表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
31/36

かりんとうアラカルト

お越し下さりありがとうございます

今年も沢山の砂糖大根が収穫された。


(そう言えば初めて採れた砂糖大根で糖蜜を作った時は詩が珍しくずっとニコニコしていたな.....。)

周は何年も前の思い出にクスリとしながら砂糖大根を洗った。


甘党の詩のことだから、王都で甘味処巡りなどを楽しんでいるのではないだろうか。よく切れる包丁で皮を剥いたそれを賽の目状に細かく刻む。


そう言えば.....勇は詩に会えたのかな?

刻んだ砂糖大根を沸騰させない様にゆっくりとヒタヒタのお湯で煮る。


それにしても勇は凄いよね、お題を全部トップ通過だと言ってたものね。

甘味の溶け出した煮汁と大根本体を分けてゆっくり煮詰めていく。


来年か再来年には私も王都へ行けるといいな。

周は煮詰まってとろりとした糖蜜を壺に移す。


さて、今日これで後輩たちの喜びそうなお菓子を作ってあげよう。


かりんとう......詩好きだったな。

周はパントリーに小麦粉と胡麻油を取り出しに向かう。


アルカナ城


「詩、かりんとうが好きだと言っていたよな。」

明周が詩に休憩しようとやってきた。

半年前に義妹になった詩は目を離すと直ぐに無理をする。

怒りっぽい詩の逆鱗に、触れないように気を遣いながら、休憩を進めるのが明周の最近の日課だ。


侍女に入れて貰ったお茶を飲みながら二人でかりんとうをボリボリとかじる。

無言でかりんとうをかじっていた詩が、不意に口角を上げる。


「ん?何かあったのか?」

明周が聞くと。


「ふふ。随分前に友達がかりんとうを作ってくれて......。」

それを思い出したら笑っていたと詩はいう。

「そうか......。」

いつもどこか張り詰めた空気をまとい危う気だった義妹ーー詩が初めて見せた柔らかな笑みに明周は少しだけ安堵した。



アルカナ王都中央広場


袋いっぱいのかりんとうを買込んだ勇がほくほくと宿舎に向かう。


「おや、勇。そんなに沢山のかりんとう.....。いったい、どうするんだい?」

爽が声をかける。


「あ、爽兄。西の山にこれ、送ってやろうと思ってさ。」

勇はニシシ笑う。


「うーん、勇。言いにくいのだがね、道場に着く頃にはかりんとうは湿気てしまうよ.....。」

送るなら何か日持ちする物にしなさいと爽が苦笑する。


「うぇ、俺これを一人で片付けなきゃいけねーの?」

渋いお茶がいっぱいいると唸る勇に、爽の肩が震える。

なんの事はない日常です。もう三人で馬鹿をする事は叶わない、優しいけれどちょっと切なさ残る。もと西の山の剣士トリオの普通の日です。

お楽しみいただけたなら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ