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愁さんの戦利品

お越し下さりありがとうございます。

 先日の王都職員採用試験で、愁は面白い人材をゲットした。

 最初はいつも威張り散らしている脳足りん剣士どもの下らないマウントだと適当に聞き流す方向で処理していたが。


 あの信さまの愛弟子を名乗り。剣士の恫喝にも、嫌味にも、表情を崩さない受験者?


これは、ちょっと面白くないか?

何よりあの脳足りんどもが振り回されている様は......是非見たい。


 試験会場に着いた愁が見たのは、何のための試験かも分からないお題を黙々とこなす小柄な少年の姿だった。


「ふーん。」

もっとゴリゴリを想像していた自分としてはやや拍子抜けだった。

しかし、彼の動きにいささかの違和感を抱く。


動きがあまりにも綺麗ではないか?


どこぞの田舎から出て来た自称天才など毎年腐るほど見てきた。これは、余程しっかり仕込まれなければ身につくものではない......。


 愁は先程手渡された偽造紹介状に目をやり、さらに眉をひそめることになる。

こういった偽造品の類は、宛名や結びの文こそ、誰もが気合いを入れるものだが、中程に綻びが出る。

そうプロはここを見るのだが......綻びがない。


表向きは脳筋どもの顔を立てて。


実際は自身の暇つぶしも兼ねて。


(うれい)(あまね)と名乗る少年を自身の部署で引き取ることにした。


これは、久々の大捕物の予感がする。

完璧な偽造品、完璧に仕込まれた少年。


愁は胸の高鳴りを感じる。

と共にそれを一瞬でかき消す、そういうのは脳筋剣士どもに任せておけば良い。


自分は自分の与えられた仕事をすれば良いのだ。


巨悪の尻尾を掴むもよし。小悪党を手懐けるもよし。

どちらにせよ上手く使えば良いのだ。

この拾い物は案外悪くないのではないか。


読んで下さってありがとうございました。

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