西の山のおっさん達
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「ついにきたか!」
「ああ。確かな筋からの情報だ!間違い無い。」
「いよいよか、三年......長かった。」
酒屋の主人と小間物屋の主人それに神職のじい様が感涙にむせび泣いていた。
「爽くんが質の良い琥珀をと張り切っていると聞いた時は......皆色めき立ったものだ。」
「それをあの弟子馬鹿爺さんが......。」
「どんだけ囲い込んだら、気が済むんじゃい。耳の穴一つに三年!正気の沙汰じゃない。」
「放っておいたらあの爺さん。あの子の耳にぶら下がりかねんわ。」
「もう過ぎた事だ何も言うまい。
近いうちに必ずチャンスは来る。皆準備は怠るなよ。」
あの子は弱者に弱い......。少し困ったふりをして近づけば、あっという間に懐柔できる。そして有耶無耶のうちに三家の娘のいずれかと.......。
三人は頷き合った。
跡継ぎが欲しいのだ。
そう、じい様は諦めてはいなかった。
あの日、詩たちから人攫い認定されて、信からも散々話し合いという名の小言を聞かされたにもかかわらず。
神職のじい様には今年16になる空色の瞳の姪。楓がいる。
酒屋の主人には藤色の瞳の娘、菫、10才。
小間物屋の主人には夕焼け色の瞳の娘、椿、13才がいる。
皆きちんと大人の言いつけを守れる良い娘たちだ。
年齢的には同い年か年下が望ましい。
しかし──。
あの子は面食いだ。
その点、神職のじい様のところの姪っ子は、この辺りではべっぴんさんで通っている。
それに年上の包容力も大きな武器。
また、大人たちから自身に求められている事柄を理解する力もある。
やはり本命だろう。
「そうじゃ。楓の神楽を見て心奪われん者などおらん。」
「まったくだ、俺はあまりの神々しさに思わず昇天しそうになったぞ。」
「いや。お前13の娘残して、昇天とか洒落にならんぞ。そういうのは、じい様に任せておけって......。」
「昇天と言えば、うちの椿の姿寿司もすごいぞ!」
「あ.......。食べたら皆昇天するとか言われてるな。あれは推してはダメなところだと......。」
沈黙
三人が手ぐすね引いて待ち構える西の山の麓の町に、周がやって来るのはもう二、三日後になる。
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