしくお願いします。」
「おやおや、いただけないね。」
一度バレた嘘を使い回すのは、あまりスマートとは言えないよ。と愁がチャチャを入れる。
すると、一瞬固まっていた皆もなんだ何かの前振りかと、軽く笑顔を作った。
(あ......。そうだった。)
職場に迎え入れて貰えたことで、すっかり忘れていたが、この問題が片付いていなかったことに周は気付く。
(さて、どうしたものか。)
いくら声高に叫んでも、信用されない時は信用されない。こんな時は受け流すに限るのだが.......。
周だけ--はまずいよね。
かと言って......。
西の山 ダメ(嘘だと思われてる)
信の道場 もっとダメ(嘘の上塗りだと思われる)
明周さま 多分ダメ(もう狂人扱いが確実?)
凶事の化身? 流石に、自分が嫌........。
もしかして私、名乗りに使える適当な肩書きが無い?
これはまずい。
しかし、周は閃いたのだ。
決して嘘と思われず、誰もがふわりと聞き流すであろう非常にありきたりで平凡な属格表現を。
「先日王都に越して来ました、周です。よろしくお願いします。」
会心の出来に思わず満面の笑みがこぼれる。皆の顔をひととおり見回してから静かに頭を下げる。
(おや?)
おかしい......反応が返ってこない。
恐る恐る顔を上げると愁が肩を震わせて笑いを堪えているのが目に入った。
「いやー、そう来たか。参ったね、本当によく回る頭だ、恐れ入ったよ。」
その調子であの筋肉バカ共も手玉にとってやってくれ。と愁は上機嫌で自身の机に戻って行った。
多少ひきつった顔の同僚たちに促されて周も自分の机に着いた。
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